「お父さん、最近車庫入れのときにフェンス擦ってたでしょ? もう危ないから、そろそろ免許返納したら?」
お盆に実家へ帰ったとき、車のバンパーの新しい傷を見つけて思わずそう言ってしまった私(ママ)。案の定、70代の父は「まだ大丈夫だ! 車がなくなったら、重い米や水はどうやって買いに行くんだ!」と大激怒。実家の空気は最悪になりました。
その帰り道、助手席でため息をつく私に、運転席のパパが冷静にこう言ったんです。
「お義父さん、月に数回の買い物にしか乗ってないのに、東京のバカ高い駐車場代と車検代、毎年の税金……年間で数十万円も車に消えてるんだよな。お金の無駄だし、何より万が一事故でも起こしたら取り返しがつかない。でも『危ないからやめろ』『金がもったいない』っていう正論だけじゃ、親のプライドを傷つけるだけだよな」
まさにその通りでした。親だって心のどこかでは「そろそろキツいかも」と不安に思っているはず。でも、「車を失ったあとの不便な生活」や「急に老け込んでしまうんじゃないかという恐怖」が勝っているから、意固地になってしまうんです。
そこで私たちサルヂエファミリーは作戦を変えました。
「車を手放すこと=損すること、我慢すること」ではなく、「車を手放すこと=こんなにお得で、安全で、むしろ生活がラクになる!」という具体的な証拠を突きつけて、本人に納得してもらおうと考えたのです。
この記事では、親の免許返納をめぐって大ゲンカした私たちが、説得の切り札にするために必死で調べ上げ、実際に体験した「東京都の高齢者向け車補助金・支援制度」のリアルな全貌をまとめました。
「お役所のホームページを見ても、難しくてよく分からない!」と頭を抱えている方(かつての私たちです…)、ぜひ参考にしてみてください。
東京都に高齢者向けの車補助金ってあるの?実家の親を説得するために調べ尽くした結果
「よし! 車を手放す代わりに、国や東京都からガツンと補助金がもらえるなら、お義父さんも納得するはずだ!」
パパはパソコンを開き、鼻息荒く検索を始めました。私たち夫婦の頭の中には、「免許を返納したら、お疲れ様でしたの慰労金として10万円くらいもらえるのでは?」なんて甘い期待がありました。
しかし、現実はそう甘くはなかったのです。
国の補助金(サポカー補助金の現状など)
最初にパパが目をつけたのが「サポカー補助金」でした。「自動ブレーキがついた安全な車に買い替えるなら、国から最大10万円もらえるらしいぞ! 免許返納が無理なら、せめて安全な車に買い替えさせよう!」と意気揚々と実家に電話しようとしたその瞬間……。
「パパ、ちょっと待って。これ『申請受付は終了しました』って書いてあるよ」
そうなんです。高齢者の交通事故対策として鳴り物入りで始まった国の「サポカー補助金」ですが、実はすでに終了してしまっていたのです。現在(私たちが調べた時点)、国レベルで「高齢者の車の購入」に対して直接的にポンとお金がもらえるような分かりやすい補助金制度は、見当たりませんでした。
「ええーっ! じゃあ、今から買い替える人は丸腰で全額負担なの!?」と夫婦でズッコケました。もし「サポカー補助金があるから大丈夫だよ」と親に知ったかぶりをして勧めていたら、後で大恥をかくところでした。
東京都の支援制度
国の制度がダメなら、お金持ちの東京都なら何かあるはず!と気を取り直して調べました。
しかし、ここでも「免許を返納したら、都から一律で現金10万円支給!」のような、夢のようなバラマキ制度はありませんでした。
