「うわ……マジか……。やっちゃった…」
先日、友人から青ざめた顔で連絡がありました。
なんでも、スーパーの駐車場で、ほんのちょっとポールに「コツン」。幸いケガはなかったんですが、バンパーにはクッキリと無慈悲なヘコみが。
「これ、どうしよう…。カミさんにはまだ言えてないんだけど…」
友人は真っ青。話を聞いた僕(パパ)も「うわー、それは災難だったな…」とため息。
「まあ、ケガがなかっただけマシだよ。でもそれ、修理するといくらかかるんだ…?」
こういう時、真っ先に頭をよぎるのが「これって『事故車』扱いになるの?」「将来、車を売る時にめちゃくちゃ安く買い叩かれるんじゃ…?」という不安ですよね。
「もうさ、この車、売る時どうせタダ同然になっちゃうのかな…」と落ち込む友人。
話を聞いていたママも、「あー、やっちゃったわね…。でも、事故車ってそんなもんでしょ?」とバッサリ。
「いや待てママ、それがそうとも限らないらしい。むしろ、こういう車こそ“売り時”を間違えると大損する可能性があるんだ」
「え、そうなの? 友達、なんかもう見るのもイヤで放置してるって言ってたけど…」
そう。僕たちサルヂエファミリーも、今回の「友人のコツン事件」をキッカケに本気で調べました。
もし、事故歴や修復歴がついてしまった車を売るなら、いつがベストなのか? 放置するとどうなるのか?
「パパがまた理屈っぽく調べ始めたわ…」とママは呆れ顔ですが、これは友人の(そして我が家にも起こりうる)家計の大問題。
知らずに数十万円ソンするのは、絶対に避けたい。
この記事では、「事故歴あり」と分かってしまった車を、それでも1円でも高く売るための「タイミング」と「対策」について、僕(パパ)が調べ上げた「損しないための構造」を徹底解説します。
結論|事故歴があるなら“早く売るほど”価値は下がりません
「はい、いきなり結論からいくよ、ママ」
「うわ、出た。で、どうなのよ? 友人の車」
僕(パパ)が友人のために、いろんな査定の仕組みや中古車市場のデータを調べ尽くして分かった、たった一つの真実。
それは、「事故歴(修復歴)がある車は、悩んでいる時間が長いほど価値が下がり続ける」ということです。
「えー? でも、ちゃんとキレイに修理してから売った方が、高く売れるんじゃないの? 友人もそう言ってたわよ」
「その感覚、すごくよく分かる。でも、中古車査定のロジックは真逆なんだ」
「なんでよ。キレイな方がいいじゃん」
ここが一番の落とし穴です。
事故でダメージを受けた車は、放置すればするほど、確実にその価値を失っていきます。
放置するほど査定が落ちる「2つの理由」
なぜ、事故歴のある車を放置すると損するのか?
これには、車特有の「価値が下がる仕組み」が関係しています。
理由1:車の価値は「時間」で下がり続ける(減価償却)
「まず大前提として、車は家と違って“資産”じゃなく“消耗品”だ」
「知ってるわよ。乗れば乗るだけ古くなるんでしょ」
「そう。重要なのは、事故とは無関係に、時間経過だけで価値が下がっていくこと。例えば、人気のミニバンだって、1年経てば新車価格から何十万も価値が下がる。これが『通常の減価償却』だ」
事故を起こしてしまった車は、この「通常の減価償却」が止まってくれるわけではありません。
- (A)事故による査定ダウン(例:マイナス20万円)
- (B)時間経過による価値ダウン(例:1年放置でマイナス15万円)
もし事故後、「どうしようかな…」と1年間悩んで放置したら、本来の(A)に加えて(B)の価値も失い、トータルで「マイナス35万円」になってしまう。
「つまり、悩んでる間にも、事故とは別の理由でどんどん安くなってるってこと!?」
「その通り。これが“早く売るべき”一つ目の理由だ」
理由2:放置による「見えない劣化」のリスク
「二つ目の理由は、もっと深刻だ」
「なによ、脅かさないでよ」
事故で受けたダメージは、目に見えるヘコみや傷だけとは限りません。
特にフレーム(骨格)に影響が及ぶような事故の場合、放置することで内部の劣化が進むリスクがあります。
- サビの進行: 傷ついた金属部分から水分が侵入し、内部でサビが広がる。
- 部品の歪み: 一部の歪みを放置することで、他の正常な部品にまで負荷がかかり、新たな不具合が出る。
- 電気系統のトラブル: 衝撃で配線が傷つき、後から不具合(接触不良など)が発生する。
「うわ…考えただけでイヤ…」
「だろう? 事故直後なら『事故箇所の修理』だけで済んだ査定が、放置した結果『事故箇所+サビ+新たな不具合』と、マイナス要因が増えてしまうんだ。こうなると、査定士の心証も最悪。『管理が悪い車』と見なされて、さらに買い叩かれる」
「じゃあ、友人、どうすりゃいいのよ…」
「だから、結論に戻る。事故歴が確定した車は、時間経過と劣化進行の『ダブルパンチ』を食らう前に、できるだけ早く市場価値を確定させる(=売る)のが、損失を最小限に抑える唯一の方法なんだよ」
