「憧れのレクサスが月々4万円台!? これならうちの家計でも乗れるんじゃない!?」
数年前、ディーラーで出された残価設定ローン(残クレ)の見積もり書を握りしめ、妻はすっかり舞い上がっていました。確かに、現在乗っているファミリーカーのローンとほとんど変わらない月額で、あのレクサスに手が届くように見えます。
しかし、結論からお伝えすると、残クレそのものが「絶対に損をする悪」というわけではありませんが、「月々の支払額」だけを見て契約してしまうと、数年後に激しく後悔する可能性が高いです。
「月々が安いのは、数百万円の支払いを数年後に後回しにしているだけだぞ。しかも、その後回しにした分にも金利がかかるんだ」
理屈派の私がエクセルで弾き出した「総支払額」と「数年後のリアルな出口戦略」を見た瞬間、妻はサッと青ざめました。本稿では、かつての我が家のように「月々の安さ」に飛びつきそうになっている方へ向けて、レクサスを残クレで買う仕組みと、家計を破綻させないための正しい判断基準を整理します。
レクサスの残価設定ローン(残クレ)とは?
「なぜこんなに月々の支払いが安くなるのか?」という疑問に対し、当時の私たちはディーラーの担当者に食い下がって説明を求めました。その仕組みは、魔法でも値引きでもありませんでした。
車両価格の一部を「残価」として最後に残す仕組み
残価設定ローンとは、数年後(3年や5年など)の車の価値である「残価」をあらかじめ設定し、車両本体価格からその残価を差し引いた金額だけを分割で支払うローンのことです。
- 車両本体価格が600万円
- 3年後の設定残価が300万円
- ローンで支払うのは残りの300万円(+利息)
私たち夫婦は最初、「600万円の車が300万円で買える特別な制度」だと勘違いしそうになりましたが、そうではありません。残りの300万円は「とりあえず支払いを3年後に保留しているだけ」なのです。
月々の支払いが安く見える理由
月々の支払いが劇的に安く見えるのは、総額を均等に割っているわけではなく、この「保留した残価」があるからです。
通常のローンであれば600万円全額を分割して支払うため、月々の負担は大きくなります。しかし残クレなら、実質300万円分を分割する計算になるため、月額だけを見れば「今の家計でも余裕で払える」と錯覚してしまいます。これが、多くの人が残クレの月額マジックに引き込まれる最大の理由です。
契約終了時には複数の選択肢がある
保留にした残価の精算時期(3年後や5年後)が来ると、私たちは以下の選択を迫られます。
- 新しい車に乗り換える(車両を返却して残価を相殺)
- 車を返却して契約を終了する(車を手放す)
- 残価を一括、または再ローンで支払って乗り続ける(買い取り)
「3年後にまた新しいレクサスに乗り換えられるなんて最高!」と妻は喜びましたが、車を返却して残価をゼロにするためには、「規定の走行距離内であること」「傷や事故歴がないこと」などの厳しい条件をクリアする必要があります。
レクサスを残クレで買って後悔しやすい5つの理由
我が家が残クレの検討を進める中で、危うくハマりそうになった「5つの罠」があります。これらを知らずに契約すると、数年後に身動きが取れなくなります。
1. 月額だけ見て予算を上げてしまう
「NXを買うつもりだったけど、月々数千円しか変わらないならRXにしようかな。オプションもフルで付けちゃおう!」
残クレ最大の罠がこれです。月額が圧縮されるため、本来の家計の身の丈を超えたグレードやオプションに手を出してしまいがちです。しかし、車両価格が上がれば当然総支払額も跳ね上がり、後回しにしている残債も雪だるま式に膨らんでいることを忘れてはいけません。
2. 金利を含めると総支払額が増える
私がエクセルでシミュレーションして最も驚愕したのが、金利の仕組みです。
残クレの金利は、月々支払っている部分だけでなく、「後回しにしている据え置き分(残価)」にもしっかりとかかっています。
つまり、600万円の車で300万円を残価として設定した場合、支払いを保留している300万円に対しても毎月利息を払い続けることになります。最終的に現金一括や通常ローンと比較すると、数十万円単位で総支払額が高くなるケースも珍しくありません。
3. 最終回の残価を忘れやすい
日々の生活に追われていると、数年後に数百万円の支払いが待ち構えていることをつい忘れてしまいます。
「子どもたちの教育費が一番かかる時期に、レクサスの残価300万円の精算が来るけど、どうやって払うの?」と冷静に計算したとき、我が家は背筋が凍りました。再ローンを組むにしても、その時点での金利が適用されるため、さらに利息負担が重くのしかかります。