「なんだよ、東京都もケチだなぁ……。これじゃあ、お義父さんを説得する『美味しいエサ』がないじゃないか」とパパがボヤき始めたときです。
東京都の公式ページを隅々まで読んでいくと、現金給付ではないものの、別の形で高齢者の移動をサポートする「免許自主返納者への特典」というものが無数に存在することに気がつきました。(これについては、後で詳しく解説しますね。これが実は最強の説得材料になったんです)
区市町村ごとの独自制度(ここが意外と落とし穴でした)
さらに調べていくうちに、私たちが一番驚いた(そして少しイラッとした)事実がありました。それは、「住んでいる区や市によって、もらえる補助や支援の内容が天と地ほど違う」ということです。
「ママ、見てみろよ。隣の〇〇区だと免許返納で区内の商品券が1万円分もらえるらしいぞ! なのに、お義父さんが住んでる△△市は、コミュニティバスの回数券ちょっとだけだ……」
「えー! ずるい! 同じ東京都なのにそんなに違うの!?」
そう、高齢者向けの支援制度は、東京都が一括してやっているものよりも、各「区・市・町・村」が独自に予算を組んでやっているローカルな制度の方が多いんです。
私たちは最初、「東京都 高齢者 車 補助金」という大きなキーワードでばかり調べていたので、お目当ての制度になかなかたどり着けませんでした。
親を説得するなら、「東京都の制度」+「実家がある〇〇区(市)のピンポイントの制度」の2本立てで調べて、オリジナルの「お得リスト」を作ってあげないと意味がないんだ、ということにここで初めて気がつきました。
説得の切り札に!東京都で利用できる高齢者向け支援制度一覧

「現金でもらえる補助金はないけど、その代わり『毎日の移動費がタダ同然になる魔法のパス』や『タクシーの割引券』があるよ!」
私たち夫婦は、徹夜で作った「実家エリア版・免許返納お得リスト」を手に、再び実家へと乗り込みました。
ここからは、実際に私たちが父にプレゼンし、最終的に「……それなら、まあ、返納してやってもいいか」と言わしめた、東京都内で使える具体的な支援制度の数々をご紹介します。
運転免許自主返納支援(親と一緒に窓口へ行った体験談)
すべての特典を受けるための“パスポート”となるのが、「運転経歴証明書」です。
「お父さん、これを提示するだけで、いろんなお店で割引が受けられるんだよ! 水戸黄門の印籠みたいなもんだね」とおだてて、パパと一緒に警察署の窓口へ連れ出しました。
手続き自体は意外と簡単でしたが、長年連れ添った免許証に穴が開けられる瞬間、父の背中が少し小さく見えて、私まで少し切ない気持ちになりました。
しかし、後日郵送されてきた「運転経歴証明書(顔写真入り)」を見た父は、「おっ、身分証明書として使えるのか。免許証がなくなって不便だと思ってたから、これはありがたいな」と、意外にもあっさりご機嫌に。この証明書こそが、東京都が協賛企業と提携して行っている「高齢者運転免許自主返納サポート協議会」の様々な特典(後述します)を引き出すカギになるんです。
シルバーパス(これのおかげで親が外出好きに)
これが間違いなく、我が家における最大のヒットでした。
「東京都シルバーパス」です。70歳以上の都民なら、申し込めば都バスや都営地下鉄などに乗れるパスがもらえる制度です。
「でも、お高いんでしょ?」とパパは疑っていましたが、調べてびっくり。住民税が非課税の方なら、なんと年間たったの「1,000円」! 課税されている方でも年間「20,510円」です(※私たちが調べた時点の金額です)。
