車を買う前の判断基準

立体駐車場に入る車まとめ|高さ1550mm以下で選べるSUV・ファミリーカー・ワゴン一覧

「ねえパパ、次の車はやっぱりSUVがいいな。視界も高くて運転しやすそうだし、なによりカッコいいじゃない?」

ママが雑誌を広げながら目を輝かせていますが、僕(パパ)の頭の中には冷静な計算式が走っていました。僕たちが住んでいる都心のマンション、そしてよく行くショッピングモールの駐車場……そう、あの「立体駐車場(機械式駐車場)」の存在です。

「気持ちはわかるよ。でも、うちのマンションの駐車場、高さ制限が1550mmだろ? 流行りのSUVのほとんどは、背が高すぎて入らないんだよ」

「えっ、そうなの!? 全部ダメなの?」

「全部じゃないけど、かなり限られるね。カタログの『全高』をしっかり見ないと、契約してから『駐車場に入らない!』なんて大惨事になりかねないぞ」

この会話、決して他人事ではありません。空前のSUVブームですが、日本の住宅事情、特に都市部の機械式駐車場は、セダンが主流だった頃の「高さ1550mm以下」という規格が多く残っています。

そこで今回は、私たちサルヂエファミリーが徹底リサーチした「高さ1550mm以下の立体駐車場に入る車(SUV・ファミリーカー・ワゴン)」をまとめて紹介します。

「SUVは諦めなきゃダメ?」と悩む前に、まずはこの基準をクリアする選択肢を一緒に見ていきましょう。意外と魅力的な車が見つかるかもしれませんよ。

立体駐車場の高さ制限「1550mm」とは?【まず仕組みを理解】

車選びを始める前に、まずは敵(?)である立体駐車場の仕組みと、なぜ「1550mm」という中途半端な数字が壁になるのかを整理しておきます。ここを理解しておくと、ディーラーでの商談でも「この車は入りますか?」と鋭い質問ができるようになります。

なぜ多くの立体駐車場は高さ1550mmなのか

結論から言うと、これは「昔の車(セダン)のサイズ」に合わせて作られた規格だからです。

  • 歴史的背景:1990年代頃までに建設された多くのマンションや商業施設の機械式駐車場は、当時主流だったセダンやコンパクトカーを基準に設計されました。
  • 効率の追求:限られた土地にできるだけ多くの台数を収容するため、パレット(車を乗せる台)の間隔をギリギリまで詰めた結果、高さの上限が1550mmに設定されました。

最近の新築マンションでは「ハイルーフ対応(高さ2000mm程度までOK)」の駐車場も増えてきましたが、既存の物件では改修に莫大な費用がかかるため、古い規格のまま運用されているのが実情です。僕たちのように「立地は良いけど築年数が少し経っているマンション」に住んでいる場合、この制限は避けて通れません。

実測での“余裕”はどのくらい?ギリギリでも入る?

「カタログ値で1555mmなんだけど、たった5mmくらいなら誤差で入るんじゃない?」
ママならそう言いそうですが、これは絶対にNGです。

機械式駐車場には、入庫サイズをチェックする赤外線センサーや、物理的なゲートが設置されています。

  • センサーの感度:安全のため、規定値を数ミリでも超えるとセンサーが反応し、装置が動かない(または入庫を拒否される)ようになっています。
  • タイヤの空気圧や積載量:タイヤの空気圧が高かったり、荷物を降ろして車高がわずかに上がっただけでセンサーに引っかかることもあります。

管理会社によっては「車検証上の数値が1550mm以下であること」を利用規約で厳格に定めており、実測で入ったとしても、万が一の事故の際に責任を問われるリスクがあります。「ギリギリを攻める」のはやめましょう。

SUV・ワゴンが制限に引っかかる理由

なぜSUVや一部のトールワゴンはこの制限に引っかかるのでしょうか。単に「天井が高い」だけではありません。

  1. 最低地上高(ロードクリアランス)が高い:SUVは悪路走破性を高めるため、地面から車体までの隙間が大きく作られています。これが全体の高さを押し上げています。
  2. ルーフレール・アンテナ:アウトドア感を出すルーフレールや、屋根に飛び出したシャークフィンアンテナ等の突起物が、1550mmを超える原因になることが多々あります。

