車の買い替え

10万km超の車、車検を通すのは損?2025年の“売り時”判断と高額査定のコツ

(パパ)
どうも、サルヂエファミリーのパパです。
いやぁ、最近うちの長男(怪獣1号)の体力、底が知れないですよね。こないだの週末も公園で走り回ったと思ったら、帰りの車で即寝落ち。平和な時間…かと思いきや、今度は次男(怪獣2号)が「お腹すいたー!」の大合唱。ホント、世の中のパパママ、毎日お疲れ様です。

そんな怪獣たちを乗せて毎日頑張ってくれている我が家の愛車。ふとメーターを見たら、走行距離が…おっと、もうすぐ10万kmの大台じゃないですか。

(ママ)
「え、すごくない? 地球何周分?」

(パパ)
(待ってましたとばかりに)地球1周が約4万kmだから、えーっと、約2周半だね。すごいだろ。

(ママ)
「ふーん。で、それがどうしたの? 別にまだ普通に走るじゃん。あ、でも、ちょうど車検も近いのよね? またお金かかるわ…」

(パパ)
そう、そこなんだよ!
「10万kmを超えた車」。これって、車好きや業界の中では一つの「節目」としてめちゃくちゃ意識される数字なんだ。
昔から「10万km超えたら寿命」なんて言われたりもしたけど、最近の車は性能がいいから、まだまだ走れる。実際、うちのも快調だし。

でもね、問題は「走れるか」じゃなくて、「維持し続けるのが得か、損か」ってこと。
特に車検のタイミング。
「このまま高い車検代を払って乗り続けるべきか?」
「いや、もしかして価値がガクンと下がる前に売却した方が賢いんじゃないか?」

(ママ)
「えー、でも売るって言ったって、10万kmも走った車なんて、どうせタダ同然でしょ? それなら乗り潰した方がマシじゃない?」

(パパ)
フフフ、ママ。それがそうとも限らないんだな。
実は、この「10万km」という節目こそ、売り時を判断する最大のチャンスであり、もしかしたら…最後の砦かもしれないんだ。

「まだ走れる」という感覚論と、「市場価値」という現実論。
我が家もまさにこの岐路に立たされているわけで。
理屈っぽいパパとして、ここは徹底的に調べ上げないわけにはいかない。

「10万km超えた車の車検売却、どっちが本当に得なのか?」
「もし売るなら、いつがベストな判断タイミングなのか?」

同じようにお子さんを乗せて走るファミリーカーが10万km前後に差し掛かっている皆さん。
今回のサルヂエファミリー「やってみた企画」は、この「10万kmの壁」の損得勘定を、データとロジックで徹底解剖してみます。
感情論で「もったいない」と判断する前に、ぜひ読んでみてください。意外な結論が見えてくるかもしれませんよ。

結論:10万km超は、売り時の“最後の出口”です

(パパ)
さて、いきなり結論から言っちゃうけど、ママ。
色々調べた結果、パパの見解はこうだ。
10万kmという走行距離は、売却を考える最後のチャンス(出口)である可能性が極めて高い

(ママ)
「はいはい、出た。パパのうんちくタイム。どうせ『売った方が得!』って言いたいんでしょ。でも、もったいないじゃない。まだ全然走れるのに」

(パパ)
まあまあ、落ち着いて。
もちろん、パパだって愛着のある車をすぐに手放したいわけじゃない。
ただ、「10万km」という数字が、車の市場価値において、とんでもなく大きな“壁”になっているという事実を知っておく必要があるんだ。

10万kmは「車の寿命」じゃない! でも「市場価値」の大きな分岐点

(パパ)
まず大前提として、さっきママが言った通り「10万km=車の寿命」というのは、もはや過去の話。
今の日本車は本当に優秀で、ちゃんとメンテナンスさえしていれば15万km、20万kmと走れるポテンシャルは十分にある。

(ママ)
「でしょ? じゃあ問題ないじゃん。車検通せばいいじゃない」

(パパ)
問題はそこじゃないんだ。
問題は、「私たちが乗り続けられるか」ではなく、「次に買う人がどう思うか」なんだよ。

中古車市場において、「10万km」という数字は、買い手にとって非常に強力な心理的ハードルになる。
例えば、ママが中古車を探すとして、似たような車種・年式で、片方が「走行距離9.5万km」、もう片方が「走行距離10.5万km」だったら、どっちを選ぶ?

