「ねえ、うちの2005年式の軽自動車、また保険の更新ハガキ来たけど高くない!?もう20年も前の古い車なんだから、もっと安くしてよ!」
先日、自動車保険の更新通知を見た妻(ママ)が、食卓で怒りの声を上げました。たしかに、長年乗り潰している愛車の維持費は、少しでも削りたいのが本音です。
しかし、更新内容をよくよく見てみると、古い車だから「車両保険料」そのものが跳ね上がっているわけではありませんでした。問題の核心は、万が一事故を起こした時に受け取れる「最大保険金額(もらえる額)」が数十万円にまで下がっているのに、毎月の保険料はそれなりにかかるため「割高に感じる」ことだったのです。
本稿では、「古い車は保険料が高いから車両保険は外すべき」と短絡的に考えていた過去の我が家が、実際の見積もりと家計のリアルなフトコロ事情を徹底的に突き合わせ、夫婦で出した結論をお伝えします。
・古い車に車両保険を付けると割高に感じる本当の理由
・あなたの車にいくらの保険金額が設定できるのか
・万が一の全損時、貯金から自腹で買い替えできるのか
これらを比較し、あなたご自身の愛車に車両保険を残すべきか、スパッと外すべきか判断するためのヒントを、我が家の体当たり検証とともにお届けします。
古い車ほど車両保険は高くなる?
妻が「古い車だから保険料が高い!」と文句を言っていたとき、私(パパ)は冷静に見積もり書を睨みつけていました。
たしかに我が家の軽自動車は初度登録が2005年。2026年現在で、なんと約20年落ちの超ベテラン車です。しかし、実はこの車、「車両保険なし」の状態でも、年間の任意保険料が7万円弱かかっていました。
この事実から、私たちはある重要なことに気づいたのです。
年式だけで保険料が決まるわけではない
「ちょっと待って。車両保険を付けてないのに7万円弱も払ってるってことは、古いから高いわけじゃないぞ……」
そうなんです。自動車保険の保険料は、「車の年式が古いから高くなる」という単純なものではありません。保険料を決める要素には、ノンフリート等級(我が家は過去に事故で等級が下がった苦い経験あり…)、運転者の年齢条件、使用目的、年間走行距離、そして「型式別料率クラス」など、数多くの項目が絡み合っています。
つまり、「古い車=保険料が高い」と決めつけてしまうと、本当のコスト削減のチャンスを見逃してしまうことになります。
古くなるほど車両保険金額は低くなりやすい
では、なぜ「古い車は車両保険が高い」というイメージが定着しているのでしょうか。
私たちが複数の保険会社で見積もりシミュレーションをしていて絶望したのが、「車両保険金額(事故のときにもらえる上限額)」の低さでした。
車というものは、新車で買った瞬間から価値が下がり始めます。10年、15年、20年と乗り続ければ、車の価値(時価)はどんどん下がっていきます。車両保険は、この「現在の車の価値」をベースに設定されるため、我が家のような20年落ちの車だと、設定できる車両保険金額がほんの十数万円、下手すると数万円になってしまうのです。
「高い」より「割高に感じやすい」が正確
ここが最大の落とし穴でした。
「年間数万円の車両保険料を追加で払うのに、いざ全損しても10万円しか出ないの!?」
妻が叫んだこの言葉こそが、すべての真理です。
保険料そのものが異常に高額になっているわけではありません。「支払う保険料」に対して、「いざという時に受け取れる最大金額」が少なすぎるため、費用対効果が悪く、強烈に割高に感じてしまうのです。
これが、「古い車は車両保険が高い(コスパが悪い)」と言われる本当の理由でした。
車両保険金額はどうやって決まる?