事故歴ありの車は、価値が落ちる前に売るのが正解
「パパの理屈は分かったわよ。要は、事故った車はさっさと売れってことね」
「まあ、言葉は悪いがそういうことだ。さっきは『放置すると価値が下がる』って話をしたけど、ここからはもっと具体的に、なぜ『今』売るのが正解なのか、その理由を3つの側面に分けて解説するぞ」
僕(パパ)が調べた限り、事故歴のある車を売るタイミングを見誤ると、まさに「傷口に塩を塗る」ような状態になりかねない。
「まだ乗れるし…」としがみつくことが、必ずしも家計にプラスになるとは限らないんだ。
修理歴が増えるほど、査定ダウンが加速する
「まずママに質問。友人のヘコみ、どうすると思う?」
「そりゃ、キレイに直したいわよ。見た目悪いし、奥さんにもバレるでしょ」
「だよな。でも、その『修理』がクセモノなんだ」
「どういうこと? 直した方が高く売れるんじゃないの?」
この「売る前に修理すべきか否か」問題は、事故歴のある車を売る時に誰もが悩むポイントです。
僕も当然、「キレイな状態にしてから査定に出した方が、査定士の印象も良くて高く売れるはずだ」と思っていました。
しかし、これは多くの場合、間違いです。
中古車査定の世界には、こんな原則があるそうです。
ポイント
車の修理費用(実費)> 修理によって上がる査定額
「つまりだな、ママ。例えば友人がヘコみを直すのに20万円かかったとする」
「うわ、高い…」
「でも、その20万円の修理によって、車の査定額が20万円以上アップすることは、まずないんだ。せいぜい上がっても10万円とか、そんなレベルだ」
「えっ! じゃあ、修理した瞬間に10万円ソンしてるってこと!?」
「そういう計算になる。なぜなら、買取業者は自社(または提携工場)で安く修理できるノウハウを持っているから。僕らが正規ディーラーに払う高い修理費を基準に査定額を上乗せしてはくれないんだ」
さらに怖いのが、「修理歴が増える」という事実。
- 今回の事故(コツン)で「修理歴1回」
- さらに数年後、また別の場所を擦って「修理歴2回」
このように修理歴が増えるたびに、車の評価は段階的に、いや加速度的に下がっていきます。
「事故車」というマイナス評価に加えて、「何度も修理が必要な、状態の悪い車」というレッテルが上乗せされてしまう。
「だったら、今の『修理歴1回(しかもまだ直してない)』の状態で売った方が、トータルの損失は少ないってこと?」
「正解。売却を決めているなら、余計な修理でお金を捨てて、さらに車の評価を下げる必要はないんだ」
放置=走行距離が増え、価値低下のダブルパンチ
「次に考えるべきは『走行距離』だ」
「あー、それもよく聞くわね。走りすぎるとダメなんでしょ」
「その通り。中古車市場では、走行距離は車の寿命を示す重要なバロメーター。特に、事故歴がない普通の車でも、この基準を超えるとガクンと査定が落ちるポイントがある」
▼ 一般的な走行距離による査定下落の目安
| 走行距離 | 市場での評価(イメージ) |
|---|---|
| 〜5万km | まだまだ「高年式」「低走行」として評価されやすい。 |
| 5万km〜8万km | 標準的な走行距離。ここから徐々に値下がりが始まる。 |
| 10万km | 「大台」。ここで一度、大きく査定が下がる。 |
| 10万km〜 | 「多走行車」の領域。パーツの消耗が激しいと見なされる。 |
「で、これが『事故歴』と組み合わさると、最悪の事態を招く」
「どういうこと?」
「例えば、友人の車が事故歴ありで、走行距離が9万5,000kmだったとする」
「ふむふむ」
「ここで売れば、『事故歴のマイナス』だけで済む。でも、『まあ、車検も残ってるし、次の車が見つかるまで乗ろう』と半年間乗り続けて、走行距離が10万kmを超えてしまったら…」
「あ!」
「そう。『事故歴のマイナス』と『10万km超えのマイナス』という、ダブルパンチを食らうことになるんだ」
事故歴があるというハンデをすでに負っているのに、さらに走行距離という別のハンデまで上乗せして売る必要はありません。
売ると決めたなら、これ以上「乗らない」こと。それが価値を守る鉄則です。
車検残りは「プラス査定」のうちに売るのが吉
「最後は『車検』だ。友人の車、車検はまだ残ってるのかな?」
「確か、まだ1年くらいあったはずって言ってたわよ」
「それが重要なんだ。実は、車検が残っている期間は、中古車査定で『プラス評価』になる数少ないポイントの一つだ」
「へえ、そうなんだ。じゃあ、車検が切れるギリギリまで乗った方がお得ってこと?」
「いや、それがまた直感と違うんだな…」
確かに、車検が1年以上残っていれば、数万円程度のプラス査定は期待できます。
しかし、そのプラス査定額(例えば3万円)と、車検が切れるまで乗り続ける1年間で下がる「車の基本価値(減価償却)」を天秤にかける必要があります。