(ママ)
「うーん…そりゃ、なんとなく9.5万kmの方かな。10万超えてると、なんか一気に古くなった感じがするし、すぐ壊れそう」

(パパ)
その「なんとなく」こそが、市場価値の正体だ。
実際に中古車販売店の価格(小売価格)を見ても、9万km台と10万km台では、数十万円単位で価格差がつくケースがザラにある。
つまり、買取業者(次に売る先)も、その「売りにくさ」を見越して、10万kmを超えた瞬間に買取価格(査定額)を一気に下げる傾向が強いんだ。

【走行距離とリセールバリュー(再販価値)のイメージ】

  • ~5万km: 高価値を維持(新車に近い扱い)
  • 5万km~8万km: 緩やかに価値が下落
  • 8万km~9.9万km: 下落スピードがやや早まる(大台の手前)
  • 10万km突入: ガクンと一段階、価値が下落
  • 10万km以降: さらに下落スピードが加速

(パパ)
つまり、9.9万kmで売るのと、10.1万kmで売るのとでは、たった2000kmの違いでも、査定額に大きな差が生まれてしまう可能性がある。
これが「10万kmは売り時の最後の出口」という理由の一つだ。大台に乗る直前が、実は一番の売り時だったりするわけ。

なぜ? 10万kmを境に「故障リスク」と「維持費」が急増する現実

(パパ)
そして、この「10万kmの壁」は、単なる買い手の「イメージ」だけで作られているわけじゃない。
ちゃんと論理的な(理屈っぽい)理由がある。
それが、「故障リスク」と「維持費」の急増だ。

(ママ)
「あー、やっぱり壊れやすくなるのね」

(パパ)
その通り。車は約3万点もの部品でできている機械だ。走行距離が増えれば、当然ながら各部品は摩耗し、劣化していく。
特に10万km前後というのは、メーカーが想定している「主要な消耗部品」の交換サイクルが一斉にやってくるタイミングでもあるんだ。

【要注意】特にこの部品! 10万km前後で交換ラッシュが来る高額パーツリスト

(パパ)
例えば、以下のような部品だ。
これらは、数万kmサイクルで交換するオイルやタイヤとはワケが違う。「交換=高額出費」になる可能性が高いパーツたちだ。

交換が想定される主な高額部品 交換費用の目安(※車種や業者による) パパのうんちく(なぜ交換が必要か)
タイミングベルト 5万円~10万円 エンジンの重要部品。これが切れるとエンジン全損も。最近は交換不要な「タイミングチェーン」式も多いが、要確認。
ウォーターポンプ 2万円~5万円 エンジンを冷やす冷却水を循環させるポンプ。水漏れや故障はオーバーヒートの原因に。タイミングベルトと同時交換が多い。
オルタネーター(発電機) 5万円~10万円 バッテリーに電気を送る発電機。これが壊れると走行中にエンジンが停止する危険も。
足回り部品(ショックアブソーバー等) 1本2万円~(4本で10万円超も) 車の乗り心地や安定性を支える部品。劣化すると揺れがひどくなったり、走行が不安定になったりする。
ハイブリッドバッテリー(HV車の場合) 15万円~40万円 ハイブリッド車の心臓部。メーカー保証が切れる10万km前後から、性能低下や故障リスクが上がり始める。

(ママ)
「うわっ…なにこれ。タイミングベルト? オルタ…? わけわかんないけど、めっちゃ高くない!?」

(パパ)
そうなんだよ。
もちろん、これらすべてが「10万kmになった瞬間に交換必須」というわけじゃない。
でも、「そろそろ交換時期ですね」と整備工場から指摘される可能性が格段に上がるのが、この10万km前後の車検なんだ。

車検を通すか、売るか。それが問題だ…(我が家の場合)

(パパ)
考えてみてほしい。
まず、通常の車検費用(法定費用+基本整備料)で、安くても7~10万円はかかる。
それに加えて、さっきのリストのような高額部品の交換が「1個」でも発生したら?