我が家の父は後者でしたが、「月に1,700円ちょっと払えば、都内のバス乗り放題ってこと!? 駐車場代の10分の1以下じゃないか!」とパパも大興奮。
実際にシルバーパスを手にした父は、最初は「バスなんか面倒くさい」と言っていましたが、数ヶ月後には「今日はタダで巣鴨まで行ってきたぞ」「来週はバスを乗り継いで浅草に行くんだ」と、車に乗っていた頃よりも明らかに外出の頻度が増えました。自分で運転する緊張感から解放されて、景色を楽しみながら移動できるのが性に合っていたようです。
コミュニティバス支援
シルバーパスに加えて、各自治体が走らせている「コミュニティバス」の支援も見逃せません。
実家のエリアでは、1回100円で乗れるコミュニティバスが走っているのですが、免許を返納した人は「無料乗車券」や「回数券」が自治体からプレゼントされる制度がありました。
「家のすぐ近くのバス停から、駅前のスーパーや病院まで直接行ってくれるんだよ」とママが路線図を見せながら説明すると、父も「それなら、重い米を買っても玄関の近くまで持って帰れるな」と、一番気にしていた買い物の不安がスッと消えたようでした。
タクシー助成(タクシー券の意外な落とし穴と活用法)
これも自治体によって大きく違うのですが、実家の市では免許返納で「タクシー利用券(1万円分)」がもらえる制度がありました。
「これで雨の日や、荷物が多い日も安心だね!」と喜んでいたのですが、ここで我が家はちょっとした失敗をしました。
ある雨の日、父が駅前で適当にタクシーを拾って帰宅し、いざ支払いの時にドヤ顔でタクシー券を出したところ、「あ、うちの会社その券使えないんですよ」と運転手さんに言われてしまい、慌てて自腹を切るハメになったのです。
「パパ、タクシー券って全部のタクシーで使えるわけじゃないの!?」と後で調べて大慌て。実は、自治体と提携している特定のタクシー会社でしか使えない場合が多いんです。
これから利用される方は、事前に「どのタクシー会社で使えるか」を親御さんのスマホに登録してあげるか、電話番号を大きな字でメモして渡してあげることを強くおすすめします。
福祉移送サービス
今はまだ元気な父ですが、「将来、もし足腰が立たなくなって、車椅子生活になったらどうするんだ? バスもタクシーも乗れなくなるぞ」という不安も口にしていました。
そんな時のためにパパが調べておいたのが、自治体やNPOが運営している「福祉移送サービス」です。
通常のタクシーよりも安い料金で、車椅子のまま乗れる車両で病院への送迎などを行ってくれる制度です。(※利用には要介護認定などの条件がある場合が多いです)
「今はまだ使わないけど、いざという時はこういう行政のサポートがあるから、無理して自分で車を維持しなくても絶対に孤立させないよ」
この言葉が、父が「車を手放す」という大きな決断をするための、最後の背中を押す安心材料になりました。
免許返納は損じゃない!東京都内で受けられる隠れ特典
「せっかく運転経歴証明書を作ったなら、もっと活用しないと損だよ!」
免許返納という大きな決断をした父でしたが、その後、意外な楽しみを見つけました。それは、運転経歴証明書を提示することで受けられる、街中の「隠れ特典」です。最初は「ええい、そんな恥ずかしいもの出せるか」と言っていた父ですが、一度スーパーのレジで5%割引を受けられたのが嬉しかったらしく、今では財布の一番目立つところに証明書を入れています。
実は、東京都内の多くの企業や店舗が、免許を返納したシニアを応援するキャンペーンを独自に展開しているんです。
交通系特典(運賃割引だけじゃない!)
