これは数年前、我が家(サルヂエファミリー)で繰り広げられた、車の買い替えを巡るリアルな夫婦ゲンカの一部です。
毎日の保育園の送迎や週末の買い物。後部座席で暴れる子どもをなだめながら、狭いスペースでヒヤヒヤしながらドアを開け閉めするストレスたるや……。子育て世代にとって「スライドドア」は、もはや車選びの必須条件と言っても過言ではありませんよね。
しかし、いざ意気揚々と探し始めると、立ちはだかるのがマンションなどの「機械式立体駐車場の高さ制限(1550mm以下)」という高すぎる壁でした。
「軽自動車なら入るでしょ!」とタカをくくってカタログを見ては愕然とし、ディーラーの営業マンを質問攻めにしては冷や汗をかいた私たち。結論から言うと、車選びの難易度は想像を絶するものでした。
この記事では、私たちサルヂエファミリーが実際にメジャーを持って駐車場を測り、数々のディーラーを巡って直面した「1550mmの壁」の現実と、そこから導き出した妥協点や代替案を、リアルな失敗談とともにお伝えします。「車と駐車場、どっちを取るべきか?」と悩んでいる方の参考になれば幸いです。
結論|車高1550mm以下のスライドドア車はかなり少ない
「探せばきっと、背が低くてスライドドアの便利な車があるはず!」
そんな淡い期待を胸に、私たちは週末ごとにディーラー巡りをスタートさせました。しかし、結論から言うと、この条件を満たす車は「絶望的に少ない」というのが現実でした。
新車で探すと選択肢はかなり限られる
まず、今の新車市場から探そうとした私たちは、早々に壁にぶち当たりました。
ディーラーに行って「車高1550mm以下で、スライドドアの車をください!」と伝えると、営業マンの方は申し訳なさそうにカタログをめくり、「現在、その条件に当てはまる現行モデルは……ほぼありませんね」と苦笑い。
今のスライドドア車(ミニバンやコンパクトミニバンなど)は、とにかく「室内空間の広さ」が重視されています。そのため、全高が1600mm〜1800mmを超えるような背の高いモデルが主流なのです。「最新の安全装備がついてて、ピカピカの新車でスライドドア!」というママの夢は、開始早々に打ち砕かれました。
中古車まで広げると候補が出る可能性はある
「新車がダメなら中古車だ!」と、パパが夜な夜な中古車検索サイトを血眼になって調べ始めました。
すると、過去に販売されていたモデルの中には、全高1550mm以下でスライドドアを採用している車(例えば、トヨタのポルテやラウム、アイシスなど)が存在することがわかりました。
「おっ、これなら入るぞ!」と喜んだのも束の間。いざ実車を見に行くと、「年式が古くて燃費が心配」「自動ブレーキなどの最新の安全装備がついていない」「そもそもスライドドアが片側だけ」といった問題が浮上。
「駐車場に入るかどうか」だけで選んでしまうと、その後の維持費や安全面で激しく後悔しそうになり、購入には至りませんでした。
スライドドアを優先するなら駐車場条件の見直しも必要
「新車はない、中古車は妥協点が多い……じゃあどうすればいいのよ!」と半泣きになるママ。
そこでパパがボソッと言った一言が核心を突いていました。
「車を変えられないなら、駐車場を変えるしかないんじゃない?」
そう、1550mm制限の機械式駐車場に意地でもこだわるから選択肢がなくなるのです。私たちも最終的には、マンション内のハイルーフ対応区画に空きが出ないか管理組合に問い合わせたり、近隣の青空駐車場(平置き)の月極料金を調べたりと、「車選び」だけでなく「駐車場選び」まで視野を広げることになりました。
なぜスライドドア車は車高1550mm以下に収まりにくいのか?