4. 途中で売りたいときに残債が問題になることがある
「もし親の介護や子どもの成長で、やっぱりミニバンが必要になったら?」
残クレ期間中に車を売却したり、他メーカーの車に乗り換えたりすることは可能ですが、そのためには「残債を一括返済」する必要があります。
もし車の査定額がローン残債を下回っていた場合、その差額を自腹で一括補填しなければ車を手放すことすらできません。ライフスタイルの変化に対応しづらくなるのは、家族にとって大きなリスクです。
5. 返却条件を理解していないと追加負担が発生する可能性がある
やんちゃな息子2人を育てる我が家にとって、この条件は致命的でした。
- 月間走行距離の制限(例:1,000km/月など)
- 内外装の傷や汚れ
- 事故による修復歴
「子どもがジュースをこぼした!」「ドアを隣の車にぶつけた!」といった日常のアクシデントが、すべて最終回の「ペナルティ(追加請求)」に直結します。車を道具として気兼ねなく使いたいファミリーにとって、常に「査定落ち」に怯えながらレクサスに乗るのは、想像以上の精神的ストレスになります。
レクサスの残クレで必ず確認したい「金利」
「ねえ、残クレなら月々4万円台だよ!これならうちでも……」
見積もり書を見て目を輝かせる妻の横で、私は見積もり書の隅に小さく書かれた「実質年率(金利)」の数字をじっと見つめていました。
「月々が安いのは分かった。でも、この金利、最終的にいくら払うことになるか計算してみようか」
帰宅後、私はすぐにエクセルを立ち上げました。結果として、この「金利の仕組み」を正しく理解していなかったら、我が家は完全に予算オーバーの負債を抱え込んでいたところでした。残クレを検討する際、絶対に目を背けてはいけないのが金利の罠です。
月々の支払いではなく総支払額で比較する
私がエクセルで弾き出したシミュレーション結果を見て、妻は「えっ、嘘でしょ……?」と絶句しました。
例えば、600万円の車を金利4.9%の残クレ(残価300万円)で契約したとします(※あくまでシミュレーション用の架空の数字です)。
月々の支払いが圧縮されているため、「毎月払う利息も少ないはず」と錯覚しがちです。しかし、実際には300万円の「据え置き部分」を含めたローン総額に対して金利がかかっています。
ローン終了時までに支払う利息の総額を計算すると、数十万円、場合によっては100万円近くになることもあります。「月々4万円」という目の前の安さの裏で、見えない利息が想像以上に膨らんでいるのです。だからこそ、ディーラーで提示された「月額」だけで判断せず、必ず「利息を含めた総支払額」を算出してもらう必要があります。
残価部分への金利の扱いも契約条件を確認する
「でもさ、3年後に一括で残価を払えば、そこから先の金利はかからないんでしょ?」と妻は食い下がりました。
確かにその通りですが、問題は「その3年間、据え置いた残価部分に対してどう金利がかかっているか」です。一般的な残クレでは、最終回に支払う予定の「残価(例えば300万円)」に対しても、初月からずっと金利がかかり続けています。
つまり、私たちは「まだ払っていない300万円」を数年間手元に残しておく(支払いを先延ばしにする)ための「手数料(利息)」を、毎月払い続けているようなものなのです。この仕組みを知ったとき、私は「なるほど、だから月々の元金は減りにくいのに、利息はしっかり取られるのか」と腑に落ちました。契約商品や販売会社によって金利の計算方法やキャンペーン適用の有無が異なるため、ここは必ず契約前に確認すべきポイントです。
一括・通常ローンとも同じ条件で比較する
「じゃあ、普通のローンだったらどうなるの?」
我が家では、ディーラーの担当者にお願いして「残クレ」「通常ローン」「(参考までに)一括」の3パターンの見積もりを、すべて同じ頭金・ボーナス払いの条件で作ってもらいました。
- 残クレ: 月々は圧倒的に安いが、利息総額が最も高くなりやすい。3年後の残価精算という壁がある。
- 通常ローン: 月々の負担は重くなるが、残クレよりは利息総額が抑えられる傾向にある(金利設定による)。最後まで払えば完全に自分の車になる。
- 一括払い: 手元資金は一気に減るが、金利負担はゼロ。総支払額は最も安い。
こうして横並びで比較して初めて、「残クレの金利負担分は、月々の支払いを安くするための『安心料』として妥当かどうか」を冷静に判断できるようになりました。
残価が高いレクサスなら残クレは得なのか?