免許返納=移動の終わり、ではありません。むしろ、東京都内は高齢者の移動を後押しするサービスが非常に充実しています。
父の場合、最初は「電車なんか混んでて嫌だ」と言っていたのですが、都内の私鉄や地下鉄で行われる「免許返納者への乗車ポイント付与」や「特定区間の運賃優遇」を知ってからは、「今日は電車に乗るとポイントが貯まるから」と、ちょっとしたゲーム感覚で出かけるようになりました。
もちろん、各鉄道会社によって制度はまちまちです。定期的にチェックして、「今月は〇〇線に乗るとお得だよ」と教えてあげるだけで、親の外出へのモチベーションが全く変わります。
買い物支援(スーパーの配送サービスでママも安心)
車を手放すと一番心配なのが「重い買い物」ですよね。でも、実は多くの大手スーパーでは、シニア向けの配送サービスや、購入金額による送料割引サービスを行っています。
父も利用し始めたのが、近所のスーパーの「シニア限定・配送料無料サービス」です。
「これまでは車でまとめ買いしてたけど、結局、週に一度配送してもらう方が鮮度もいいし、何より重いものを持たなくて済むから楽だ」と父。車を維持していた時は、「車があるから買いに行かなきゃ」という義務感で動いていましたが、手放してからは「必要な時に届けてもらう」という、より現代的で合理的なライフスタイルに変わりました。
金融機関特典(金利優遇など親が食いついたポイント)
これは意外な盲点でしたが、東京都内の信用金庫や地方銀行などでは、高齢者の免許返納を証明すると、定期預金の金利をわずかに上乗せしてくれたり、振込手数料を無料にしてくれたりする特典があります。
「お父さん、ただ車を手放すんじゃなくて、銀行に行けば金利が良くなるんだってよ」とパパが言った時の父の食いつきといったら……! やはり、長年お金を大切にしてきた世代にとって、金利優遇という言葉は魔法のようです。
地域独自の特典(我が家の地元の場合)
そして、最も穴場なのが地元商店街です。我が家の近所では、商店街の加盟店で「免許返納割」を実施しているお店がありました。
「おっ、ここも5%引きか」「ここは卵を1個サービスしてくれるぞ」と、父は今や地元商店街の「顔」になりつつあります。車でバイパス沿いの大型店に行っていた頃よりも、地元の人との会話が増え、結果として孤独感から解放されたのが、何よりも嬉しい誤算でした。
理屈派パパが計算!車を維持する場合と手放す場合のリアルな費用比較
さて、ここからはパパの出番です。感情論だけでは、どうしても最後の一歩を踏み出せないのが人間というもの。私たちは、これまでの「感覚的な節約」ではなく、数字という「現実」を突きつけることにしました。
年間維持費の全体像(見積もりを見て夫婦で青ざめた話)
以前の我が家は、父の車の維持費を「なんとなく月数万円」としか把握していませんでした。でも、いざパパがExcelでリストアップしてみると……。
「……ママ、これ見てくれ。お義父さんの車、年間でこれだけ消えてるぞ」
提示された数字を見て、私は卒倒しそうになりました。ガソリン代、駐車場代、車検代、保険料、自動車税……。それらを合計すると、なんと年間約50万円近く。「これ、コンパクトカーを新車で買えるくらいの金額じゃない!?」
駐車場代(東京の相場はやっぱり高い!)
何よりも足を引っ張っていたのが、都内の駐車場代でした。
「毎月3万円……いや、更新料とか入れたらもっとか。この車、月に4回しか乗ってないよな? 1回乗るごとにタクシー代に換算したら、一体いくら払ってるんだ?」
駐車場代というのは、乗っても乗らなくても毎月確実に消えていくお金です。これこそが、高齢者が車を手放す最大のメリット(=固定費の削減)であることに、父もようやく気づいたようでした。
車検代・任意保険代
「車検代も、高齢だからこそ安全のために一番高いプランに入ってたけど、これ、車を手放せばゼロになるんだよな」
車検のたびに「また10万円か……」と頭を抱えていた父。しかも、高齢になると自動車保険料も決して安くはありません。事故のリスクを考えれば必要なコストではありましたが、手放してしまえば、そのリスクごと消滅します。
ガソリン代
そして、ガソリン代。ガソリン価格の変動に一喜一憂し、わざわざ安いスタンドを探して走り回っていたあの時間は、なんだったのでしょうか。