「それにしても、なんで子育てしやすい車は全部背が高いの!? 低く作れば立体駐車場に入るのに!」
ディーラーの帰りの車内で、ママは不満爆発でした。たしかに、技術が進歩している現代で、なぜ低いスライドドア車が作られないのか不思議ですよね。私たちが営業マンから聞き出し、実際に自分たちで調べて納得した理由は、主に3つありました。
室内高を確保するために背が高くなりやすい
最大の理由は、私たち子育て世代が求める「使い勝手」そのものにありました。
スライドドアを求める人の多くは、「子どもを立ったまま乗せ降ろししたい」「チャイルドシートに無理な姿勢でアクセスしたくない」「車内で着替えさせたい」という願望を持っています。
これらを実現するには、床から天井までの「室内高」が絶対に必要です。床を限界まで下げても、大人がかがまずに作業できる空間を作ろうとすれば、必然的に車の屋根(全高)は高くなってしまいます。「使いやすさ」を追求した結果が、皮肉にも立体駐車場には入らない「背の高さ」を生み出していたのです。
スライドドア機構にもスペースが必要
また、構造的な問題もありました。
スライドドアを動かすためには、ドアの上下に太いレールや、モーターなどの開閉機構を組み込むスペースが必要です。普通のヒンジドア(横に開くドア)よりもドア自体が分厚く、重くなります。
さらに、大きな開口部を設けても車体が歪まないように、床や天井を分厚くして強度を上げる必要があります。この「分厚さ」のせいで、外観は大きいのに室内が狭くなるのを防ぐため、結果として全体を上に伸ばす(箱型にする)設計になりやすいのだそうです。
軽自動車のスライドドア車も多くは1550mmを超える
ここで多くの人が陥る罠が「じゃあ、軽自動車なら小さいから入るよね?」という思い込みです。私たちも完全にこの罠にハマりました。
「N-BOXとかタントなら軽だからいけるっしょ!」とカタログを開いたパパ。しかし、そこに書かれていた全高は「1,790mm」や「1,755mm」……。
「えっ、1550mmどころか、普通の車より背が高いじゃん!」
そうなんです。今の軽自動車で人気の「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるジャンルは、軽という規格(長さと幅の制限)の中で室内を広くするために、上に上に伸びているのです。
「軽自動車=小さい=立体駐車場に入る」という思い込みは、機械式駐車場において非常に危険な勘違いでした。幅や長さだけでなく、全高の確認が必須であることを、私たちは痛感させられました。
代表的なスライドドア車は1550mm以下に入る?
「じゃあ、みんなが乗ってる人気のファミリーカーはどうなの? シエンタとかフリードなら、そこまで大きくないし入るんじゃない?」
諦めきれないママは、スマホで街中によく走っている車の画像をパパに見せながら食い下がりました。パパも「たしかに、あのサイズ感ならイケるかも…」と一筋の希望を見出し、私たちは各メーカーの公式サイトとカタログを徹底的に洗い出すことにしたのです。
結論から言うと、この「見た目のサイズ感」に騙されてはいけません。私たちが実際に調べて直面した、代表的なファミリーカーの残酷な現実をお伝えします。
シエンタは1550mm以下に収まる?

まず私たちが目をつけたのが、トヨタの大人気コンパクトミニバン「シエンタ」でした。「見た目もコロンとしてて可愛いし、これなら絶対入る!」とママはすっかりその気。
しかし、現行モデル(3代目・2022年〜)のカタログを開いたパパの顔が凍りつきました。
「全高…1,695mmだ(4WDは1,715mm)」
なんと、1550mmを14センチ以上もオーバーしているのです。「えっ、あんなにコンパクトに見えるのに!?」と驚く私たち。ちなみに旧型の2代目モデルを見ても1,675mmあり、シエンタはコンパクトなのは「長さ」と「幅」であって、「高さ」はしっかりある車でした。機械式立体駐車場には、残念ながら全高オーバーで入庫できません。
フリードは1550mm以下に収まる?