「でもさ、レクサスってリセールバリュー(再販価値)がすごく高いんでしょ? だったら残価も高く設定されてるから、残クレで買うのが一番賢い買い方なんじゃないの?」
YouTubeやSNSで仕入れた知識を得意げに披露する妻。確かに、「レクサス=高リセール」というイメージは車好きの間でも浸透しています。しかし、ここにも私が過去の車選びで痛い目を見た「残価の思い込み」が潜んでいました。
高い残価設定にはメリットがある
妻の言う通り、レクサスは他のメーカーの車と比較して、数年後の価値が高く保たれやすい(残価率が高い)傾向にあります。
残クレにおいて、設定される残価が高いということは、それだけ「契約期間中に分割して支払う金額(元金)」が少なくなることを意味します。例えば600万円の車で、3年後の残価が300万円(50%)に設定されれば、残りの300万円を分割します。もしこれが200万円(約33%)しか残価がつかない車であれば、400万円分を分割しなければならず、月々の負担は一気に重くなります。
つまり、「レクサスだからこそ、月々の支払いを現実的なラインまで下げられる」というのは事実であり、大きなメリットです。
「残価が高い=必ず得」ではない
しかし、ここで私がブレーキをかけました。
「残価が高いからといって、家計全体の収支で見て『得』をしているわけじゃないんだよ」
残価が高いということは、言い換えれば「数年後に支払わなければならない残債(借金)が大きい」ということです。もし3年後に車を返却して乗り換えるなら問題ありませんが、「やっぱり買い取って長く乗り続けたい」となった場合、待ち受けているのは300万円もの一括請求か、再度金利を上乗せしたローンです。
「月々が安いから」と予算ギリギリまでグレードやオプションを上げ、残価を高く設定すればするほど、後で「車を手放すしか選択肢がない」という身動きの取れない状況に陥りやすくなります。
市場リセールと契約上の残価は別物
もう一つ、妻が混同していた決定的な勘違いがありました。
「レクサスはリセールがいいから、3年後に売れば残価以上に高く売れて、お釣りで次の車の頭金になるかも!」
これは非常に危険な考え方です。
ディーラーが契約時に約束してくれる「設定残価(保証残価)」と、数年後の「市場の買取相場(リセール)」は全くの別物です。
確かに、人気のSUVモデル(NXやRXなど)は市場相場が高騰し、設定残価を上回る価格で買い取ってもらえるケース(いわゆる「残価のプラス精算」)もあります。しかし、車の相場は水物です。新型へのフルモデルチェンジ、競合車種の登場、あるいは少しの傷や事故歴で、買取相場はあっという間に急落します。
「高く売れるはず」という皮算用で予算以上のレクサスを買い、いざ数年後に査定に出したら設定残価を下回り、「乗り換えるには数十万円の自腹補填が必要」と言われて泣く泣く手放す……。そんな悲劇を避けるためにも、「高リセール」を過信して家計に無理なローンを組むのは絶対に避けるべきだと、私たちは結論づけました。
残クレ中にレクサスを売却・途中解約したくなったら?