「でもさ、いくら古いからって、買った時は150万円くらいしたんだよ?なんで10万円ぽっちしか出ないの?」
車にあまり詳しくない妻のこの素朴な疑問は、多くの人が抱くものだと思います。実は私たちも、過去に車をぶつけた際、「買った時の値段くらいは補償されるだろう」と甘く考えていて、保険会社からの提示額に膝から崩れ落ちた経験があります。
ここで、車両保険金額がどのように決まるのか、私たちが痛い目を見て学んだ現実をお話しします。
購入価格をそのまま補償するわけではない
非常に残酷な現実ですが、車両保険は「あなたがその車をいくらで買ったか」を補償してくれるものではありません。
新車で300万円で買おうが、中古で100万円で買おうが、あなたが車を大切に洗車してピカピカに保っていようが、保険会社は「購入価格」をベースにはしてくれません。当時の私たちは、「あんなにローンを払ったのに!」と文句を言いましたが、ルールはルールでした。
市場販売価格相当額が基準
では何を基準にしているのかというと、「市場販売価格相当額」です。
簡単に言えば、「今の時点で、同じ車種・同じ年式の車を中古車市場で買おうとしたら、だいたいいくらになるか?」という客観的な相場(時価)です。
保険会社は、毎月発行される『自動車保険車両標準価格表』(通称:車価本)という業界のデータをもとに、車の価値をドライに評価します。愛情や思い出は一切金額にプラスされません。
初度登録年月・型式・グレードなどで変わる
この市場販売価格相当額は、「初度登録年月(初めて陸運局で登録された年月)」や、「型式」「グレード」によって細かく決まっています。
見積もりを取る際、車検証を手元に置いて初度登録年月や型式を入力するのはこのためです。
人気の高いスポーツカーや一部のSUVなどは、古くても価値が落ちにくく、高い車両保険金額を設定できることもあります。しかし、我が家が乗っているような一般的な軽自動車やファミリーカーの場合、年数が経過すればするほど、この基準額は容赦なく下がっていくのです。
年式が古いと車両保険金額はどれくらい下がる?
「市場販売価格が基準なのは分かったけど、じゃあうちの2005年式の車は、いくら補償してもらえるの?」
見積もり画面を食い入るように見つめる妻の横で、私はため息をつきながらマウスをクリックしました。画面に表示された「設定可能な車両保険金額」を見て、私たちはしばらく言葉を失いました。
車は年数経過で時価が下がる
皆さんもご存知の通り、車は年数が経てば経つほど価値(時価)が下がっていきます。新車から3年も経てば半額近くになり、5年、7年と経過するごとにその価値は右肩下がりです。
私たちが「古い車だから保険料が高い」と勘違いしていたのは、まさにこの時価の低下と、それに伴う車両保険金額の低下が原因でした。保険料自体はそこまで大きく変わらなくても、もらえる上限額がどんどん目減りしていくのですから、相対的に「コスパが悪く(=高く)感じる」のは当然です。
10年以上で数十万円になる場合もある
一般的に、購入から10年以上経過した車の場合、設定できる車両保険金額は数十万円程度まで落ち込むことが多いです。
我が家の2005年登録の軽自動車(2026年時点で約20年落ち)に至っては、設定できる金額が**「5万円〜15万円」**という衝撃的な数字でした。
「えっ……15万円? 事故って車がペチャンコになっても、MAXで15万円しかもらえないってこと!?」
妻が甲高い声を上げたのも無理はありません。毎月コツコツ保険料を払って、いざという時の助け舟が15万円では、買い替えの足しにもならないのが現実です。
修理費が車両保険金額を超えるケースもある
ここで私たちをさらに震え上がらせたのが、「修理費が車両保険金額をオーバーしたらどうなるのか」という問題です。
たとえば、我が家の車に【車両保険金額:15万円】を設定していたとしましょう。ある日、単独で壁に激突してしまい、修理工場での見積もりが**【修理費:40万円】**だったとします。
この場合、保険から支払われるのは上限の「15万円」のみです。
残りの「25万円」は、泣く泣く自分たちの貯金から自腹で出さなければなりません。あるいは、修理を諦めて15万円を受け取り、それを頭金にして新しい車を買う(=全損扱い)しかありません。
「高い保険料払って、結局自腹を切るハメになるなんて絶対イヤだ……」