つまり、車内の広さ(室内高)はセダンと変わらなくても、足元の高さ+屋根の上のパーツのせいで、立体駐車場NGとなっているケースが多いのです。逆に言えば、ここを抑えた「都市型SUV」なら、チャンスはあるということです。

高さ1550mm以下で入るSUV一覧(国産/外車別)

「SUV=背が高い」という常識を覆し、あえて立体駐車場のサイズに合わせて設計されたモデルや、クーペスタイルを採用することで結果的に収まっているモデルが存在します。

数は多くありませんが、ここがまさに狙い目。パパがカタログ数値を睨んで厳選したラインナップがこちらです。

国産SUV(トヨタ/ホンダ/マツダ/スバル)

国産メーカーの中で、立体駐車場ユーザーに最も優しいのがマツダです。

  • マツダ CX-30:全高1540mm。
    都市型SUVの筆頭です。スタイリッシュなデザインで、余裕を持って入ります。
  • マツダ CX-3:全高1550mm。
    コンパクトで取り回しが良く、ジャストサイズで設計されています。
  • マツダ MX-30:全高1550mm。
    観音開きドアが特徴的なモデル。こちらも基準内に収めています。

次にトヨタ・レクサス勢です。

  • トヨタ C-HR:全高1550mm(ガソリン2WD/ハイブリッド)。
    ※注意:4WDモデルは1565mmになる場合があり、グレードによる確認が必須です。
  • トヨタ クラウン クロスオーバー:全高1540mm。
    セダンとSUVの融合モデル。車格は大きいですが、高さはクリアしています。
  • レクサス UX:全高1540mm。
    高級感とコンパクトさを両立しており、都心の駐車場でも安心です。

注意点(スバル XV/クロストレックについて)
人気のあるスバル車ですが、現行のクロストレックは全高1575mmあり、基本的にNGです。先代のスバル XVも、ルーフレールなしのモデルで1550mm、ありだと1595mmになるなど、仕様によって生死(入庫可否)が分かれます。中古車を含めて検討する場合は特に注意が必要です。

外車SUV(BMW/メルセデス/MINIなど)

輸入車はボディサイズが大きくなりがちですが、コンパクトクラスやクーペSUVには適合車があります。

  • BMW X2:全高1525mm〜。
    X1は背が高いですが、クーペスタイルのX2なら余裕で入ります。
  • アウディ Q2:全高1520mm〜。
    「型破り」がキャッチコピーのコンパクトSUV。高さにはかなり余裕があります。
  • シトロエン C4:全高1525mm。
    ハッチバックとSUVの中間のようなスタイルで、個性的なデザインが魅力。
  • メルセデス・ベンツ GLA(先代):全高1505mm(初代X156型)。
    ※現行モデル(H247型)は1620mmあり、入りません。「ベンツのコンパクトSUVなら入る」という古い知識は危険です。

人気SUVの“全高”早見表

ママが気になっていた車種も含め、○×で判定リストを作りました。

メーカー 車種名 全高(カタログ値) 立体P(1550mm) 備考
マツダ CX-30 1540mm 余裕あり
トヨタ C-HR 1550mm 4WDはNGの場合あり
ホンダ ヴェゼル 1580mm〜 × 人気だがNG
トヨタ ヤリスクロス 1590mm × コンパクトだが背は高い
日産 キックス 1610mm × NG
BMW X2 1525mm 余裕あり
Jeep レネゲード 1695mm × 全く入らない

「あちゃー、街でよく見るヴェゼルやヤリスクロスは入らないんだ……」
ママが少し残念そうですが、これが現実。デザインだけで選ぶと契約後に泣くことになります。

立体駐車場に入るファミリーカー・ステーションワゴン

「どうしても1550mm以下じゃないとダメだけど、家族4人で荷物も載せたい」
そんな時、視点を少し変えて「ステーションワゴン」「背の低いミニバン的車種」に目を向けると、選択肢がグッと広がります。

車高1550mm以下のファミリーカー(トヨタ、日産、スズキなど)

スライドドア付きのミニバンは軒並み全高1700mmを超えますが、ヒンジドア(普通のドア)のハッチバックやワゴンタイプには優秀なファミリーカーがあります。

  • ホンダ シャトル(生産終了・中古のみ):全高1545mm(2WD)。
    フィットベースで中は広々。5ナンバーサイズで維持費も安く、立体駐車場ユーザーの救世主的存在でした。今でも中古市場で人気です。
  • トヨタ プリウス:全高1470mm(現行)。
    燃費最強。荷室はそこまで広くありませんが、日常の足としては十分。
  • ホンダ シビック(ハッチバック):全高1415mm。
    スポーティですが、実は荷室が広く、ベビーカーも積みやすい隠れた名車です。