シエンタがダメなら、最大のライバルであるホンダの「フリード」はどうだ!と鼻息を荒くして調べました。
しかし、結果は同じく惨敗。現行モデル(3代目・2024年〜)の全高は1,755mm。旧型(2代目)でも1,710mmと、シエンタよりもさらに背が高いことが判明しました。
「ホンダ独自の低床設計だから、もしかしたら…」と淡い期待を抱いていたパパでしたが、床が低くても室内空間を広くとるために屋根自体は高くなっていました。大人気のコンパクトミニバン2大巨頭は、1550mmの壁の前ではあっけなく散ってしまったのです。
ノア・ヴォクシー・セレナ・ステップワゴンは基本的に厳しい

「コンパクトがダメなら、もう普通のミニバンなんて絶対無理じゃん…」
そう思いつつも一応確認しましたが、ミドルサイズミニバンと呼ばれるノア・ヴォクシー(トヨタ)、セレナ(日産)、ステップワゴン(ホンダ)は、軒並み全高1,800mmを超えてきます。
もはや1550mm制限の駐車場に入れるという次元の車ではありません。子育て世帯にとってこれ以上ないほど便利で快適な車たちですが、私たちのマンションの駐車場とは決定的に相性が悪いことを、はっきりと自覚させられました。
軽スライドドア車も高さ制限に注意
「やっぱり軽自動車に戻るしかないのか…でもN-BOXは無理だったよね?」と堂々巡りになる私たち。
実は、軽自動車でスライドドアがついている車種(スーパーハイトワゴン)は、N-BOX(ホンダ)以外にも、スペーシア(スズキ)、タント(ダイハツ)、ルークス(日産)などがありますが、これらもすべて全高は1,700mm台後半です。
「軽だから」というだけでサイズを確認せずに契約し、いざ納車されてマンションの駐車場に入れようとしたらバーに激突した…なんていう恐ろしい失敗談をディーラーの営業マンから聞いて、私たちは背筋が凍る思いをしました。
車高1550mm以下でスライドドアを探すときのチェックポイント
代表的なスライドドア車が全滅したことで、「もう車を買うのは無理なのか…」とどん底まで落ち込んだサルヂエファミリー。
しかし、諦めの悪いパパは「過去のモデルも含めて、なんとか1550mm以下に収まる車がないか、もっと深く探してみよう!」と執念を燃やし始めました。その過程で私たちが学んだ、絶対に失敗しないための「全高チェックの落とし穴」を3つご紹介します。これを知らないと、買った後に泣きを見ることになります。
カタログの「全高」を確認する
まず基本中の基本ですが、「車高(最低地上高)」ではなく必ず「全高」を見ること。ここまでは私たちも分かっていました。しかし、落とし穴は「グレード」や「装備」にあります。
例えば、ある中古車を見つけて「おっ、この車の標準グレードは全高1550mmジャストだ!」と喜んだのも束の間。よく見ると、4WDモデルだと車高が上がって1565mmになっていたり、見た目をカッコよくする「ルーフレール(屋根の上の棒)」がついているせいで1580mmになっていたりしたのです。
さらに、前のオーナーが純正より少し大きなタイヤを履かせているだけで、数ミリ〜1センチほど高くなっているケースもあります。「1550mmギリギリの車」を検討する際は、カタログの数字だけでなく、目の前にあるその車の「実際の仕様」を確認しないと痛い目に遭います。
駐車場の高さ制限を管理会社に確認する
「車の高さが1550mmジャストなら、制限1550mmの駐車場に入るよね!」とドヤ顔で言ったママに対し、管理会社に電話確認したパパの顔は曇っていました。
「管理会社の人に『1550mmの制限に1550mmの車を入れるのは、センサーが反応したり、最悪天井を擦ったりするからやめてください』って言われた…」
そうなんです。機械式駐車場に書かれている「1550mm以下」という表記は、実は駐車場側の「絶対的な上限」であり、「そのサイズなら安全にスッと入る」という意味ではありません。
車のアンテナの出っ張り、駐車パレットの微妙な傾斜、さらには乗っている人の体重や荷物の重さによる沈み込み(あるいは降りた時の跳ね上がり)で、数センチの誤差は簡単に生まれます。「ギリギリは事故の元」。これが私たちが得た教訓です。
試乗車や実車で入庫確認できるか相談する
「じゃあ、机上の計算だけじゃ絶対無理じゃん! どうやって確認するの?」と困り果てた私たち。
最終的に取った手段は、ディーラーの営業マンに「うちのマンションの駐車場に、試乗車(または検討中の実車)を実際に入れてみてもいいですか?」と直談判することでした。
良心的なディーラーであれば、購入を前提としている場合、営業マン同乗のもとで実際の入庫テストに付き合ってくれます。私たちも実際にやらせてもらいましたが、パレットにタイヤを乗せる瞬間のあのヒヤヒヤ感は今でも忘れられません。結果的に「これは毎日やるには精神がすり減る」と判断する良い材料になりました。数字だけで判断せず、可能なら必ず「現場での実測・実走」をおすすめします。
スライドドアを諦めるなら、どんな車が候補になる?