このリアルなシミュレーションをして初めて、私たちは「古い車に車両保険を付け続けることのジレンマ」を痛感しました。
古すぎると車両保険を付けられないこともある
「だったら、もっと保険料の安いダイレクト型の保険会社に乗り換えて、浮いたお金を貯金に回そうよ!」
直感派の妻がそう提案してきたので、私はすぐにいくつかの保険会社のサイトで見積もりを取り始めました。しかし、ここで古い車ならではの「もう一つの絶望」が待っていました。
保険会社ごとに引受基準がある
実は、自動車保険は「入りたい」と言えばどんな車でも入れるわけではありません。各保険会社には独自の「引受基準」があり、特に車両保険に関しては、年式が古すぎる車に対して厳しい制限を設けているケースがあるのです。
「えっ、入力エラー? なんで次へ進めないの?」
何度画面をリロードしても、特定の保険会社では車両保険の項目にチェックを入れることができませんでした。
ソニー損保では18年以上経過した車は付帯できない場合がある
調べてみて驚いたのですが、たとえばソニー損保の公式FAQ(※2026年9月確認時点)には、**「初度登録(検査)年月から18年以上経過しているお車の場合、車両保険を付帯できない場合があります」**と明確に記載されていました。
もちろん、「18年以上=絶対にダメ」というわけではなく、他の条件も含めて総合的に判断されるようですが、入り口の段階でかなりハードルが高くなっているのは事実です。
2005年登録車なら2026年時点で約20年以上経過
我が家の軽自動車は、先ほども触れた通り2005年登録です。2026年現在で約20年以上が経過しています。
「18年でアウトになることがあるってことは、うちの車、もはやギリギリというかアウト寄りのアウトじゃん……」
すべての保険会社で加入できないわけではありませんが、私たちが選べる選択肢は確実に狭まっていました。「車両保険を外すかどうか悩む」以前に、「そもそも付けられないかもしれない」という現実に直面し、私たちは改めて「古い車の維持費とリスク」について深く考え直すことになりました。
古い車に車両保険を付けるメリット
「もういっそ、車両保険なんて外しちゃえばいいんじゃない?15万円しかもらえないなら、毎月の保険料を払うだけ無駄な気がしてきた」
すっかりテンションが下がってしまった妻。私も最初はそう思いました。「15万のためにわざわざ高いお金を払い続けるなんて馬鹿らしい」と。しかし、家計の通帳を引っ張り出してきて夫婦で現実会議をした結果、「古い車だから車両保険は絶対に不要」とは言い切れないことに気づいたのです。
私たちが思い知った、古い車にあえて車両保険を残すメリットをご紹介します。
大きな修理費の自己負担を減らせる
たとえ車両保険金額が15万円だったとしても、それは「15万円分は保険会社が肩代わりしてくれる」ということです。
たとえば、ちょっとした不注意で電柱に擦ってしまい、修理費が20万円かかるとします。車両保険がなければ、20万円全額を家計から捻出しなければなりません。子どもの教育費や生活費でカツカツの我が家にとって、突発的な20万円の出費は致命傷です。
しかし、ここで車両保険(上限15万円)が使えれば、手出しは差額の5万円で済みます。「15万しか出ない」と嘆くか、「15万も助けてもらえる」と捉えるかは、その時の家計の余裕度によって大きく変わるのです。
単独事故などにも備えられる
これは過去に妻がショッピングモールの駐車場でポールに激突したときの苦い経験から学んだことです。
相手がいる事故(車同士の衝突など)であれば、相手の対物賠償保険から修理代が出ることがあります。しかし、電柱への衝突、ガードレールへの接触、当て逃げ、自転車での自爆といった「単独事故」の場合、頼れるのは自分の車両保険(一般型)しかありません。
古い車とはいえ、日常の買い物や子どもの送迎で毎日ガンガン使う我が家にとって、単独事故のリスクは常に隣り合わせです。少額であっても、そのリスクに対するセーフティネットがあるという安心感は無視できませんでした。
買い替え資金を用意しにくい人には意味がある
ここが我が家にとって一番の悩みどころでした。
「もし明日、この車が全損して乗れなくなったら、すぐに次の車を買える貯金はある?」
私がそう聞くと、妻は無言で首を横に振りました。