残クレ契約中の途中売却や解約は制度上可能ですが、必ず「残債の一括返済」という大きなハードルが伴います。
「もし親の介護や、子どもの成長でライフスタイルが変わったら? やっぱりミニバンに戻したいってなったらどうなるの?」
残クレの検討中、妻がふと漏らしたこの一言で、私たちはディーラーの担当者に「途中解約」のリアルな手順を問い詰めました。結論から言うと、スマホのキャリアを乗り換えるような手軽さでは決してありません。
まず残債を確認する
途中で車を手放したくなった場合、最初にすべきことは「現在、ローンがいくら残っているか(残債)」の確認です。
これは、毎月支払っている元金の残りだけでなく、最後に待ち構えている「据え置いた残価」も当然含まれます。残クレは初期のころは利息の支払い割合が多く、元金がなかなか減らない仕組みになっているため、契約から1〜2年で解約しようとすると、想像以上に多額の残債が残っていることに驚かされます。
売却価格が残債を上回る場合
もし、車の査定額(売却価格)が残債を上回っていれば、比較的スムーズに事は運びます。
例えば、残債が400万円で、車の買取査定が450万円だった場合、売却したお金でローンを完済し、残りの500万円を手元に残すことができます(プラス精算)。レクサスの人気SUVモデルなどであれば、市場の需要が高いため、この「プラス精算」で上手く乗り換えられるケースもあります。
売却価格が残債を下回る場合
私たちが最も恐れたのがこのパターンです。
残債が400万円なのに、査定額が350万円にしかならなかった場合。車を手放すためには、ローンを完済しなければならないため、差額の50万円を「自腹で現金一括支払い」する必要があります。
「えっ、車を売るのにお金を払うの!?」と妻は驚愕していましたが、これが現実です。もし手元に現金がなければ、車を売りたくても売れず、今の生活に合わない車に乗り続けながらローンを払い続ける「残クレ地獄」に陥ってしまいます。
「いつでも自由に返せる」と考えない
「月々安いし、最悪途中で返せばいいや」という軽い気持ちで契約するのは非常に危険です。
レクサスはリセールが良いとはいえ、相場は常に変動します。フルモデルチェンジのタイミングや、経済状況の変化で、いつ買取価格が暴落するかは誰にも分かりません。「いつでも自由にやめられるわけではなく、基本的には契約満了まで乗り続ける覚悟が必要な支払い方法」だという認識を夫婦で持ちました。
事故・傷・走行距離があると残クレ返却時はどうなる?
最終回に車を返却して残価をゼロにするためには、「車の状態が一定の基準を満たしていること」が絶対条件となります。基準から外れた場合は、追加請求(ペナルティ)が発生する可能性があります。
やんちゃ盛りの息子2人がいる我が家にとって、この「返却時の条件」は最も胃の痛くなる問題でした。
返却時には車両状態の条件がある場合がある
ディーラーの担当者から見せられた残クレの契約書には、細かい規定がびっしりと書かれていました。
車を返却して残価を相殺(精算)してもらうためには、「内外装のダメージが規定の点数(減点)以内であること」といった条件が設定されています。つまり、新車に近い綺麗な状態を保っていなければ、約束された残価では引き取ってもらえないということです。
事故歴・大きな傷などは査定に影響する可能性がある
「子どもが車内でお茶をこぼしてシートにシミができた」「ドアを隣の車にぶつけて凹んだ」「バンパーを擦った」
ファミリーカーとして車を使っていれば、どれも日常茶飯事のトラブルです。しかし残クレの場合、これらはすべて返却時の「査定落ち」につながります。
もし事故を起こしてフレームまで修理するような「修復歴」がついてしまった場合、車の価値は激減します。設定残価と実際の査定額の差額が数十万円に達し、最終回にその差額を耳を揃えて支払わなければならない……という事態も十分にあり得ます。「子どもが汚すたびにイライラして、車に乗るのがストレスになりそう」と妻がこぼしたのも無理はありません。
走行距離の条件も契約時に確認する
もう一つ見落としがちなのが「走行距離」です。
残クレでは「月間1,000km以内(3年で36,000km以内)」といった具合に、走行距離の上限が定められています。これをオーバーすると、「1kmオーバーにつき〇円」といった形で超過料金を請求されます。
「休日は毎週のように遠出をしてキャンプに行きたい」「実家への帰省で長距離を走る」といった使い方をする家庭の場合、気づけば規定距離をオーバーしていることがあります。車の使い方を制限されるような息苦しさを感じるなら、残クレという選択自体を考え直す必要があると痛感しました。