(ママ)
「えっと…車検代10万円+部品代10万円で、合計20万円とか?」

(パパ)
そう。もし2個、3個と重なったら、車検費用が30万円、40万円に膨れ上がる可能性だってゼロじゃない。
しかもだ。
恐ろしいことに、それは「次の2年間を“安全に”乗るための最低限の投資」でしかない。

10万kmを超えた車に30万円かけて車検を通しても、その車の市場価値(査定額)は、残念ながら上がらない
むしろ、次の車検(13万km)の頃には、さらに価値が下がっていることがほぼ確定している。

(ママ)
「……なるほど。つまり、今30万円払って乗り続けても、2年後売るときには、ほとんど値段がつかなくなるかもしれないってこと?」

(パパ)
ご名答。
だからこそ、パパは「10万km超えの車検」は、“最後の出口”だと主張しているわけだ。
「高額な車検・修理費用(=維持費)を払って価値が下がり続ける車に乗り続けるか」
「それとも、その車検・修理費用が浮く分も考慮して、価値が残っているうちに売却し、新しい車の頭金にするか」
この判断が、次のテーマ。「費用の比較」だ。

【徹底比較】車検を通す(維持)vs 今すぐ売却。どっちが得?

(パパ)
さて、ママ。さっきは「10万kmを超えると維持費(修理費)が跳ね上がるリスク」と「市場価値がガクンと下がる」という2つの“壁”について話をしたよね。

(ママ)
「うん。なんとなくヤバそうなのはわかった。で、結局、数字で見てどうなのよ? うちはどっちが節約になるわけ?」

(パパ)
(待ってました!)
そこが一番大事なところだ。感情論じゃなく、理屈とデータで比較してみよう。
パターン1:高額な車検・修理費を払って乗り続ける」場合と、
パターン2:車検前に売却し、そのお金を頭金にする」場合。

この2パターンを、今後2年間(次の車検まで)のトータルコストで比較検証してみた。

パターン1:「車検を通す」場合の“見えない”コスト

(パパ)
まず、車検を通す場合。
目に見える出費は、もちろん「車検代」だ。

  • 基本車検費用(法定費用+整備費): 約10万円
  • 10万km前後の追加整備・部品交換費: 約15万円(※さきほど挙げた高額部品1~2点の交換を想定)
  • 車検時合計(A): 約25万円

(ママ)
「うわっ、いきなり25万…! しんどい…」

(パパ)
まだだ、まだ慌てる時間じゃない。
恐ろしいのは、この25万円を払った“後”だ。
車検を通した2年後、走行距離が12万km~13万kmになった愛車を売ろうとしたら、いくらになると思う?

(ママ)
「えー…10万kmで価値がガクンと下がるなら、13万kmなんて…ほぼタダ?」

(パパ)
さすがにタダではないかもしれないが、さっき話した通り、10万kmの壁を超えて、さらに走り込んでいるわけだから、査定額は限りなくゼロに近づいていく
仮に、10万kmの今なら30万円の価値がつく車だったとしよう。
それが、2年後に車検が切れる13万kmの時点では、5万円の価値にまで下がってしまったと仮定する。