「……わかった。1550mm以下でスライドドアの現行モデルがないなら、もうスライドドアは諦めるしかないのね」
ディーラーでの過酷な入庫テストを経て、ついにママが白旗を揚げました。正直、横で見ていたパパとしても辛い決断でしたが、駐車場という物理的な壁はどうにもなりません。
「スライドドアじゃなくても、子育てに使いやすくて立体駐車場に入る車を探そう!」と頭を切り替えた私たち。実際にディーラーを回って、後部座席にチャイルドシートを乗せるシミュレーションをしたり、ベビーカーをトランクにねじ込んだりしながら行き着いた「妥協案(代替候補)」は、大きく分けて3つのジャンルでした。
ステーションワゴン
「これなら高さ制限もクリアするし、荷物もめちゃくちゃ載るぞ!」と、車好きのパパが真っ先に目を輝かせたのがステーションワゴンです。
スバル・レヴォーグやトヨタ・カローラツーリングなどがこのジャンルに入ります。全高は1400mm〜1500mm程度に収まるものが多く、1550mmの立体駐車場には余裕で入ります。さらに、トランクが奥に広いため、ベビーカーや週末のまとめ買い、なんならキャンプ道具までスッポリ飲み込んでくれます。
しかし、実際に試乗車で子どもを乗せ降ろししてみたママの感想はシビアでした。
「屋根が低いから、チャイルドシートに子どもを乗せるときに腰を深く曲げないといけないのよ。それにドアが横に大きく開くから、狭い駐車場だとドアパンチが怖くて全開にできない!」
走行安定性や荷物の積載量は素晴らしいですが、「かがむ姿勢」と「ヒンジドアの開閉スペース」という、スライドドアとは真逆の苦労を受け入れる覚悟が必要だと学びました。
低全高SUV
次に私たちが目をつけたのが、街でよく見かけるカッコいいSUVです。「でもSUVって背が高いんじゃないの?」と思いきや、実は「立体駐車場に入るように計算された低全高SUV」が存在するんです。
例えば、マツダ・CX-30やスバル・クロストレック(旧XV)などは、全高が1550mm以下(または1540mmなどギリギリに設定)に抑えられています。
「おっ、これなら見た目もオシャレだし、ちょっと運転席が高くて見晴らしがいいから運転しやすそう!」とママも好感触。ステーションワゴンよりも少し座面が高いので、チャイルドシートへのアクセスもマシに感じました。
ただ、ここで引っかかったのは「室内と荷室の狭さ」です。デザイン重視で屋根が後ろに向かって下がっているモデルが多く、ベビーカーを立てて積むことができなかったり、後部座席の足元が思いのほか窮屈だったり。子育てというよりは、少し子どもが大きくなった後のファミリー向けかな、という印象を受けました。
コンパクトカー
「なんだかんだ言って、一番現実的なのはこれじゃない?」と、最後に行き着いたのがコンパクトカー(トヨタ・ヤリス、ホンダ・フィット、日産・ノートなど)でした。
全高は1500mm前後に収まるものが多く、立体駐車場は完全にクリア。維持費も安く、燃費も抜群です。狭い道でのすれ違いもラクチンで、運転に自信がないママでも安心して乗れます。
ですが……実際に家族4人(大人2人、子ども2人)で乗り込んでみると、「うーん、やっぱり狭い!」。
助手席を前に出さないと後ろに置いたチャイルドシートがキツキツになり、トランクにはベビーカーを入れたらスーパーの買い物袋が入らないという事態に。
「下の子のオムツ替えを車内でやるのは絶望的だね……」と夫婦で苦笑い。「駐車場への入りやすさと安さ」を極めるならこれ一択ですが、「子育て空間としてのゆとり」はスッパリ諦めなければならないことを痛感しました。
子育て世帯は「スライドドア」と「立体駐車場」どちらを優先すべき?