もし車両保険を外した状態で車が全損したら、手元にはゼロ円。完全に自腹で次の車を買わなければなりません。しかし、車両保険を残していれば、たとえ満額が15万円でも、それを「次の安い中古車を買うための頭金」や「諸費用の足し」にすることができます。
つまり、私たちのように「いざという時にポーンと車を買い替えるだけの潤沢な貯金がない家」にとっては、たとえ古い車であっても、車両保険が最後の命綱になるケースがあるのです。
古い車に車両保険を付けるデメリット
メリットを確認して「やっぱり残した方がいいかも……」と傾きかけた妻でしたが、私はさらに残酷な現実(デメリット)を突きつけました。
「でもね、この15万円、丸々もらえるとは限らないんだよ」
「えっ?どういうこと?」
ここからが、古い車の車両保険を考える上で最も注意しなければならない「コスパの悪さ」の正体です。
保険金額が低くなりやすい
前述した通り、最大のデメリットは「設定できる上限金額が絶望的に低い」ことです。新車なら200万円、300万円といった十分な補償が用意できますが、10年、20年落ちの車では数十万円、下手すると10万円を切ることも珍しくありません。
どんなに大事故を起こして車がペチャンコになっても、設定した金額(我が家の場合は15万円)以上の補償は1円も出ません。修理費が50万円かかろうが、もらえるのは15万円だけです。この「いざという時の頼りなさ」は、心理的に大きなマイナスです。
免責を差し引くと受取額がさらに少なくなる
さらに妻を絶望させたのが、「免責金額(自己負担額)」の存在です。
車両保険の保険料を少しでも安くするために、私たちは「免責金額:5-10万円(1回目の事故は5万円、2回目は10万円を自己負担する設定)」を選んでいました。
もし修理費が20万円かかったとします。車両保険の上限は15万円です。
ここから免責金額の5万円が差し引かれます。
つまり、手元に入ってくる保険金は**「たったの10万円」**になってしまうのです。
「ちょっと待って!修理に20万かかるのに、保険からは10万しか出ないの?残りの10万は自腹ってこと!?」
妻の計算の通りです。免責金額を設定していると、古い車の場合は「もらえる保険金」と「自腹を切る金額」が逆転するような事態すら起こり得ます。
保険料とのバランスが悪くなる場合がある
これが最大のネックです。
仮に、上限15万円の車両保険を付けるために、年間3万円の追加保険料を払うとしましょう。
もし5年間無事故だったら、3万円×5年=15万円を保険会社に払うことになります。
「これ、5年間保険料を払い続けたら、もらえる上限額(15万円)に達しちゃうじゃん!だったら最初から保険に入らずに、毎月自分で貯金しておいた方がマシじゃない!?」
妻のこのツッコミは、まさに「古い車に車両保険は不要」と多くの人が判断する決定的な理由です。
支払う保険料の総額と、いざという時にもらえる金額のバランス(費用対効果)が著しく悪くなる。これこそが、古い車に車両保険を付ける最大のデメリットなのです。
古い車なら車両保険を外してもいい?
「もらえる金額が少なくて、免責でさらに引かれる。じゃあ、やっぱり古い車の車両保険なんて百害あって一利なしじゃない!今すぐ外そう!」
デメリットを並べ立てた結果、妻は完全に「車両保険外し過激派」になってしまいました。ネットの口コミなどでも「10年落ちなら車両保険は外してOK」という意見をよく見かけます。
しかし、我が家の家計会議はここで終わりませんでした。「古い=外す」と短絡的に決めてしまうと、後で取り返しのつかない後悔をすることになるからです。
「10年落ちだから外す」は早計
「ネットで『10年経ったら外すのが常識』って書いてあったよ?」と妻はスマホを見せてきました。
たしかに、10年という区切りは一つの目安にはなります。しかし、車の価値の落ち方は車種によって全く違いますし、何より「その家庭の貯金事情」は千差万別です。他人の「外して正解だった」という言葉を鵜呑みにして、自分の環境に当てはめるのは非常に危険です。
貯蓄で買い替えできるなら外す選択肢
「もし明日、この車が廃車になったとして、すぐに現金で50万円〜100万円の中古車を買える?」
私がそう問いかけると、妻はピタッと動きを止めました。「……無理。今月は子どもの塾の夏期講習代で飛んでいくし、そんな急な出費は耐えられない」