「車を手放せば、ガソリン代を気にする必要もないし、スタンドに行く手間もゼロになる。その分、浮いたお金でタクシーを呼んだ方が、よっぽど贅沢できるぞ」
この「維持費の見える化」をグラフにして見せた瞬間、父は黙り込みました。
「こんなに払ってたのか……。自分の老後の貴重な年金を、動かない鉄の塊のために垂れ流してたんだな」
この瞬間、父の中での「車は必須アイテム」という定義が崩れ、「車はただの浪費ツール」へと変わったのです。
車がなくても大丈夫!東京都で車を手放した親のリアルな移動手段
「維持費のムダは分かった。でも、いざという時の足はどうするんだよ」
グラフを見て黙り込んだ父が、最後に絞り出すように言った言葉です。これこそが、高齢者が車を手放す時に抱く最大の恐怖、「移動難民になるのではないか」という不安です。
「大丈夫だよ、お父さん。むしろ今までより移動の選択肢は増えるんだから!」
私たちは、車に代わる新しい移動手段を一つずつ提案していきました。実際に父が免許を返納した後、これらをどう使いこなしているか、リアルな現状をお伝えします。
電車(シルバーパスの威力がすごい)
東京都内の鉄道網の便利さは言うまでもありませんが、車中心の生活をしていた父は「駅の階段がしんどい」「乗り換えが面倒」と敬遠していました。
しかし、いざ車を手放し、シルバーパス(都営地下鉄も対象です!)や私鉄のシニア割引を利用し始めると、態度が一変。
「駅まで少し歩くから、いい運動になるな。それに、車みたいに渋滞でイライラしないのがいい」と、今ではすっかり電車移動がお気に入りです。都内の駅はエレベーターの設置も進んでいるので、昔ほど階段の上り下りで苦労することも減っているようです。
バス(家の目の前まで来てくれるコミュニティバス)
日常のちょっとした買い物や、最寄り駅に出るまでの足として大活躍しているのがバスです。
特に、実家のある自治体が運行しているコミュニティバスは、大きな路線バスが入れないような細い道を通って、自宅のすぐ近くの停留所まで来てくれます。
「雨の日は、無理して歩かずにコミュニティバスに乗っちゃえばいいのよ」とママが教えたところ、父も「1回100円だし、免許返納でもらった回数券もあるから気楽に乗れるな」と安心した様子。バスの時刻表をスマホで調べる方法をパパが教えたら、ゲーム感覚で楽しんで使いこなしています。
タクシー(維持費を考えれば乗り放題感覚?)
そして、父の意識を一番大きく変えたのがタクシーです。
「タクシーなんて贅沢だ!」という昔ながらの価値観を持っていた父に、パパはこう言いました。
「お義父さん、今まで車の維持費で年間50万払ってたよね。それ、全部タクシー代に回したとしたら、毎月4万円分もタクシーに乗れるんだよ。スーパーの往復で2000円だとしても、月に20回も乗れる計算になる。これって、実質タクシー乗り放題じゃない?」
これには父も目からウロコだったようです。今では、荷物が重い日や天気が悪い日は、躊躇なくタクシーアプリ(パパが設定しました)を使って迎車を呼んでいます。自治体からもらったタクシー券も大活躍で、「自分で運転するより、プロの運転手さんにドアを開けてもらう方が気分がいいぞ」なんて冗談を言う余裕まで生まれました。
カーシェア(いざという時はパパが運転)
「でも、年に数回、親戚の集まりとかでお墓参りに行くときは、やっぱり車がないと不便じゃないか?」
そんな父の最後の不安を解消したのが、カーシェアです。
「そういう時は、僕がカーシェアで車を借りて運転するから大丈夫ですよ」とパパが約束しました。
東京都内はカーシェアのステーションがそこら中にあります。維持費ゼロで、必要な時だけ大きなミニバンも借りられる。親自身が運転しなくても、家族が代わりに運転する手段として、カーシェアの存在は非常に心強いバックアップになります。
家族の送迎(親とのコミュニケーションが増えた話)
そして最後に、これが私たち家族にとって一番の嬉しい変化でした。
車を手放したことで、「ちょっと今週末、ホームセンターに買い物に行きたいんだけど、車出してくれないか?」と、父からパパへ連絡が来るようになったのです。
これまでは「自分一人でできる」と強がっていた父ですが、頼ってくれるようになったことで、家族で出かける機会が圧倒的に増えました。送迎の車内での会話も増え、「車を手放して不便になるどころか、家族の絆が深まったね」と、ママも喜んでいます。