レクサスの残クレが向いている人
ここまで、過去の我が家が直面した「残クレの罠」や失敗談を中心に語ってきました。これだけ聞くと「じゃあ、レクサスを残クレで買うなんて絶対にやめたほうがいいんだね」と思うかもしれません。
しかし、ディーラーの担当者や実際に残クレを活用している知人の話を聞いていくうちに、「残クレという仕組み自体が悪いのではなく、利用する人のライフスタイルに合っているかどうかがすべて」だということが分かってきました。
結論として、以下のような乗り方や考え方ができる人にとっては、残クレは非常に合理的な選択肢になります。
数年ごとに新しいレクサスへ乗り換えたい
「車検のタイミング(3年や5年)で、常に最新モデルに乗り換えたい」という人にとって、残クレは最適です。
レクサスは数年ごとにマイナーチェンジやフルモデルチェンジを行い、安全装備やデザインが劇的に進化します。車を買い取って長く維持するよりも、「常に最新の安全技術が搭載されたピカピカのレクサスに乗るためのリース」のような感覚で割り切れるなら、月々の支払いを抑えつつ定期的に乗り換えるサイクルを作ることができます。
手元資金を一気に減らしたくない
「現金一括で買える貯金はあるけれど、投資に回したい」「これから子どもが私立中学に進学するから、手元の現金はなるべくキープしておきたい」
こうした明確な理由がある場合も、残クレは有効です。金利という手数料を払ってでも、手元に数百万円のキャッシュを残しておくことで、家計の急な出費や資産運用に柔軟に対応できます。
走行距離や車の使い方がある程度予測できる
「通勤や近所の買い物がメインで、月々の走行距離はせいぜい500km程度」「子どもも大きくなって、車内でお菓子やジュースをこぼす心配がない」
このように、車の使い方がルーティン化されていて、綺麗に乗れる自信がある人なら、返却時の「走行距離オーバー」や「傷・汚れによるペナルティ」に怯える必要がありません。
契約終了時の出口をあらかじめ考えられる
残クレを上手に使いこなしている人は、「3年後に車を返却して次の車にする」と最初から決めています。
「数年後に買い取るか、返すか、その時になってから決めよう」というスタンスではなく、出口(ゴール)を明確に設定して契約できる計画的な人に向いている支払い方法だと言えます。
レクサスの残クレが向いていない人
一方で、当時の私たちのように「レクサスに乗りたい気持ちが先行して、月額の安さに飛びつこうとしている人」は、残念ながら残クレには不向きです。我が家の状況を当てはめてみると、見事に「向いていない条件」のオンパレードでした。
月々の支払額だけを理由に予算を上げている
「月々数千円の差なら、NXじゃなくてRXにしようかな。本革シートのオプションも付けちゃえ!」
妻が陥りかけたこの思考回路は、残クレで最も後悔する典型例です。「月々払えるから」と本来の家計の身の丈を超えた車を選んでしまうと、金利を含めた総支払額が跳ね上がり、数年後の残債(借金)に苦しめられることになります。
一台を長期間乗り続けたい
「せっかく憧れのレクサスを買うんだから、愛着を持って10年くらい長く乗りたいな」
そう考えているなら、残クレは避けるべきです。残クレは基本的に「数年で車を返却する」ことを前提とした仕組みです。長く乗るために最終回で残価を一括精算したり、再ローンを組んだりすると、最初から通常ローンで長期間組んだ場合よりも、結果的に金利の総負担額が高くついてしまうケースが多いです。
カスタムや走行距離を気にせず使いたい
私たち家族のように、休日はミニバン感覚でキャンプに行き、子どもたちが泥だらけの靴で乗り込み、長距離ドライブを楽しむ……。
車を「気兼ねなく使える便利な道具」としてフル活用したいファミリーには、残クレの「走行距離制限」や「原状回復の義務」は重荷でしかありません。「ああっ、ジュースこぼさないで!」「そこ触らないで!」とヒヤヒヤしながらレクサスに乗るのは、精神衛生上よくありません。
数年後の大きな支払いに不安がある
「3年後に300万円の残価をどうするか、その時考えればいいよね」という楽観的な見通しは危険です。
子育て世代にとって、数年後の家計状況はどう変化するか分かりません。いざ車を手放そうとした時に、設定残価を下回って「自腹で数十万円払わないと解約できない」という事態になったら、家計に致命的なダメージを与えます。出口戦略に不安があるなら、手を出さないのが無難です。
レクサスは残クレ・通常ローン・一括のどれがいい?