この場合、車検を通して2年間乗り続けたことで失った「車の価値(資産)」は、
「30万円(今の価値)- 5万円(2年後の価値)= 25万円
ということになる。

(ママ)
「……ん? ちょっと待って。つまり、車検代で25万円払って、さらに車の価値も25万円分、勝手に減っていくってこと?」

(パパ)
その通り!
つまり、このパターン1の「2年間のトータルコスト」は、
(車検費用A)25万円 + (資産価値の減少分)25万円 = 合計50万円
これだけの金額が、この2年間で実質的に「消えてなくなる」計算になるんだ。
(※もちろん、2年間「車に乗れる」という便益は得られているけどね)

パターン2:「今すぐ売却」する場合のメリット

(パパ)
では、次にパターン2。「車検を通さず、今すぐ売る」場合を見てみよう。

  • 車検費用: 0円(受けないから)
  • 修理費用: 0円(売るから)

(ママ)
「そりゃそうでしょ」

(パパ)
そして、さっきの仮定通り、10万kmの今、車が30万円で売れたとする。
この場合、手元には現金30万円が残る。

さあ、ここで2つを比較してみよう。

【シミュレーション】10万kmの車、2年後の損得勘定

(パパ)
理屈っぽく、表にまとめてみた。
(※仮定:現在の査定額30万円、車検+整備費25万円、2年後の査定額5万円)

比較項目 パターン1:車検を通して乗り続ける パターン2:今すぐ売却する 差額(パターン2が得)
① 今後2年間の出費 - 25万円(車検・整備費) 0円 25万円
② 2年後の手元資産 5万円(13万kmの車) 30万円(今売った現金) ※新車頭金など 25万円
トータルの損得勘定 - 50万円(①+資産減少分) 0円(基準) 50万円

(ママ)
「……え? ご、50万円も違うの!?」

(パパ)
あくまでシミュレーションだけど、ロジックとしてはこうなる。
パターン1は、「25万円の現金」を払って、なおかつ「25万円分の資産価値下落」を受け入れながら、故障リスクに怯えつつ次の2年間を乗る、ということ。
パターン2は、「25万円の出費」を回避し、さらに「30万円の現金」を今の最高値で手に入れる、ということだ。

(ママ)
「うわぁ…なんか、パターン1を選ぶのが馬鹿らしくなってきた…」

(パパ)
もちろん、これは「次に乗る車」をどうするか?という問題も絡んでくる。
でも、もし「そろそろ買い替えもアリかも…」と少しでも思っているなら、10万km超えの車に高額な車検・整備費を投入するという行為が、いかに「もったいない」ことか、この数字(データ)が示していると思わないか?

「まだ乗れるから」という感情(愛着)と、「市場価値が残っているうちに現金化する」という論理(節約)
特に家計を預かるママとしては、この「50万円」という差額(あくまで一例だけど)は見過ごせないはずだ。

だからこそ、車検を通すかどうかの判断をする「今」が、査定額を知る絶好のタイミングなんだよ。

我が家は当てはまる?「今、売る」を判断すべき3つのケース

(パパ)
さて、さっきのシミュレーションで、10万km目前での売却がいかに合理的(節約)か、数字上はハッキリしたわけだ。

(ママ)
「理屈はわかったわよ。50万(仮)の差はデカい。でもね、パパ」

(パパ)
ん? なんだい?

(ママ)
「うちはどうなのよ、うち! 怪獣2人を乗せて毎日買い物行って、週末はあちこち出かけて…。車がなくなったら、それはそれで困るんだけど」

(パパ)
もちろん、そこが一番の判断ポイントだ。
いくら売却が得だと言っても、次の車(買い替え)の算段がまったくないのに売るのは現実的じゃない。
だが、逆に言えば、「次に乗りたい車がうっすら見えている」とか「今の車の“ここ”に不満がある」という人にとっては、まさに今が絶好の売り時なんだ。

特に、これから話す3つのケースに当てはまる人は、車検を通す前に「本気で売却を検討すべき」だと、パパは断言しよう。

ケース1:【3回目・5回目】車検のタイミングが近づいている

(パパ)
まず、最もわかりやすいのがコレ。
新車で買ってから5年目(2回目車検)はまだしも、7年目(3回目車検)9年目(4回目車検)、そして10年超え(5回目以降)
このタイミングで走行距離が10万km前後に達している場合だ。