実体験から語る、高齢者が車を手放すベストなタイミング
「結果的にうちのお父さんは無事に免許を返納してくれたけど、あのタイミングを逃してたら、今でも意固地に乗ってたかもしれないな」と、パパはよく振り返ります。
親に「車をやめよう」と提案するのは、非常にデリケートな問題です。私たちが経験して分かった、「親が一番納得しやすい、説得のベストタイミング」をまとめました。
小さな事故やヒヤリハットが増えたとき
我が家がまさにこれでした。「バンパーの新しい擦り傷」です。
本人は「ただ擦っただけだ」と強がりますが、実は本人が一番ショックを受けており、自信を失いかけているタイミングでもあります。
ここを逃さず、「これくらいで済んでよかったよ。大きな事故になる前に、そろそろ考えない?」と、責めるのではなく「心配している」というスタンスで切り出すのが重要です。
高額な車検が迫ってきたとき
これは、理屈派パパの得意技でした。
「お義父さん、来月車検だよね。見積もり見せてもらったけど、タイヤも交換だし15万はかかるよ。これ、払う価値ある?」
車検という「リアルな出費」が目の前に迫っている時は、金銭的なメリット(維持費ゼロになること)を提示しやすい絶好のタイミングです。車検の数ヶ月前から、「通すか、手放すか」の選択肢を一緒に考える時間を作ってあげてください。
年金生活で維持費が負担になり始めたとき
親が定年退職し、年金生活に入って数年経った頃も、見直しのタイミングです。
「最近、ガソリン代も高いし、駐車場代払うと小遣いが残らないんだよな」と親がボヤき始めたらチャンス。
「じゃあ、車を手放して、そのお金で美味しいものでも食べに行こうよ」と、ポジティブな提案にすり替えることができます。
運転に不安を感じ始めたとき(親のサインを見逃さない)
親のちょっとした変化も見逃さないでください。
「夜は見えにくくなったから乗らない」「雨の日は運転しない」「知らない道は走りたくない」……これらはすべて、親自身が発している「運転への不安のサイン」です。
このサインが出た時に、「危ないから乗るな!」と頭ごなしに否定するのではなく、「東京都の制度を使えば、車がなくてもこんなに快適だよ」と、この記事で紹介したような支援制度や特典を優しく教えてあげてください。
東京都の高齢者向け車補助金に関するよくある質問
最後に、私たちが親の免許返納に向けて奔走する中で、疑問に思って調べたことや、よくママ友から聞かれる質問をFAQ形式でまとめました。
Q. 東京都で車購入補助金はありますか?
「サポカー補助金」のような、国や東京都が主導して「車の購入時に現金がもらえる」という分かりやすい補助金は、現在終了しています。ただし、自治体によっては「安全運転支援装置(後付けの踏み間違い防止装置など)」の取り付け費用を補助してくれる制度はありますので、お住まいの区市町村のHPを確認してみてください。
Q. 免許返納すると直接お金がもらえるの?
現金が直接口座に振り込まれるような制度は、東京都全体ではありません。その代わり、タクシー券、コミュニティバスの回数券、商品券の配布など、各区市町村が独自に行っている現物支給や割引サービスがメインになります。
Q. シルバーパスの発行費用はいくらですか?
70歳以上の都民であれば発行可能です。住民税が非課税の場合は年間1,000円。住民税が課税されている場合は年間20,510円です。月に数回バスに乗るだけでも十分に元が取れる、非常に優秀なパスです。(※金額や条件は変更される可能性があるため、必ず最新情報を東京バス協会のHP等で確認してください)
Q. 区市町村ごとに制度が違うって本当?
本当です。これが一番の落とし穴でした。「東京都」で一括りにして調べるのではなく、必ず「〇〇区(市) 免許返納 特典」と、お住まいの自治体名で検索してください。隣の区と全く内容が違うことも多々あります。
Q. 車を手放した後の移動手段、どう慣れてもらえばいい?
いきなり「はい、明日からバスね!」は酷です。まずは車があるうちに、一緒にバスに乗ってみたり、タクシーアプリをスマホに入れて呼ぶ練習をしたり、「車以外の選択肢」を体験させてあげる期間を設けてください。我が家も、パパが一緒にバスに乗って路線を教えるところから始めました。