「向いていない人の条件、うちに見事に全部当てはまってるね……」
私の解説を聞き終えた妻は、肩を落としていました。しかし、これは決して「レクサスを諦めるべき」という意味ではありません。「我が家に合った正しい買い方」を選べばいいだけなのです。
ディーラーで提示された「月額」の魔力から抜け出した私たちは、改めて「残クレ」「通常ローン」「一括」のどれが最も自分たちの家計とライフスタイルに合っているのかを比較しました。
総支払額を抑えたいなら一括がシンプル
もし手元に十分な資金があり、それを投資や他の大きなライフイベント(住宅購入など)に回す予定がないのであれば、間違いなく「現金一括」が最強です。
金利という無駄な手数料を1円も払う必要がなく、買った瞬間から車は完全に自分の所有物になります。走行距離の制限も、傷をつけた時のペナルティも、数年後の残価を気にする必要も一切ありません。家計の総支払額を最も安く抑えたいなら、一括に勝る選択肢はありません。
支払いを平準化したいなら通常ローン
「一括で払えるほどの現金はないけど、自分の車として長く大切に乗りたい」
我が家が最終的に選んだのは、この「通常ローン(銀行のマイカーローンなど)」でした。
月々の支払額は残クレよりも高くなりますが、その分、毎月確実に元金が減っていきます。ディーラーのローンよりも金利が安い金融機関を自分たちで探して組めば、総支払額を大幅に圧縮できます。何より「5年払いきれば、あとは維持費だけでずっと乗れる」という精神的な安心感は、子育て中の私たちにとって非常に大きかったです。もしレクサスの購入を検討しているなら、レクサスは値引きゼロでも満足できる?買って後悔する人・しない人の違いといった記事も参考にしつつ、長く愛せる一台を通常ローンで手に入れるのも賢い選択です。
数年での乗り換え前提なら残クレも選択肢
一方で、「車検ごとに常に最新モデルに乗り換えたい」「手元の資金は投資で回したい」という明確な目的があるなら、残クレは非常に強力なツールになります。
ただし、その場合は「どの車種・グレード・色が最も残価が高く設定されるのか」を戦略的に選ぶ必要があります。レクサスはリセールが高い?色・グレード・5年後の残価で比較などの情報を活用し、少しでも有利な条件で残クレを組める車を選ぶのが、この制度を賢く使いこなすコツです。
「払えるか」ではなく「余裕を持って払えるか」で判断する
私たち夫婦がこの一連の騒動から学んだ最大の教訓はこれです。
「月々4万円なら払える!」と背伸びをするのではなく、「月々4万円払っても、教育費やレジャー費を削らずに、心に余裕を持って生活できるか?」を問いかけること。家計をギリギリまで圧迫して高級車に乗っても、休日のお出かけを我慢するハメになっては本末転倒ですから。
残クレ契約前にディーラーへ確認するチェックリスト
ディーラーへ足を運ぶ前に、私がエクセルで作った「質問メモ」を公開します。
担当者の営業トークに流されず、冷静に自分たちの家計を守るため、以下の項目は必ず見積もり書とともに確認し、納得できるまで質問してください。
- 車両価格・頭金・月々の支払額・ボーナス払いの有無
- 実質年率(金利)と利息を含めた「総支払額」(※通常ローンと比較すること)
- 支払回数と最終回支払額(設定残価)
- 返却時の車両状態条件(内外装の傷・汚れの許容範囲)
- 走行距離条件(月間・年間何kmまでか、超過時のペナルティ料金)
- 中途解約・売却時の条件(残債の一括返済方法)
- 事故を起こした際(修復歴がついた際)の扱い
- 契約満了時(最終回)の3つの選択肢の具体的な手続き
このリストを片手に質問すれば、「この客は月額だけ見て契約するような情弱ではないな」と担当者にも伝わり、より誠実な提案を引き出せるはずです。(※なお、レクサスの購入交渉術については、レクサスは本当に値引きゼロ?値引きしない理由と実際に得する買い方を解説やレクサスで値引き交渉はできる?オプション・下取り・サービスで得する方法もぜひ参考にしてください)
まとめ|レクサスの残クレは「月額」ではなく出口まで考えて選ぼう
「あの時、勢いで残クレの契約書にサインしなくて本当に良かったね」
先日、通常ローンで購入したレクサスで家族旅行に出かけた際、後部座席でジュースをこぼして大騒ぎする子どもたちを見ながら、妻が笑って言いました。もし残クレだったら、「ああっ! 返す時の査定が下がる!」と烈火のごとく怒っていたことでしょう。
レクサスの残クレは、決して「人を騙す悪の制度」ではありません。手元資金を残しながら数年ごとに新車を乗り継ぐ人にとっては、これ以上ないほど合理的なシステムです。
しかし、その仕組みと「見えない金利の罠」を理解せず、「月々が安いから」という理由だけで飛びつくと、数年後に身動きが取れなくなる恐れがあります。
大切なのは、「月額」という目先の数字に囚われず、金利を含めた「総支払額」、そして3年後・5年後の「出口(乗り換えるのか、手放すのか、買い取るのか)」までを含めてシミュレーションすることです。
本稿が、皆さんの家計とライフスタイルに合った「後悔しないレクサスの買い方」を見つける一助になれば幸いです。