(ママ)
「うちは…えーっと、中古で買ったからよくわかんないけど、年式は結構古いわよね」

(パパ)
そう。車の価値というのは「走行距離」だけでなく、「年式(新しさ)」にも大きく左右される。
日本では「新車登録から10年」というのも、10万kmと同じくらい大きな「価値の壁」になるんだ。

【パパのうんちく:10年落ちの壁】

  • 自動車税の重課(増税): ガソリン車は新車登録から13年を超えると、自動車税と重量税が上がってしまう。まさに「維持費」の増加だ。
  • メーカーの部品保有義務: メーカーが修理用部品を保有する義務は、生産終了から約10年が目安。つまり、10年を超えると「修理したくても部品がない」というリスクが出始める。
  • 市場の需要減: 買い手も「10年落ち」は敬遠するため、査定額はさらに下がる。

(パパ)
つまり、「10万kmの壁」と「10年落ちの壁」。この2つが同時に迫ってきているなら、それはもう「車検を通すのは損」と判断する強力な材料になる。
(※ちなみに、最近の車は高値安定傾向なので、10年落ちでも高く売れるケースもある。詳しくは[別記事:車の高騰はいつまで?](内部リンク①想定)も読んでみてくれ)

ケース2:ハイブリッド車(HV)のバッテリー劣化が気になる

(パパ)
次にこれだ。我が家もそうだけど、最近はハイブリッド車(HV)に乗っているファミリーも多いよな。

(ママ)
「そうそう。燃費いいし静かだし。子供たちもすぐ寝てくれるし」

(パパ)
だが、そのHVの心臓部である「駆動用メインバッテリー」。これがクセモノなんだ。
さっきの表でも書いたけど、このバッテリー、メーカーの特別保証は「新車から5年または10万km走行時点」というのが一般的。

(ママ)
「……ん? ってことは、10万km超えたら?」

(パパ)
そう。保証が切れるんだ。
もちろん、保証が切れた瞬間に壊れるわけじゃない。最近のバッテリーは非常に高性能で、15万km、20万kmと問題なく走れるケースも多い。
しかし、だ。
万が一、10万kmを超えたHVのメインバッテリーが故障・劣化して交換となれば、その費用は…さっきも言ったが15万円~40万円と超高額だ。

(ママ)
「ひえっ…車検代どころの騒ぎじゃないわね…」

(パパ)
これはもう「時限爆弾」を抱えて走っているようなものだ。
特に、「最近、昔より燃費が悪くなった気がする…」とか「EV走行(モーターだけの走行)する距離が短くなった?」と感じるなら、それはバッテリー劣化のサインかもしれない。
その高額な修理リスクを負ってまで乗り続けるか、保証が残っている(もしくは切れたばかりの)今、価値があるうちに売るか。これは大きな判断基準になる。

ケース3:通勤・レジャーで走行距離がどんどん伸びる

(パパ)
最後のケース。これは「今の使い方」が未来の価値に直結するという話だ。

(ママ)
「どういうこと?」

(パパ)
例えば、パパの会社がもし都心から郊外に移転して、通勤距離が往復50kmになったとしよう。
年間休日を120日として、残りの245日通勤したら…
「50km × 245日 = 12,250km/年」
これに週末の買い物やレジャーを加えたら、年間1.5万km~2万kmはあっという間に走ってしまう。

(ママ)
「うわ、すごい勢いでメーター増えてくわね」

(パパ)
そうだ。
今、9.5万kmだとして、車検を通したとする。
「よし、あと2年乗るぞ!」と思っても、年間2万km走る人なら、たった3ヶ月で10万kmを超え、1年後には11.5万km、次の車検(2年後)には13.5万kmだ。