もし、あなたの家計に「車がいつ壊れても、すぐに現金一括で買い替えられる」だけの潤沢な貯蓄(あるいは専用の予備費)があるのなら、古い車の車両保険はスッパリ外してしまって問題ありません。自腹でカバーできるリスクに対して、割高な保険料を払い続ける必要はないからです。
買い替え資金がないなら残す選択肢
しかし、我が家のように「貯蓄を取り崩して車を買う余裕なんてない」「ローンを組むのも避けたい」という状況なら話は別です。
たとえ満額で15万円しかもらえなかったとしても、手元に「ゼロ」か「15万円」かでは、次に打てる手(安い中古車を探す、親戚から譲ってもらうための諸費用にする等)が全く変わってきます。
私たちは話し合いの結果、「今の我が家の家計状況では、たとえ15万でも命綱として握りしめておく必要がある」という情けないけれどリアルな結論に達しました。
車の時価がまだ高いなら残す価値がある
また、忘れてはいけないのが「古い=無価値」ではないということです。
我が家の2005年式軽自動車は時価が底を這っていますが、たとえば人気のSUV(ランドクルーザーなど)やスポーツカー、一部のミニバンなどは、10年以上経っていても驚くほど高い市場価値を保っていることがあります。
見積もりを取ってみて、車両保険金額が「50万円」「80万円」としっかり設定できるのであれば、まだまだ車両保険を残しておく価値は十分にあります。年式だけで判断せず、まずはご自身の車の「今の設定可能額」を調べてみることが鉄則です。
保険料を抑えたいなら限定型・免責設定も選択肢
「車両保険を残した方がいいのは分かった。でも、やっぱりこの高い保険料を払い続けるのは家計がキツいよ……」
命綱は残したいけれど、毎月の出費は削りたい。そんな妻の切実な願い(ワガママとも言う)を叶えるため、私は見積もり画面と格闘し、保険料を安く抑える「チューニング」を試みました。
一般型と限定型の違い
車両保険には、大きく分けて「一般型」と「限定型(エコノミー型・車対車+Aなどと呼ばれることもあります)」の2種類があります。
これまでは「とりあえず全部カバーしてくれるから」と一般型を選んでいましたが、ここを見直すだけでも保険料はグッと下がります。
| 補償の範囲(事故のケース) | 一般型 | 限定型(エコノミー型) |
|---|---|---|
| 他の車との衝突(車対車) | 補償される | 補償される |
| 盗難・台風・いたずら | 補償される | 補償される |
| 電柱や壁への衝突(単独事故) | 補償される | 補償されない |
| 自転車との接触・当て逃げ | 補償される | 補償されない |
| 保険料のイメージ | 高い | 安い |
補償範囲を狭くすると保険料を抑えられる
上の表を見て分かる通り、限定型にすると「単独事故」や「当て逃げ」の際には保険が使えなくなります。
「えーっ、私がスーパーの駐車場でポールに擦った時は出ないってこと!?」と妻は不満げでしたが、そこはトレードオフです。
「ちょっとした擦り傷やへこみなら、もう古い車だし直さずにそのまま乗る。でも、他の車とガッツリぶつかって全損になった時だけは助けてほしい」
古い車に対してこのように割り切れるのであれば、限定型に変更することで、車両保険を残しつつ保険料を数万円単位で節約できる可能性があります。
免責金額を上げる方法もある
さらに保険料を削る奥の手が、「免責金額(自己負担額)」を引き上げることです。
我が家はこれまで「5-10万円(1回目の事故は自己負担5万円、2回目は10万円)」という設定にしていましたが、これを「10-10万円」や、思い切って「15-15万円」などに引き上げると、保険料はさらに安くなります。
ただし、ここで先ほどのデメリットが牙を剥きます。
「ちょっと待って。うちの車の車両保険のMAXが15万円でしょ? 免責を15万円にしたら、事故っても1円も出ないじゃん!」
妻の言う通りです。車両保険金額自体が15万円など極端に低い車の場合、免責金額を高くしすぎると「保険を使う意味が消滅する」という本末転倒な事態に陥ります。
「限定型にするか」「免責をどこまで上げるか」は、必ず「設定される車両保険金額」とのバランスを見ながら、見積もりシミュレーション画面で何度も数字を打ち替えて検証する必要があります。
【判断基準】古い車に車両保険を付けるべき?