ステーションワゴン、低全高SUV、コンパクトカー。それぞれの実車を見て回った結果、私たち夫婦の頭の中はさらに混乱してしまいました。
「スライドドアを諦めてコンパクトカーにするか……でも、雨の日の送迎を考えるとやっぱりスライドドアがいい! でも立体駐車場には入らない! 堂々巡りじゃん!」と頭を抱えるママ。
この究極の二択に直面したとき、私たちサルヂエファミリーがどのように頭を整理し、決断を下したのか。その判断基準をお伝えします。
毎日の乗せ降ろしが多いならスライドドア優先もあり
まず私たちが話し合ったのは、「車をどれくらいの頻度で、どんな状況で使うのか」ということでした。
「平日は毎日、保育園の送迎で使う。しかも雨の日も風の日もある。駐車場はいつも混んでて狭い」
もしこんな状況なら、絶対にスライドドアを優先すべきです。
我が家もそうでしたが、イヤイヤ期の子どもを雨の中でチャイルドシートに縛り付けるミッションは、ヒンジドアだと完全に「地獄」です。ドアを隣の車にぶつけないようお尻で押さえながら、濡れながら子どものシートベルトを締める……。これを毎日やると、間違いなく夫婦のイライラが爆発します。
この「日々の激しいストレス」を回避するためなら、今のマンションの立体駐車場は解約して、少し歩く距離にあっても高さ制限のない平置き駐車場を借りる(駐車場代が上がっても必要経費と割り切る)価値は十分にある、というのが私たちの結論でした。
駐車場を変えられないなら1550mm以下を優先する
一方で、「マンションの規約で駐車場を解約できない」「近隣に月極駐車場が全くない」「あっても月額が2万円以上高くなって家計が破綻する」という場合。
これはもう、泣く泣くでも「1550mm以下」を優先して車側を妥協するしかありません。
「どうしてもスライドドアがいい!」と強引に1550mmを超える車を買ってしまい、近隣のコインパーキングを転々とするハメになったり、毎回入庫のたびに「アンテナ擦らないかな…」と寿命の縮む思いをするのは、スライドドアの利便性を完全に相殺してしまうほどのストレスになります。
「入らない車は買えない」という物理法則には逆らえません。この場合は、ドアの開閉に便利なグッズ(ドアのふちを保護するクッション材など)を工夫して乗り切るしかありません。
数年単位で考えると後悔しにくい
最後に、パパがポツリと言ったこの言葉が、決断の決定打になりました。
「でもさ、スライドドアが『絶対に必要』な期間って、あと何年くらいだろう?」
そうなんです。子どもが自分でドアの開け閉めを判断できず、親が抱きかかえてチャイルドシートに乗せなければならない「地獄の期間」は、実は子どもが0歳〜4歳くらいの数年間だけだったりします。
小学生になれば、普通のドアでも自分で気をつけて開けられるようになり、一人でスッと乗り込んでくれます。
「今だけの利便性のために、無理して高い平置き駐車場を借りてスライドドア車を買うべきか? それとも、あと数年だけ気をつけてヒンジドアの車(ステーションワゴンやSUV)に乗り、子どもが大きくなった後のドライブを楽しむべきか?」
私たちはこの「5年後の未来」を想像したことで、フッと肩の荷が下りました。「今だけのピンポイントな使いやすさ」に囚われすぎず、長期的な視点を持つことで、「今の我が家に本当に合っているのはどちらか」が明確になったのです。
どうしてもスライドドア車が欲しい場合の現実解