「さっきも言ったけど、車は1年乗れば、それだけで何十万も価値が下がるんだ(※車種による)」
「そっか…。車検残りのプラス(3万円)をもらおうとしたら、車の価値が30万円下がっちゃう、みたいな?」
「そういうこと! まさに『エビでタイを釣る』ならぬ『タイでエビを釣る』みたいな状態だ」
車検が残っているということは、それ自体が「商品価値」の一つ。
その商品価値が残っているうちに、つまり「車検前」のタイミングで売るのが、トータルの価値を最大化する(=損失を最小化する)賢い売り方と言えます。
「なるほどね…。事故って、修理してなくて、走行距離もまだ大台に乗ってなくて、車検も残ってる…って、まさに友人の車、今が売り時じゃない!」
「そういうこと。事故歴がついた車は、『今より高く売れる未来はない』と考えるべきなんだよ」
事故歴があっても「高く売れる」と判断される逆転ケース
「でもさ、パパ。いくら『早く売れ』って言っても、『事故車』なんでしょ? 結局、タダ同然なんじゃないの? どうせ安いなら、もうちょっと乗ってた方がマシよ」
ママのその気持ち、痛いほどわかる。友人も全く同じことを言っていた。
「事故車=価値ゼロ」というイメージ、僕にもありました。
でも、調べてみると「事故歴や修復歴があっても、市場が欲しがる車」というのが確実に存在するんだ。
「もうダメだ」と諦めている車が、意外な高値で売れるケース。
それにはちゃんと理由がある。
「え、そうなの? 例えば?」
「OK。ここからは、むしろ『事故歴のマイナスをカバーできるプラス要素』について解説しよう」
軽度の修復歴(外装のみ)なら影響は最小限
まず、僕たちが一番勘違いしやすいのが「事故車」と「修復歴車」の定義だ。
「友人がやったみたいに、バンパーをコツンとぶつけてヘコんだ。これ、どう思う?」
「そりゃもう、立派な『事故車』よ…」
「ブブー。実は、中古車査定の定義では、それだけだと『事故車(修復歴車)』とは呼ばない可能性が高い」
「えっ、そうなの!?」
中古車業界でいう「修復歴車」とは、車の骨格(フレーム)部分を修理・交換した車を指す。
具体的には、以下の部分だ。
- フレーム(サイドメンバー)
- クロスメンバー
- インサイドパネル
- ピラー(柱)
- ダッシュパネル
- ルーフパネル(屋根)
- フロア(床)
「うわ、なんか難しい単語ばっかり…」
「要は、車の強度や安全性に関わる『骨組み』をイジったかどうか、だ。ここを修理してると『修復歴あり』になって、査定はガクンと下がる」
▼ サルヂエ的「これって修復歴?」早見表
| ダメージの状況 | 修復歴(事故車)扱い? | パパの解説 |
|---|---|---|
| バンパーを擦った・交換した | × ならない | バンパーは「外装品(ガワ)」扱い。骨組みじゃないからセーフ。 |
| ドアをヘコませた・交換した | × ならない | ドアもボルトで留めってる「外装品」。交換しても修復歴にはならない。 |
| ボンネットを交換した | × ならない | これも外装品。ただし、中の骨格まで損傷が及んでたらアウト。 |
| フレームが歪んで修理した | ◎ なる | これぞ「修復歴車」。車の根幹を修理した証拠。 |
| 駐車場で軽くコツン(今回) | △(ほぼ × ) | ほとんどの場合、バンパーやフェンダー(タイヤの上の外板)の損傷で済む。骨格までイッてなければセーフ。 |
「つまり、友人の『コツン』くらいじゃ、査定への影響は『軽微な傷・ヘコみ』レベルで済む可能性が非常に高いんだ」
「なーんだ! それ早く友人に教えてあげてよ! じゃあ全然心配いらないじゃん!」
「いや、そこは油断するな。問題は『どうせ大したことない』と素人が判断して、売るタイミングを逃すことだ。たとえ修復歴にならなくても、傷やヘコみは時間と共にサビの原因になる。結局、『早く売る』に越したことはないんだ」
使用期間&走行距離が「短い」は正義
「次に、たとえ骨格(フレーム)にダメージが及ぶ『修復歴車』になってしまったとしても、高く売れるケース」
「そんなのあるの?」
「ある。それが『圧倒的に新しい』または『圧倒的に走ってない』車だ」
考えてみてほしい。
中古車を買う人の立場で、次のAとB、どっちがマシか。
- (A)10年落ち・走行10万km・無事故
- (B)1年落ち・走行5,000km・軽微な修復歴あり
「うーん…私ならBかなぁ。新しい方がなんとなく…」
「そう思うだろ? 市場の評価も同じだ。古い車は、事故がなくてもエンジンやミッション、足回りなど、あらゆる部品が消耗してる。いつ壊れるか分からない爆弾を抱えてるようなものだ」
「確かに」
「でも、(B)は修復歴こそあれど、他の99%の部品はほぼ新品。修理箇所さえしっかり直っていれば、その後何年もノントラブルで乗れる可能性が高い」