「で、結局うちはどうするの? 外すの? 残すの?」
あれこれとメリット・デメリットを並べ立てた結果、余計に混乱してしまった妻。そこで私は、お互いの感情や「なんとなく不安」という思い込みを一旦横に置き、電卓を叩いて現実的な数字だけで判断するためのチェックリストを作りました。
もしあなたが「古い愛車に車両保険を付けるべきか」で迷っているなら、ぜひご自身の保険証券や見積もり画面を見ながら、以下の5つの項目をチェックしてみてください。
① 設定できる車両保険金額
まずは、あなたの車に今設定できるMAXの金額(時価)を確認します。ここが「5万円」や「10万円」など極端に低い場合は、そもそも保険としての役割を果たしにくいため、外す方向へ大きく傾きます。逆に「50万円」など十分な金額が設定できるなら、残す価値が高まります。
② 年間の車両保険料
車両保険を追加することで、年間の保険料がいくら跳ね上がるか(差額)を確認します。たとえば「上限15万円の補償を買うために、毎年3万円を払う」となれば、5年で元本割れする計算になり、費用対効果が悪いと判断できます。
③ 免責金額
修理代から差し引かれる自己負担額です。「車両保険金額15万円、免責5万円」の場合、いざという時に手元に入るのは実質10万円です。この「本当に受け取れる額」をリアルに想像してください。
④ 事故時に自腹で払える金額
「修理費30万円」と言われたとき、受け取れる保険金(実質10万円)を引いた残りの「20万円」を、家計の貯金からサッと出せるかどうかです。出せる余裕があるなら、車両保険は不要かもしれません。
⑤ 全損時の買い替え資金
一番最悪のケースです。車が修理不能になり、新しく買い替えることになった際、「全額自腹で車を買えるか」あるいは「たとえ10万円でも、次の車の頭金として絶対に必要なのか」という究極の選択です。我が家は貯金に余裕がないため、この「最後の10万円」欲しさに限定型で残す、という苦渋の決断に傾きました。
この5項目を天秤にかけ、「払う保険料」に対して「いざという時の助け(受け取れる金額)」が見合っている、あるいは家計の防衛上どうしても必要だと思えたなら、残すのが正解です。
古い軽自動車なのに任意保険全体が高いのはなぜ?
さて、車両保険の要否については冷静に判断できるようになった私たちですが、妻にはまだ腑に落ちないことがありました。
「車両保険の分が数万円だってことは分かったけど……車両保険を外しても、年間の保険料が7万円弱もするのって、やっぱり古い車だからペナルティ取られてるんじゃないの?」
たしかに、車両保険なしで軽自動車の任意保険料が7万円弱というのは、決して安くありません。しかし、パパが徹底的に調べた結果、これは「古い車だから」という年式の問題ではありませんでした。
年式だけが原因とは限らない
結論から言うと、車両保険以外の部分(対人賠償や対物賠償など)のベースとなる保険料は、「古い車だから」という理由だけで高く設定されるわけではありません。
私たち夫婦の見積もりが高かったのには、年式以外の「運転者側の条件」や「車の使われ方」に明確な理由(我が家の黒歴史含む)が潜んでいたのです。
等級
これが一番痛い出費の要因です。実は数年前、私が不注意で事故を起こしてしまい、保険を使ったことでノンフリート等級がガクッと下がってしまった過去があります。
等級が低いと、どんなに古い安い車に乗っていても、割引率が悪く(あるいは割増になり)、ベースの保険料が跳ね上がります。
※等級の仕組みや、事故後のペナルティ期間について詳しく知りたい方は、「自動車保険の6S等級とは?」の記事もぜひ参考にしてください。あの時の我が家の絶望が詰まっています。
年齢
自動車保険は、運転する人の年齢によっても料金が大きく変わります。事故を起こすリスクが高いとされる年齢層(10代〜20代前半、そして高齢ドライバー)は保険料が高くなります。
私たちは中堅世代なのでここは該当しませんが、もし親世代の保険料の見直しをしているなら、「高齢者の自動車保険はなぜ高い?」の記事で解説している通り、年齢条件が原因で高額になっているケースが多々あります。
型式別料率クラス
「うちの車、ただの軽自動車なのに!」と妻は怒っていましたが、今は軽自動車にも「型式別料率クラス」が導入されています。