「5年後の未来を想像して冷静に……って、頭ではわかるよ。でも! 今、明日の朝の雨の中、子ども2人を抱えてヒンジドアを開ける私の身にもなってよ! やっぱり絶対にスライドドアがいい!」
数日後、結局ママの「現状の辛さ爆発」により、我が家の「スライドドア諦める案」は白紙に戻りました。
正直、私も休日に子どもを乗せ降ろしするたびに「やっぱ狭いな……スライドドア欲しいな」と心の底では思っていたので、ママの意見に反論できませんでした。
「よし、じゃあ車高1550mmの壁をどうやって越えるか、もう一度考えよう」
私たちサルヂエファミリーが、どうしてもスライドドアを諦めきれずに取った「執念の現実解」をご紹介します。
駐車場の区画変更を相談する
まず私が真っ先にやったのが、マンションの管理会社への電話です。
機械式立体駐車場とはいえ、実はすべてのパレット(車を乗せる板)が1550mm制限とは限りません。最下段や最上段だけは「ハイルーフ対応(1800mm〜2000mmまでOK)」になっているケースが多いのです。
「すいません、うちのマンションの駐車場で、ハイルーフが入る区画は空いてませんか?」
「現在は満車ですね。キャンセル待ちが3組いらっしゃいます」
現実は甘くありませんでしたが、私たちはすぐにキャンセル待ちに登録しました。タイミングよく空きが出れば、駐車場代の月額を変えずにスライドドア車(ミニバン)を買うことができます。「どうしてもスライドドアが欲しい」なら、まずはダメ元でも管理会社や大家さんに確認するのが第一歩です。
近隣の月極駐車場も候補に入れる
マンションの区画変更がいつになるか分からないため、次に私が取った行動は「近所の月極駐車場探し」でした。ネットで検索しつつ、休日は自分の足で近所を歩き回り「空きあり」の看板を探しました。
結果、徒歩5分の場所に、屋根なしの平置き駐車場を発見。これならノアでもステップワゴンでも、どんなに背の高いスライドドア車でも停め放題です!
しかし、問題は「お金」でした。マンションの駐車場代より、月額で5,000円も高いのです。年間で6万円の出費増。
「うーん、年間6万か……」と渋る私に対し、ママは即答でした。
「毎日のあの強烈なストレスが月5,000円でなくなるなら、絶対に安いもんでしょ! 私の腰の治療代だと思って払って!」
結果的に、少し歩く距離になっても「平置きでドアを全開にできる快適さ」は、駐車場代の差額以上の価値がありました。「車を妥協する」のではなく「駐車場を外部に求める」というのは、最も確実で精神衛生上良い解決策です。
中古車も含めて探す
「どうしてもマンションの駐車場を変えたくないし、近所に安い平置き駐車場もない」
という場合の最終手段は、やはり先述した「全高1550mm以下の中古スライドドア車を探す」ことになります。
トヨタのポルテ、スペイド、ラウム、アイシスなど、今は新車で買えない「背の低いスライドドア車」を中古車市場で根気よく探すのです。
ただし、ここで我が家からの強めの注意点があります。「安くて入るから」という理由だけで、年式が古すぎる車を即決しないでください。
「おっ、予算30万で買えるポルテ見つけた!」と飛びついたものの、自動ブレーキなどの安全装備が全くついておらず、結局「家族を乗せるのに不安だね……」と見送った経験があります。
スライドドアの利便性も大事ですが、子育てファミリーにとっては「安全性」と「購入後の故障リスク(維持費)」も同じくらい重要です。中古車を探すなら、年式や走行距離、安全装備の有無をしっかり比較検討してください。
買い替え前に今の車の価値も確認しておく