つまり、車の価値は「修復歴のマイナス」と「新しさ・低走行のプラス」の引き算で決まる。
修復歴によるマイナスが「-50万円」でも、
新しさによるプラスが「+150万円」あれば、
その車の価値は「100万円」になる。
「だから、もし新車で買ってすぐに事故ってしまって『修復歴あり』になったとしても、『もう価値ゼロだ…』と落ち込む必要はない。他のプラス要素が上回ってさえいれば、車は高く売れるんだ」
人気車種(ミニバン/SUV/HV)は需要が勝つ
「そして最後の逆転ケース。これが一番強力かもしれない」
「なによ?」
「そもそも、その車が『超人気車種』かどうかだ」
中古車市場は、結局のところ「需要」と「供給」で成り立っている。
売り手が「事故車だから…」と弱気でも、買い手(市場)が「それでもいいから、喉から手が出るほど欲しい!」と思っていれば、値は付く。
「例えば、今大人気のミニバンとか、SUV、ハイブリッド車(HV)だな」
「あー、アルファードとかハリアーとか、そういうの?」
「そうそう。友人の車も確か人気のミニバンだったはずだ。ああいう人気車種は、中古車市場で常にタマ不足(在庫不足)なんだ。買取業者は、多少の修復歴があっても、買い取って自社でキレイに直し、海外に輸出したり、国内で『修復歴あり』と明記して安く売ったりするルートを確立してる」
彼らにとっては、「修復歴あり」の車は、むしろ安く仕入れられるチャンスでもある。
「だから、もし事故った車が不人気なセダンだったら、買い叩かれて終わりかもしれない」
「うわ、シビア…」
「でも、それが人気のミニバンやSUVだったら、『お、事故ってますね。でも人気車種なんで、ウチならこの値段で買いますよ!』と、強気の査定が出る可能性が十分あるんだ」
損しないための対策は“情報整理”だけでいい
「早く売るべきなのは分かった。高く売れるケースがあるのも分かったわ」
「おう」
「でも、友人も言ってたけど、いざ売るってなると…やっぱり不安よ。査定士の人に『あー、これ事故ってますね。ハイ、5万円』とか、足元見られそうで…」
その不安、よく分かります。
事故歴という「弱み」を握られているわけですから、どうやって交渉すればいいのか、何を準備すればいいのか、途方に暮れますよね。
「大丈夫だ、ママ。僕(パパ)が調べた結論はこうだ」
「なによ?」
「事故歴のある車を売る時に必要なのは、お金をかけた『修理』や『交渉術』じゃない。家でできる『情報整理』だけでいい」
「情報整理?」
そう。査定士に買い叩かれれないために、僕たちがやるべき対策は、実はお金が一切かからないことばかりなんです。
修理費用の明細(もし修理済みなら)
「まず、もし既に事故箇所を修理している場合。その時の『修理明細』、これを用意するんだ」
「えー? それ、逆効果じゃない? 『こんなにガッツリ修理したのか』とか、『この程度の修理しかしなかったのか』とか、手の内を明かすみたいでイヤよ」
「その感覚が危ない。査定士が一番怖いのは『どこをどう直したか、損傷の深さが分からない』ことなんだ」
考えてみてほしい。
査定士はプロとはいえ、修理箇所をパッと見ただけで「これはフレームまで達している損傷か、それとも外板だけで済んだのか」を100%見抜くのは難しい。
もし情報がない場合、彼らはどうするか?
「最悪のケース(=フレームまで交換しているかも)」を想定して、一番低い査定額を提示するしかありません。それが彼らにとってのリスクヘッジだからです。
「でも、そこで修理明細を出す」
「ふむふむ」
「明細に『バンパー交換、およびフェンダー板金塗装』としか書いてなければ、査定士は『ああ、骨格(フレーム)は無事なんだな』と確信できる。つまり、マイナスポイントを『ここまで』と限定できるんだ」
「なるほど! わからないから全部マイナスにされるところを、『マイナスはここだけですよ』って教えてあげるわけね!」
「そういうこと。修理済みなら、明細は隠すんじゃなく、堂々と出すのが高値査定への第一歩だ」
修復部位の「正直申告」が最大の防御
「じゃあ、友人のヘコみみたいに、まだ修理してない場合はどうすんの?」
「これも情報整理がキモだ」
「『いやー、いつの間にか傷ついちゃってて』とか、ごまかすのは?」
「絶対NGだ」
「えー、ダメ?」
「ダメ。査定士は毎日何十台も車を見てるプロだ。ポールにぶつけた傷か、壁で擦った傷か、駐車場で当て逃げされた傷か、だいたい見当がつく。そこでオーナーが嘘やごまかしを言った瞬間、査定士はどう思う?」
「『あ、この人なんか隠してるな』って?」
「その通り。『この人は信頼できない』と判断される。そうなると、他のプラス査定できる部分(例えば『内装がキレイ』とか『オプション品がついてる』とか)まで、『どうせこれも何か問題があるんじゃ…』と疑われて、評価されなくなる」
査定は、結局のところ「人と人」のやり取りです。