ステーションワゴンで立体駐車場に入る代表モデル

「SUVの見た目」にこだわらなければ、実はステーションワゴンこそが最強の回答かもしれません。

  • スバル レヴォーグ:全高1500mm。
    走りの良さとアイサイトの安全性、そして広大な荷室。高さには50mmもの余裕があります。
  • トヨタ カローラツーリング:全高1460mm。
    今の日本の道路事情にベストマッチ。取り回しが良く、荷物もしっかり載ります。
  • マツダ MAZDA6 ワゴン:全高1480mm。
    デザインが美しく、ディーゼルなら燃料費も安い。大人っぽい選択です。

SUVとワゴン、駐車場相性の違い

ここで、理屈派パパの分析メモを共有します。

  • SUVのメリット:視点が高く運転しやすい。悪路や段差に強い。
  • SUVのデメリット:立体駐車場では天井がギリギリになりがち。
  • ワゴンのメリット天井に余裕があり、センサー誤検知のリスクが低い。重心が低いため、子供が酔いにくい。
  • ワゴンのデメリット:視点はセダンと同じ低さ。

「ギリギリ1550mmのSUVを入れて毎回ヒヤヒヤするより、余裕のあるワゴンでサッと停めるほうが、毎日のストレスは少ないかも?」
ママもこの意見には「確かに……買い物帰りに急いでるとき、センサーで止められるのは嫌だわ」と納得の様子です。

「立体駐車場に入るSUVを選ぶ」ためのチェックポイント

「カタログで1550mm以下だったから大丈夫!」
そう思って契約し、納車日に駐車場に入らず呆然とする……という悲劇は実際に起きています。サルヂエファミリー流の「絶対に失敗しないチェック手順」を紹介します。

ディーラーで確認すべき「全高」と「車高調整機能」

ディーラーの営業マンは車のプロですが、あなたのマンションの駐車場のプロではありません。「たぶん入りますよ」という言葉を鵜呑みにせず、以下の点を食い気味に確認しましょう。

  1. 「アンテナ込み」の数値か?
    カタログの全高は、基本的に標準状態の数値です。オプションの「シャークフィンアンテナ」に変えたり、ルーフレールを追加したりすると、数センチ高くなることがあります。
  2. グレードによる違い
    同じ車種でも、4WDモデルやインチアップされたタイヤを履く上位グレードでは、車高が10〜20mm高くなっていることがよくあります。「C-HRなら全部入る」といった思い込みは捨て、検討しているグレードそのものの数値を必ず確認してください。
  3. エアサス車の場合
    一部の高級輸入車などには、車高を上げ下げできるエアサスペンションが付いています。「アクセスモード」などで車高を下げて入庫できる場合もありますが、エンジンを切った後に自動で元の高さに戻らないか等の仕様確認が必要です。

実測で確認すべき“立体駐車場の種類”

一口に立体駐車場と言っても、実は微妙な違いがあります。管理人に聞くか、操作盤のステッカーを見て確認しましょう。

  • パレット(台)の形状
    タイヤを乗せる部分がフラットなのか、溝があるのか。溝があるタイプの場合、タイヤ幅が太いスポーツSUVだとホイールを擦ってしまう恐れがあります。
  • ゲート・センサーの位置
    入り口のチェーンゲートや、高さを検知する光電管センサーがどの位置にあるか。センサーが「車両の前方」だけを測るタイプなら、車体中央が少し高くても入ってしまうことがありますが、これは事故の元です。

車選びで失敗しないための実践ポイント3つ

  1. 「試乗車」で試し入れをさせてもらう
    これが最強かつ確実な方法です。多くのディーラーでは、営業マン同乗のもと、自宅の駐車場まで試乗車を持ってきて「車庫入れテスト」をさせてくれます。これでセンサーが鳴らなければ合格です。
  2. 車検証の「型式指定番号」での確認
    管理会社が厳しい場合、実測で入っても「車検証の数値」だけでNGを出されることがあります。事前に管理規約を読み込み、許容範囲を確認しておきましょう。
  3. タイヤの空気圧を考慮する
    新品タイヤや空気圧が高めの状態だと、カタログ値より数ミリ背が高くなることがあります。1550mmジャストの車を検討する場合は、この数ミリが命取りになります。