さきほど話した通り、10万kmを超えた車は、そこから先、走行距離が伸びれば伸びるほど、坂道を転がり落ちるように価値が下落していく。
「車検を通す」という判断は、その価値の下落スピードが最も早い期間(10万km~13万km)を、自らお金(車検代)を払って保有し続けることを意味するんだ。

(ママ)
「……なるほど。乗れば乗るほど、損が膨らんでいく感じね」

(パパ)
そういうことだ。
もし、これから子供の習い事の送り迎えが増えるとか、パパの通勤スタイルが変わるとかで、「今より明らかに走行距離が増える」とわかっているなら。
それは、価値が下がりきる前に、今すぐ売却を判断すべき、決定的なサインかもしれないな。

【実践編】10万km超え目前の車を「1円でも高く」売るための査定術

(パパ)
さて、これまでの話で「よし、車検を通す前に、一度売却を検討してみよう」という気になってきたんじゃないか?

(ママ)
「まあね。あの50万円(仮)のシミュレーション見せられたらね…。で、どうせ売るなら、そりゃ高く売りたいわよ。怪獣2人分の教育費もかかるんだから。1円でも高く!」

(パパ)
(食い気味に)だろうと思った!
そこはパパも同感だ。理屈っぽく調べたからには、実践でも最高の結果を出したい。
いいか、ママ。10万km超え(あるいは目前)の車を売る時、「どうせ古いから値段なんてつかない…」と諦めた瞬間に、業者の思うツボだ。

(ママ)
「なによ、急に。敵はどこなのよ」

(パパ)
敵は「買い叩こうとする一部の業者」と、何より「相場を知らずに安く売ってしまう自分自身」だ!
10万km超えという、ある意味「足元を見られやすい」状況だからこそ、高額査定を引き出すための“理屈武装”が必要なんだ。

高額査定の大前提:なぜ「比較」が必須なのか?

(パパ)
まず、大前提中の大前提を言おう。
車を売る時は、必ず2社以上、できれば3社以上で査定額を比較(相見積もり)すること
これはもう、憲法レベルで大事なことだ。

(ママ)
「えー、めんどくさい。近所の車屋さんに持ってけばいいじゃない。いつもお世話になってるし」

(パパ)
ダメだ! 絶対にダメだ!
その「いつもの車屋さん」(ディーラーや近所の中古車店)が、必ずしも最高値をつけてくれるとは限らない。というか、むしろ逆の場合が多い。
なぜか、わかるか?

【パパのうんちく】業者が「買い叩く」ロジック

(パパ)
理屈はこうだ。
中古車の買取業者には、それぞれ「得意分野」と「販売ルート」がある。

  • A社(ディーラー系): 自社の認定中古車として売りたい。→ 10万km超えは「規格外」として、下取り価格が安くなりがち。
  • B社(国内中古車チェーン): 国内で再販したい。→ 10万km超えは売りにくいため、査定が渋い。
  • C社(輸出専門業者): 海外(特にアジアやアフリカ)に輸出したい。→ 「10万km? まだまだヒヨッコだね!」と高値がつくことも。
  • D社(部品取り・解体業者): 車としてではなく、パーツや金属資源として買う。→ どんな車でも最低限の価値(地金代)がつく。

(パパ)
もし、ママがA社(ディーラー)にだけ持って行ったらどうなる?
「奥さん、これ10万km超えてるから、もう値段つきませんね。本来は廃車費用がかかるけど、うちで次の車買ってくれるなら、特別に“タダ”で引き取りますよ」
こう言われるのがオチだ。

(ママ)
「え! タダ!? …でも、次の車買うなら、それでもいいかも…?」

(パパ)
(喝!)
その「タダ」が、実はC社に持って行けば「20万円」の値がついたかもしれないんだぞ!
A社は、タダで引き取ったその車を、業者専用のオークションに流して、C社のような業者に15万円で売って利益を出すかもしれない。