やるべきなのは、「バレるか、バレないか」の心理戦に持ち込むことじゃない(素人は絶対に負ける)。
やるべきは、信頼関係を築くこと。
「いつ、どこで、どんな状況でぶつけてしまったのか」
「修理はしていないこと」
これを、こっちから先に、正直に申告する。
「え、それって不利にならない?」
「ならない。むしろ『正直にありがとうございます。おかげで査定しやすいです』と感謝される。事実(事故歴)は変わらないんだから、それを隠して印象を最悪にするより、開示して『信頼できるオーナー』と思われた方が、絶対に査定額はマシになる」
見た目の印象改善(簡易クリーニング)
「情報整理は分かった。でも、やっぱり見た目が汚いのはマズイでしょ。洗車くらいはした方がいいわよね?」
「ああ、その通りだ。これが最後の『情報整理』だな」
「え、洗車が情報整理?」
「そう。査定士も人間だ。車が泥だらけで、車内がゴミだらけだったらどう思う?」
「うわー、この人、車大事にしてないなーって思う」
「だろ? 『大事にされてない車』=『オイル交換とかのメンテナンスもサボってたんじゃないか?』『事故箇所以外も、見えない不具合がありそうだ』と、ネガティブな連想をさせてしまう」
ここでやるべきなのは、数万円もするようなプロのコーティングやルームクリーニングじゃありません。そんなのにお金をかけたら、修理と一緒でモトが取れない。
僕らがやるべきは「最低限の礼儀」としてのクリーニングです。
- ガソリンスタンドの自動洗車機でいいから、外装をキレイにする。
- 車内のゴミを捨て、掃除機をかける。
- (特に重要)トランクの荷物を全部降ろして、空にしておく。
「なんでトランク?」
「事故の際、後ろからの追突だとトランクの床下(スペアタイヤがある場所)が歪むことが多いんだ。そこを査定士がチェックしやすいように、荷物を降ろしておく。これも『隠しませんよ』という誠意の証、つまり情報開示の一環だ」
「なるほど…。『修理明細(あれば)』『正直な申告』『簡単な掃除』。言われてみれば、全部家でできることばっかりね」
「だろ? これだけで『信頼できるオーナーの、状態が把握しやすい車』と判断される。事故歴があっても、損を最小限に抑える対策ってのは、こういう地道な準備なんだよ」
1社だけは絶対NG!相見積もりが「特に」重要なワケ
「よし、パパ。じゃあ、友人に伝えるわ。『準備万端にして、さっさと売れ』って」
「おう、いい心構えだ」
「で、どこに売るのがいいの? いつも点検してもらってる近所のディーラーさん? それとも、CMでよく見る大手の買取店?」
「「ストップ、ママ!!」」
「な、なによ、大声出して…」
「ママ、一番やっちゃいけないことを今、言ったぞ。『1社だけに査定を任せる』。これ、普通の車を売る時でもダメだけど、事故歴のある車を売る時は、もっとダメだ!」
「え、そうなの? だって、何社も呼んだら『事故車ですね、ハイ、ゼロ円』『ゼロ円です』『ウチもゼロ円』って、ゼロ円のオンパレードになるだけでしょ。時間のムダよ」
その気持ち、すごくよく分かります。友人も「どうせどこも同じだろう」と諦めモードだった。
「事故車」という弱みがあるからこそ、最初に来た業者や、付き合いのあるディーラーにタダ同然で引き取ってもらおう、と考えがちです。
でも、それこそが業者の思うツボなんです。
事故歴があると「査定額の差」はより広がる
「いいか、ママ。まず大前提として、中古車の買取価格ってのは、店によって全然違う」
「ふーん、まあ、そうなんだろうけど」
「普通の車、例えば事故ってないウチの車を売るとして。A社は『100万円』、B社は『110万円』、C社は『105万円』みたいな差が出る。この時点で、B社に売らないと10万円ソンするわけだ」
「で、ここからが重要だ」
「これが『事故歴あり』の車になると、どうなると思う?」
「うーん…『1万円』『5千円』『0円』とか、そういう低いレベルでの戦い?」
「違うんだな。むしろ逆。こうなる」
▼『事故歴あり』の車を査定した場合(例)
- A社(ディーラー系):
「あー、これは修復歴アリですね。ウチでは再販できないので…申し訳ないですが0円です。廃車費用として3万円いただきます」 - B社(国内販売メインの買取店):
「うーん、ウチもこれは厳しいなぁ。でもまぁ、部品取り(パーツだけ使う)としてなら…。5万円でどうですか?」 - C社(海外輸出・解体ルート持ち):
「ああ、この車種、〇〇国で人気なんですよ。修復歴? 全然問題ないです。エンジン生きてるし。30万円で買いますよ!」
「「さ、30万円!?」」
「そう。これが『事故歴あり』の車の査定が面白いところだ。業者によって『価値』の付け方が全く違う。A社にとって『ゴミ(むしろマイナス)』だった車が、C社にとっては『お宝(30万円)』になる」
10万円〜50万円の差額は普通に起こる
なぜ、こんなに差が出るのか?