「よし、近所の平置き駐車場を借りて、念願のスライドドア車を買おう!」
方針が固まり、ルンルン気分でディーラーへ向かおうとするママ。しかし、ここで家計の財布の紐を握るパパとして、どうしてもやっておかなければならないことがありました。
「ちょっと待って。駐車場代が上がる分、車の買い替えにかかる費用は絶対に安く抑えなきゃダメだ。今の車がいくらで売れるか、ちゃんと調べてから行こう」
車選びで舞い上がっているときに忘れがちなのが、「今乗っている車の手放し方」です。ここで手を抜くと、数十万円単位で家計を圧迫することになります。
駐車場に合う車へ買い替えるなら予算確認が先
以前の我が家は、車を買い替えるとき、何も考えずに「ディーラーの下取り」にすべて任せていました。
新しい車の見積もり書に「下取り価格:10万円」と書かれていても、「まあ、そんなもんか。手間も省けるし」とハンコを押していたのです。
しかし、駐車場代が上がったり、希望の中古車を探したりするには「予算の明確化」が絶対条件です。
「今の車が10万で売れるのか、それとも50万で売れるのか」によって、選べる車のグレードも、駐車場代に充てられる余裕もまったく変わってきます。ディーラーに行って新しい車の魅力に圧倒される前に、まずは「手元の資金がいくらになるのか」を冷静に把握しておくべきです。
複数査定で車の価値を最大化する
「でも、ディーラーの下取り額がすべてじゃないの?」と不思議そうなママ。
そこで私は、複数の買取業者に査定を依頼して競合させる「一括査定」を試すことにしました。
「えっ! A社は25万なのに、B社は40万って言ってるよ!? ディーラーの下取りより30万円も高いじゃん!」
スマホの画面を見つめながら、夫婦で変な声が出ました。
そうなんです。ディーラーの下取りは新車の値引きとセットにされて不透明になりがちですが、買取専門店同士を競わせると、車の価値は跳ね上がることが多いのです。特にファミリーカーや状態の良い車ならなおさらです。
もし今の車が古くて「値段がつかないかも」という場合でも、廃車・事故車を専門に買い取ってくれるサービスなら、0円どころか数万円の値段をつけてくれることもあります。
この「複数査定で引き出した数十万円のプラス」のおかげで、我が家は月5,000円アップの近隣駐車場代を数年分余裕でカバーすることができました。
「1550mmの壁」にぶつかり、車や駐車場を妥協したり変更したりするからこそ、今の車の価値を1円でも高く引き出す努力が、その後の家計と心に大きなゆとりをもたらしてくれますよ。
よくある質問
私たちのこのドタバタ劇を同じマンションのママ友や職場の同僚に話すと、「えっ、うちも全く同じ条件で悩んでるんだけど!」と身を乗り出して質問されることがよくあります。
ここでは、私たちが実際に血眼になって調べ、身をもって知った現実を踏まえて、特によく聞かれる疑問にお答えします。
車高1550mm以下のスライドドア車は新車で買えますか?
「やっぱり新車がいいんだけど、絶対ないの?」とよく聞かれますが、結論から言うと、現在の新車市場では選択肢が「ほぼない」に等しいのが現実です。
今のスライドドア車は「いかに室内を広く、天井を高くするか」に各メーカーがしのぎを削っているため、全高は1600mm〜1800mmを超えるのが当たり前になっています。「たぶん入るだろう」という希望的観測は捨てて、まずは検討している車の最新カタログで「全高」の項目を必ず確認してください。
軽自動車のスライドドアなら立体駐車場に入りますか?