これは「その車の型式(種類)の車が、日本全国でどれくらい事故を起こしているか」という統計データに基づいたリスク評価です。スポーツカーのように事故率が高い車はもちろん、よく売れていて事故件数が多いファミリーカーなども、クラスが高く(=保険料が高く)設定されることがあります。
使用目的・年間走行距離
我が家は共働きで、毎日の通勤、子どもの保育園の送迎、週末の買い出しと、とにかく車を酷使しています。
「日常・レジャー使用」よりも「通勤・通学使用」の方が事故に遭う確率は高まるため、保険料は高く設定されます。また、年間走行距離が「1万km以上」など長くなればなるほど、同様に保険料は上がっていきます。
運転者条件
「夫婦しか運転しない」という限定をつけていれば安くなりますが、もし「誰が運転しても補償される(限定なし)」といった広い条件にしていると、保険料は高くなります。
このように、妻が「古いから高いんだ!」とキレていた保険料の正体は、実は「パパが過去に事故で等級を下げたこと」や「毎日ガンガン通勤で長距離を走っていること」など、私たち自身の使い方が大きく影響していたのです。
年式ばかりに気を取られず、こうした「ベースの条件」を一つずつ見直す(本当に通勤に使っているか?運転者は限定できないか?など)ことこそが、無駄な保険料を削る一番の近道だと、私たちは痛感しました。
車両保険を外す前に確認したいこと
「なるほどね……保険料が高いのには色々理由があったんだ。でもやっぱり、車両保険の部分だけは外して少しでも節約したいかも」
ベースの保険料の仕組みを理解した上で、それでも「車両保険はもういいかな」と考える妻。たしかに、数十万円(あるいは数万円)の補償のために高いお金を払うのは抵抗があります。
しかし、勢いで「車両保険なし!」のボタンを押す前に、私たち夫婦が最後に確認し合った「4つのチェックリスト」を共有させてください。これをクリアできないのに外してしまうと、万が一の時に家計が完全に破綻する恐れがあります。
ローンは残っていないか
まず絶対に確認すべきなのが、車のローンです。
我が家の20年落ちの車はとっくにローンが終わっていますが、もしあなたが中古で買ったばかりの10年落ちの車で、まだローンが数年残っているなら要注意です。
ローン支払い中に車が全損し、自腹で修理も買い替えもできないとなると、「車はないのにローンの支払いだけが毎月引き落とされ続ける」という地獄のような状況に陥ります。ローンが完済するまでは、たとえ補償額が少なくても車両保険を残しておくのが鉄則です。
通勤・生活に車が必須ではないか
「車が壊れたら、しばらく電車と自転車で生活すればいっか」
このように割り切れる環境(都会など)に住んでいるなら、車両保険を外すリスクは低いです。
しかし我が家のように、車がないと子どもの保育園の送迎もできない、パパの通勤もできない、週末のスーパーへの買い出しも不可能……という完全な「車社会」に住んでいる場合、車を失うことは生活の停止を意味します。
「壊れたら即座に次の車を手配しなければならない環境」の人は、わずかな補償でも次の車の足しにするために、車両保険を残しておく価値があります。
全損時に買い替え資金を出せるか
前述しましたが、これが最も重要な問いです。
「もし明日、この車が廃車になったら、貯金から新しい(あるいは別の中古の)車を買うお金を出せますか?」
妻は「出せない。絶対無理」と即答しました。もし「うちも厳しいかも……」と思ったなら、どんなに車両保険金額が低くても、最低限の「限定型(エコノミー型)」にして命綱は残しておいた方が無難です。
自然災害・盗難リスクをどう考えるか
古い車でも、車両保険が必要になるのは事故の時だけではありません。
近年増えているゲリラ豪雨による水没、台風での飛来物によるガラス割れ、または古い車を狙った部品の盗難など、自然災害や盗難リスクも考えられます。
「ハザードマップで自宅が水没エリアに入っている」「屋根のない駐車場に停めている」といった場合は、古い車であっても自然災害の補償として車両保険を残しておく(限定型でも多くの場合カバーされます)意味は大きいです。
よくある質問
最後に、私たち夫婦が今回の保険見直しで疑問に思ったことや、同じように古い車の保険で悩んでいる読者の方からよく寄せられる質問をまとめました。
10年落ちでも車両保険は必要?