それは、各社が持っている「売る力(販売ルート)」が違うからです。
- ディーラー(A社):
基本的に「高品質な中古車」しか扱いたくない。自社の看板を背負って「事故車」を売るのはリスクが高い。だから「0円」になる。 - 国内向け買取店(B社):
国内のオークションに出すか、自社で「ワケあり車」として安く売る。需要がニッチなので、あまり高い値はつけられない。 - 専門ルートを持つ業者(C社):
・「修復歴車」を専門に扱うオークション(事故現状車オークションなど)
・海外(特に新興国)への輸出ルート(※国によっては修復歴が全く問題視されない)
・「部品(パーツ)」として解体して販売するルート
「事故歴のある車」は、これらの専門ルートを持っている業者こそが、本当の価値を見出してくれる。
「でもさ、そんな専門業者、どうやって見つけるのよ。怪しそうだし…」
「だろ? 僕たち素人が『はい、C社さんですね』ってピンポイントで見つけるのは不可能だ」
「じゃあ、どうするの?」
「だから、『一括査定』を使うしかないんだよ」
一括査定サービスに登録すれば、自動的に「ウチのエリアで」「この車種を欲しがっている」業者が何社も手を挙げてくれる。
その中には、さっきのA社もB社も、そして僕たちが見つけられなかったC社(専門ルート持ち)も混じっている可能性が高い。
「なるほど! 1社ずつ呼んでたらA社で『0円か…』って諦めてたところを、一括査定で同時に呼ぶからC社の『30万円』に出会えるわけね!」
「そういうこと! 特に事故歴のある車は、1社だけの査定で売る=最高額(この場合30万円)をドブに捨てるのと同じなんだ。その差額が10万、20万、下手したら50万円になることだって、普通にあるんだよ」
決定版|事故歴ありの車を「値落ちさせない」3つの売り時
「パパの理屈はもう十分わかったわよ!」
「お、おう」
「『早く売れ』『修理するな』『相見積もりを取れ』、でしょ? でも、一番知りたいのは『具体的に、いつまでに売ればいいの?』ってことよ。『早く』って言われても、明日なのか、1ヶ月後なのか…」
ママの言う通りだ。
「早く」というだけでは行動に移せない。
僕たちサルヂエファミリーが調べた「損の境界線」、つまり事故歴のある車をこれ以上値落ちさせないためのデッドライン。
それは、大きく分けて3つあります。
もし、あなたの(あるいは友人の)車がこのどれかに当てはまるなら、まさに「今」が売り時です。
タイミング①:損傷が拡大する前(=事故直後)
「まず、最も理想的なのは『事故直後』だ」
「えー、でも事故った直後なんて、精神的にもショックだし、保険屋さんと連絡したりとかでバタバタで、売るなんて考えられないわよ」
「その気持ち、すごくよく分かる。僕だって友人から話を聞いた時、『うわー…』ってなって、1週間くらい現実逃避したくなるだろうと思った」
でも、車のダメージは待ってくれません。
H2-1でも触れましたが、放置による「サビ」や「劣化」のリスクです。
「友人のヘコみ、塗装が剥げてるって言ってたろ?」
「うん、なんか銀色の下地?みたいのが見えてるって…」
「そこがヤバい。車のボディは鉄だ。塗装が剥げた鉄が、雨や湿気にさらされたらどうなる?」
「……サビる?」
「大正解。特に、これから梅雨や台風のシーズン(湿気)、あるいは冬(雪、融雪剤)を迎えるなら最悪だ。その小さな剥げから水分が侵入して、塗装の下でジワジワとサビが広がっていく」
一度サビが回ってしまうと、もう「ヘコみ」だけの問題じゃなくなります。
「サビによる腐食アリ」と判断され、査定はさらにダウン。
事故直後なら「マイナス10万円」で済んだかもしれない査定が、半年放置した結果「マイナス20万円」になることもザラにあります。
「見たくない」という感情論で放置することが、家計に具体的なダメージを与える。
だからこそ、ダメージが『事故直後』のまま固定されているうちに、査定に出して価値を確定させるのが一番の防御策なんです。
タイミング②:次の「車検」が来る前
「次に、多くの人が迷うのが『車検』のタイミングだ」
「あー、それね。『どうせ車検が近いから、もうこのまま廃車でいいや』って諦めちゃうか、『いや、せっかく車検通したばっかりだから、次の車検までは乗らなきゃソン』って思っちゃうか」
「どっちも、事故歴のある車にとっては危険な判断だ」
ケース1:車検が間近に迫っている場合
「まず『車検が近いから廃車』パターン。これはH2-5で言った通り、絶対にダメだ」
「0円どころか、30万円の値が付くかもしれないのに、みすみす捨てるなって話ね」
「そう。車検が残ってなくても、車自体に価値がある(=海外で売れる、部品が売れる)可能性は十分ある。諦めて廃車にする前に、必ず相見積もりを取るべきだ」