立体駐車場にSUVを入れるときの注意点と現実解

無事に入庫できる車を買ったとしても、毎日の運用には「SUVならでは」の悩みが付きまといます。ママが懸念する「日々の手間」についても正直にお話しします。

サスペンション沈み込み・アンテナ・ルーフレールの影響

  • アンテナ問題
    車種によっては、入庫のたびに「アンテナを倒す・回して外す」という作業が必要になります。雨の日も荷物がいっぱいの日も、毎回です。ママからは「絶対に続かないから、アンテナ操作不要な車にして!」と強く釘を刺されました。
  • サスペンションの挙動
    「人が乗っているときは重みで車高が下がるから入るけれど、全員降りて荷物も下ろすと車高が上がってセンサーに引っかかる」という逆転現象が起きることがあります。特に空車時の跳ね上がりが大きい車は注意が必要です。

1550mmギリギリ車の「入庫事故」リスク

制限1550mmのパレットに1550mmの車を入れるのは、物理的には可能でも、精神衛生上よくありません。

  • 積雪時、屋根に数センチ雪が積もっただけで高さオーバーになり、出庫できなくなる(または入庫できなくなる)。
  • パレットの昇降中に車体が揺れ、天井の配管や梁(はり)に接触するリスク。

「毎回、天井を擦らないかヒヤヒヤしながらボタンを押すのは嫌だよね」
この心理的ストレスは、長く乗るうえで無視できない要素です。

駐車場を選ぶ?車を選ぶ?家族会議のリアルな落とし所

最終的に、私たちサルヂエファミリーが出した結論の方向性は以下の2つでした。

  1. 車を合わせる(現実路線)
    立体駐車場に入る「全高1540mm以下(10mmの余裕確保)」のSUV、またはステーションワゴンを選ぶ。
    今のマンションに住み続けるならこれが正解。
  2. 駐車場を変える(情熱路線)
    どうしても背の高いSUV(フォレスターやハリアーなど)に乗りたいなら、近隣の「平面駐車場」を別途契約する。
    コストは上がるし、家から遠くなるかもしれないが、好きな車に乗れる。

我が家の場合、「雨の日に子供を連れて外の駐車場まで歩くのは無理!」というママの鶴の一声で、今回は「今の駐車場に入る、カッコいい車を探す」ことになりました。

結局のところ、車は生活の一部。「憧れ」と「生活の利便性」のバランスをどこで取るか、しっかり家族会議をすることが大切です。

まとめ|“高さ1550mm以下”を基準に、後悔しない車選びを

「立体駐車場だからSUVは無理」
最初はそう諦めかけていた私たちですが、詳しく調べてみると、意外にも魅力的な選択肢が残されていることがわかりました。

今回の調査でわかった重要ポイントを振り返ります。

  • 1550mmの壁は厚い:多くの人気SUVはサイズオーバー。カタログ値の確認は必須。
  • 狙い目は「都市型SUV」と「ワゴン」:マツダCX-30やBMW X2、あるいはレヴォーグのようなステーションワゴンなら、走りの楽しさと駐車場の利便性を両立できる。
  • 「ギリギリ」は避ける:毎日のストレスや事故リスクを考えれば、数値には10mm以上の余裕(全高1540mm以下)を持たせるのが理想。
  • 必ず「実車」でテストする:カタログ値だけでなく、試乗車での車庫入れ確認が失敗しないための最終防壁。

車選びは、スペックの優劣だけでなく「自分たちの生活にフィットするか」が一番大切です。
高さ制限という制約があるからこそ、逆に「本当に必要な機能やサイズ」が見えてくることもあります。

我が家のパパも「制限がある中でベストな一台を探すの、パズルみたいで意外と面白かったな」なんて言っています。ママも「ワゴンなら酔いにくいし、子供たちも喜ぶかも!」と、当初のSUV一択から視野が広がったようです。

この記事が、あなたのマンションの駐車場にもシンデレラフィットする、素敵な一台との出会いにつながれば嬉しいです。ぜひ、メジャーを持ってディーラーへ出かけてみてください!


参考文献

  • 国土交通省「駐車場法の概要」
  • 主要自動車メーカー各社 公式サイト(主要諸元表・装備表)
  • 公益社団法人 立体駐車場工業会等の技術資料

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