これも私たちが完全に引っかかった罠ですが、「軽自動車なら入る」という思い込みは非常に危険です。
N-BOX、タント、スペーシアといったスライドドア付きの人気軽自動車(スーパーハイトワゴン)は、実は全高が1700mmを超えます。「長さと幅」は軽規格でコンパクトでも、「高さ」は普通乗用車以上に高いのです。軽自動車であっても、機械式駐車場に入れるなら全高チェックは必須です。
1550mmギリギリの車は入れても大丈夫ですか?
「カタログ値が1550mmジャストなら、なんとかイケるよね?」と食い下がるパパ友もいますが、私たちとしては絶対におすすめしません。
ディーラーの担当者やマンションの管理会社からも止められましたが、車のルーフアンテナの形状、タイヤの空気圧、乗車人数による重みの沈み込みなど、わずかな要因で数センチは簡単にオーバーしてしまいます。毎日の入庫で「屋根擦らないかな…」と寿命を縮めるような思いをするのは、精神的にかなりキツいです。
スライドドアを諦めるなら何がおすすめですか?
駐車場を変えられない場合、ステーションワゴン、低全高に設計されたSUV、コンパクトカーが現実的な候補になります。
ただ、ここで注意してほしいのは「子育てのしやすさは車によって全然違う」ということです。私たちはコンパクトカーの実車を見て「荷物が全然乗らない!」と青ざめましたし、ステーションワゴンでは「チャイルドシートに乗せるときに腰が痛い」と感じました。必ず家族全員で試乗に行き、ベビーカーを積んでみるなど、リアルな使い勝手を確認してください。
シエンタやフリードは1550mm以下ですか?
「あんなにコンパクトに見えるのに!?」と一番驚かれるのがこの2車種です。残念ながら、現行モデルはどちらも1550mmを大きく超えます。(シエンタで1690mm台、フリードで1750mm台)
年式やグレード、2WDか4WDかによっても全高は数センチ変わりますが、基本的には「1550mm制限の機械式駐車場には入らない車」だと認識しておいた方が安全です。購入を検討する際は、絶対にディーラーで実車確認と駐車場制限のすり合わせを行ってください。
まとめ|1550mm以下でスライドドアを探すなら「車」だけでなく「駐車場」も見直そう
「雨の日に子どもを抱えて乗るから、絶対スライドドアがいい!」
「いや、うちのマンションの立体駐車場は1550mm制限だから無理だってば!」
こんな夫婦ゲンカから始まった我が家の車選び。「どこかに背の低いスライドドア車があるはず」と淡い期待を抱いて探し回りましたが、現実は非常に厳しいものでした。室内空間を広く取るため、そしてスライドドア機構を組み込むために、今の便利なファミリーカーはどうしても背が高くなってしまうのです。
私たち子育て世帯がこの「1550mmの壁」に直面したとき、選べる道は大きく分けて2つしかありません。
- 駐車場を優先し、スライドドアを諦めてワゴンやコンパクトカーを選ぶ
- スライドドアを優先し、マンションのハイルーフ区画や近隣の平置き駐車場を探す
どちらを選ぶにしても、「あと何年、チャイルドシートでの乗せ降ろしが必要か」「毎日のストレスと駐車場代の差額、どちらを取るか」を夫婦でしっかり話し合うことが大切です。
ちなみに我が家は、最終的に「少し歩くけど月額5,000円アップで近隣の平置き駐車場を借りる」という決断を下し、念願のミニバンを手に入れました。毎日の乗せ降ろしのストレスが嘘のように消え、ママは「あのとき妥協しなくて本当によかった!」と笑顔で運転しています。
そして、その上がった駐車場代をカバーしてくれたのが、「今の車を複数の買取業者に査定してもらい、ディーラー下取りよりも数十万円高く売ったお金」でした。
「うちの駐車場には入らないから…」と諦める前に、まずは今の車の価値をしっかり確認し、予算の選択肢を広げてみてください。あなたのご家族にとって、一番笑顔で過ごせる車選びができることを応援しています!