A. 「10年落ちだから不要」と一律には言えません。
車の時価(市場価値)がまだ残っており、設定できる車両保険金額が50万円以上など十分にある場合や、万が一の全損時に自腹で買い替える貯蓄がない場合は、付ける意味が十分にあります。設定可能額と保険料のバランスを見て個別に判断してください。
20年落ちでも車両保険に加入できる?
A. 保険会社によっては加入できない(引受不可)場合があります。
例えば、ソニー損保の公式FAQ(※2026年9月確認時点)では、初度登録から18年以上経過した車は車両保険を付けられない場合があると明記されています。他にも条件次第で断られるケースがあるため、複数のダイレクト型保険会社で見積もりを取ってみる必要があります。
※見積もりを比較する際は、「自動車保険を途中で乗り換えるならどこ?ダイレクト型比較」の記事も参考にしてください。
古い車は車両保険料が高くなる?
A. 保険料自体が極端に高くなるというより、「割高に感じる」のが正確です。
年数が経つと車の価値が下がり、受け取れる最大保険金額(車両保険金額)が低くなります。それに対して支払う保険料の総額が変わらないため、「コスパが悪い=高い」と感じやすくなります。
車両保険金額は自分で決められる?
A. 自由に好きな金額を設定することはできません。
保険会社が『自動車保険車両標準価格表』などを用いて算出する「市場販売価格相当額」の範囲内(例:10万円〜20万円の範囲など)でしか設定できません。買った時の値段や愛情は反映されません。
修理費が車両保険金額を超えたらどうなる?
A. 設定している「車両保険金額」までしか支払われません。
例えば車両保険金額15万円、修理費40万円の場合、保険からは15万円のみ支払われ、残りの25万円は全額自己負担となります。
軽自動車でも古いと車両保険を付けられない?
A. 普通車・軽自動車にかかわらず、年式が古すぎると引受制限に引っかかることがあります。
我が家の2005年式軽自動車も、いくつかの保険会社では車両保険の項目にチェックを入れられませんでした。
車両保険なしでも任意保険が高いのはなぜ?
A. 等級、年齢条件、使用目的などが影響しています。
過去に事故を起こして等級が下がっていたり(6S等級などのデメリット)、通勤で毎日長距離を走っていたり、年齢条件が広く設定されていたりすると、車両保険を外してもベースの任意保険料は高くなります。
まとめ|古い車は「何年落ち」ではなく保険料と補償額のバランスで判断する
「古い車だから車両保険は高い。だから外すべき!」
最初はあんなにプンプン怒っていた妻でしたが、実際の見積もり画面で「うちの車の価値(上限額)」を知り、免責の仕組みを知り、そして何より「全損した時に貯金から自腹で車を買えるか」という現実を突きつけられたことで、すっかり考えが変わりました。
「……うん。満額で15万円しかもらえないのは悔しいけど、もし今この車が壊れたら新しいの買うお金なんてないもんね。今回は『限定型』にして、最低限の命綱だけ残しておこうか」
これが、我が家が辿り着いたリアルな結論です。
古い車に車両保険が必要かどうかは、「10年経ったら外す」といったネットの画一的な情報で決めるものではありません。
- あなたの車に設定できる車両保険金額はいくらか
- それに対して支払う追加の保険料はいくらか
- もし明日車が全損したら、自腹で買い替え資金を出せるか
この3つのポイントをご自身の家計と照らし合わせてシミュレーションすることこそが、後悔しないための唯一の正解です。
まずは今すぐ、更新のお知らせハガキや保険会社のマイページを開いて、ご自身の愛車に設定できる「今の価値(車両保険金額)」を確認してみてください。その数字を見た時、あなた自身がどう感じるかが、最大の判断基準になるはずです。