ケース2:車検を通そうか迷っている場合
「こっちが本題だ。『事故ってるけど、車検さえ通せば、あと2年は乗れるし…』って考えるパターン」
「ダメなの?」
「十中八九、損するな」
なぜなら、事故歴のある車は、車検を通すためのコストが通常より高くつくリスクがあるからです。
国の定める保安基準(ライトの光軸、まっすぐ走るか等)を満たせないと、車検は通りません。
事故の衝撃で、僕らが気づかないレベルでフレームが歪んでいたり、ライトの取り付け部がズレていたりすると、車検工場から「ここを直さないと車検通せません」と追加の修理を要求されます。
「うわ…」
「その追加修理代(例えば5万円)と、通常の車検費用(例えば10万円)を払って、合計15万円かけて車検を通したとする。じゃあ、2年後にその車はいくらで売れる?」
「えーっと…ただでさえ古いのに、さらに2年経って…」
「そう。2年分の減価償却で価値はダダ下がり。15万円もかけたのに、売る時は0円、なんてこともあり得る。車検を通すのは、お金を捨てながら、さらに車の価値を下げ続ける行為になりかねないんだ」
だから、車検が切れる前の「今」、その車に残っている価値を現金化するのが、一番合理的な判断になります。
タイミング③:走行距離の「大台」に乗る前
「そして最後のデッドライン。これが一番分かりやすい」
「『走行距離』ね」
「そう。中古車市場には、いくつかの『壁』がある。それが5万km、そして10万kmだ」
「9万8,000km」と「10万1,000km」。
たった3,000kmしか違わなくても、査定士がシステムに入力する時、「9万km台」と「10万km台」では、出てくる基準価格がガクンと変わることがあります。
「10万kmオーバー=多走行車」という、明確なレッテルが貼られてしまうからです。
「事故歴がない普通の車でもそうなんだから、事故歴がある車なら、なおさらだ」
「『事故歴あり』っていうマイナスと、『10万kmオーバー』っていうマイナスが、掛け算になっちゃうわけか…」
「その通り。『9万km台の事故車』ならまだ値が付いたのに、『10万km超えの事故車』になった途端、さっきのA社(ディーラー)みたいに『これはもうウチでは…』と、買い手が一気に減る可能性がある」
もし、車の走行距離が「4万km台後半」や「9万km台後半」なら、本当に急いだ方がいい。
その「大台」を超える前に売ることが、残された価値を守る最後のチャンスです。
「事故直後、車検前、10万km前…友人の車、全部当てはまってるじゃない!」
「だろ? だから、悩んでるヒマはないんだよ」
【30秒診断】あなたの事故歴、まだ価値がありますか?
「パパ、もうわかった。友人の車は『今すぐ』『相見積もり』で売るべきだってことは、よーくわかったわ」
「おお、ママがそこまで理解してくれるとは。パパ、調べた甲斐があったよ」
「でも、まだ心のどこかで不安なのよ。『本当にあの車でも大丈夫かな?』『こんな状態じゃ、どうせダメなんじゃ…』って」
確かに。ここまで「理屈」は説明してきたけど、いざ自分ごと(あるいは身近な人のこと)となると、最後の一歩が踏み出せない気持ちも分かります。
よし、ならば。
僕(パパ)が調べ上げた情報をもとに、「あなたの事故車に、まだ価値が残っているか」を簡易診断できるチェックリストを作ってみた。
この記事を読んでくれているあなたも、YES/NOで直感的に答えてみてほしい。
【サルヂエ式】事故歴ありの車「価値残り」診断
Q1. その車は、エンジンがかかり、自走(=自分で走る)できますか?
- YES → 素晴らしい!次のQ2へ
- NO → 厳しい戦い。でも「不動車専門」の業者がいるので諦めないで。
Q2. 車の骨格(フレーム)を修理した「修復歴」ですか? それともバンパーやドア交換だけの「軽微な修理(または未修理)」ですか?
- YES(修復歴アリだ) → ハンデあり。でもQ3が重要。
- NO(外装だけだ) → 価値が残る可能性・大! Q3へ。
Q3. その車は、人気の車種(ミニバン、SUV、ハイブリッド車、軽ハイトワゴン等)ですか?
- YES → 逆転のチャンス! 修復歴があっても高値が期待できます。Q4へ。
- NO(不人気セダンや古いコンパクトカーだ) → 不利。でもQ4でワンチャンス。
Q4. 走行距離は「10万km」を超えていますか?
- YES(超えている) → 不利。でもQ5へ。
- NO(まだ超えていない) → 大きなプラス材料! 今が売り時です!Q5へ。
Q5. 車検はまだ残っていますか?
- YES → プラス材料です!
- NO(もう切れた) → 問題なし。車検がなくても売れます。
診断結果の「見方」
さあ、どうだったかな?
「パパ! ちなみに友人の車は『YES』『NO(外装だけ)』『YES(ミニバン)』『NO(9万km台)』『YES(車検あり)』だったわよね!」
「そう、それ…最高の売り時じゃないか!」
この診断のポイントは、「NO(ダメだ)」が一つもなかったことじゃない。
「YES(イケる!)」が一つでもあったかどうか」だ。
「どういうこと?」
「つまり、こういうことだ」
▼ 結果の見方:YESが1つでもあれば、価値は残っている!
| YESの項目 | パパの解説 |
|---|---|
| Q1: 自走できる | これが最低条件。エンジンやミッションが生きている証拠。これだけで海外では「商品」として扱われます。 |
| Q2: 外装だけ | 「修復歴なし」は最大の強み。事故のマイナスは最小限です。自信を持って査定に出すべき。 |
| Q3: 人気車種 | 最強のカード。 Q1, Q2, Q4が全部ダメでも、これだけで値が付く可能性があります。業者が一番欲しがる要素です。 |
| Q4: 10万km未満 | 「まだ走れる車」として国内需要も期待できます。特に9万km台なら、大台に乗る前に売るべき。 |
| Q5: 車検残り | わずかですがプラス査定になります。このプラス価値が消える(=車検が切れる)前に売るのが吉。 |
「逆に、『全部ダメ』…つまり『自走不能』『修復歴アリ』『不人気車』『10万km超え』『車検切れ』だったら…」
「さすがに、それは厳しい。廃車専門の業者に『鉄クズ』として引き取ってもらうことになるかもしれない。でもな、ママ」
「うん?」
「僕たちが『もうダメだ』と思ってる車のほとんどは、この中のどれか1つか2つは、必ずYESが残ってるんだ」
「そっか! 『事故車』ってひとくくりにして諦めてたけど、プラス要素もちゃんと見てあげないといけないのね!」
「その通り。その残された『YES』の価値を、正しく見抜いてくれる業者(さっきのC社みたいな)を見つけること。それが、やるべき、たった一つのことなんだよ」
まとめ|事故歴があっても、価値が下がりきる「前」に売るのが正解
「パパ、お疲れ様。なんか、友人も最初はめちゃくちゃ落ち込んでたけど、パパのうんちく聞かせたら逆にスッキリしたみたいよ」
「お、そうか? 『理屈っぽい』って煙たがられるかと思ったが」
「だって、『どうしよう、どうしよう』って不安なまま放置してるのが一番イヤだったのよ。でも、『今、何をすべきか』がハッキリしたから。『事故車だから』って諦めるのは、まだ早いって分かったしね」
そう、それこそが僕(パパ)が今回一番伝えたかったことだ。
僕たちサルヂエファミリーが、今回の「友人のコツン事件」を機に調べ上げた「事故歴ありの車をソンせずに売る方法」。
理屈っぽく、しつこく調べた結論を、最後にもう一度まとめておこう。
▼ 事故歴ありの車を売る時の「損しない」鉄則
- 「放置」が最大の敵。
車の価値は時間と共に下がり、傷はサビなどで悪化する。「どうしよう…」と悩んでいる間にも、価値は下がり続けている。 - 売るための「修理」は不要。
修理代以上に査定額が上がることは、ほぼない。お金をかけて修理するより、そのお金を次の車の頭金にした方が合理的。 - 「正直申告」と「清掃」が最大の防御。
査定士との信頼関係がすべて。隠し事はせず、誠意を見せること。お金は一切かからない。 - 「人気車種」や「低走行」は逆転のカード。
事故歴のマイナスを上回るプラス要素(新しさ、人気、走行距離)が一つでもあれば、高値は期待できる。 - 絶対に「1社」で決めないこと。
事故歴のある車こそ、業者によって査定額の差(0円 vs 30万円)が激しい。「相見積もり」こそが、損失を回避する唯一の手段。
「理屈は完璧よ。でもね、パパ…」
「ん? まだ何かあるか?」
「『相見積もり』って…結局、いろんな業者からいっぱい電話がかかってきたり、査定の人にアレコレ言われたり、めんどくさそう…って、友人もまだちょっとためらってるみたい」
ああ、それな。その「行動するのが、めんどくさい」という最後の壁。それも、痛いほど分かる。
でも、考えてみてほしいんだ。
その「電話対応が数日めんどくさい」という手間を惜しんだ結果、本来ならC社が「30万円」で買ってくれたかもしれない車を、A社に「廃車費用3万円」で引き取らせることになったら…?
「「33万円のソン!?」」
「そういうことだ。たった数日間の『めんどくさい』が、33万円を生むか、ドブに捨てるかを分けるんだ。時給いくらだよって話だろ」
「うっ…それは確かに…友人に言っとくわ…」
事故を起こしてしまった事実は、もう変えられない。
そこには、修理するにせよ、しないにせよ、必ず「損失」が発生してしまう。
僕たち(や、友人)がやるべきなのは、その損失を「最小限」に食い止めること。
「事故歴」というハンデを負った今だからこそ、感情論で放置したり、めんどくさがって諦めたりせず、一番「合理的」で「損が少ない」選択肢を選ぶべきなんだ。
そして、その答えはもう出ている。
「価値が残っているうちに、一番高く買ってくれる業者を見つけて、1日でも早く売る」
事故歴のあるあなたの車は、1年後、半年後、いや1ヶ月後よりも、間違いなく「今日」が一番高く売れます。
僕も、友人には「ヘコみがサビる前に、すぐ動け!」とアドバイスしましたよ。