(ママ)
「なっ…! なにそれ、詐欺じゃない!」

(パパ)
詐欺じゃない。これが「相場を知らない者が損をする」という資本主義のルールだ。
だからこそ、A社にもB社にもC社にも、一斉に査定してもらう必要がある。
「うちの車、一番高い値段をつけてくれたところに売りますよ!」という姿勢を見せるんだ。
そうすれば、彼らは競争して、ギリギリの最高値を提示せざるを得なくなる。

10万km超えの車の場合、この「業者間の価格差」が、キレイな車(5万kmとか)よりも遥かに大きく出やすい
ある店では「0円(廃車)」と言われた車が、別の店では「30万円」になることだって、普通にあるんだ。
この比較をしないで売るのは、節約の対極にある行為だと断言しよう。

査定前にやるべき「ちょっとした一手間」

(パパ)
比較が大事なのはわかった。
じゃあ、実際に査定士が家に来る前に、何をすべきか。
「どうせ古いし」と汚いまま出すのは、やっぱり損だ。

(ママ)
「やっぱり、キズとか凹みは直した方がいいんでしょ? 修理代高そう…」

(パパ)
ストップ! それもよくある間違いだ。

【サルヂエ流:高額査定のための準備リスト】

  • 洗車と車内清掃は“絶対”やるべし
    理由は「修理」のためじゃない。「この車、大事に乗られてきたな」と査定士に思わせるためだ。同じ10万kmでも、泥だらけ・ゴミだらけの車と、ピカピカの車では、査定士の心証が全く違う。「内装キレイですね、これならプラス査定です」と言わせたら勝ちだ。
  • 小さなキズ・凹みは“絶対に”直すな
    これ、鉄則。我々シロウトが修理に出すと、例えばバンパーの修理で5万円かかったとしよう。でも、査定額が5万円アップすることは、まずない。査定アップはせいぜい1~2万円だ。つまり、3万円の「持ち出し(損)」になる。業者は自社工場で安く直せるから、キズはキズのまま査定してもらうのが一番合理的だ。
  • 装備品・書類は“全部”揃えるべし
    純正ナビ純正フロアマットスペアキー(スマートキー)、そして「取扱説明書」「整備手帳(メンテナンスノート)」。これらが揃っていると、「素性がしっかりした車」として評価が上がる。特に整備手帳で、オイル交換などをきっちりやってきた履歴が見えると、10万km超えでも「ちゃんとメンテされてるな」とプラス評価になりやすい。

(パパ)
特に大事なのは「キズは直すな、でも掃除はしろ」だ。
これはお金をかけずに(あるいはガソリンスタンドの数百円の洗車機で)、確実に査定額アップ(というかマイナス査定の防止)につながる、最もコスパのいい節約術だ。
この一手間を惜しんではいけない。

迷うなら“売り時診断”。車検を通すか決める「最終判断チェック」

(パパ)
さて、ママ。
10万kmの壁、維持費のリスク、売る場合の損得勘定、そして高く売るコツまで、理屈っぽく語ってきたわけだが。

(ママ)
「……うん。頭ではわかった。理屈上は『今すぐ売る』が正解なんでしょ。でもさぁ…」

(パパ)
なんだい、まだ歯切れが悪いな。

(ママ)
「だって、やっぱりもったいない気もするし、愛着もあるし…。次の車探すのも正直めんどくさいし…。あーでも、あの高額修理リスト見たら不安にもなるし…。もう、どうしたらいいのよ!」

(パパ)
(フッ…)
だろうと思った。
ママのような「直感的だけど、決断しきれない」人や、「**理屈はわかったけど、最後の一押しが欲しい**」という人のために、パパが「サルヂエ流・売り時ファイナルチェック」を作ってみた。

(ママ)
「なによ、それ」

(パパ)
車検の見積もりを取る「前」に、ぜひ家族会議でこのYES/NOチェックをやってみてほしい。
これは、感情論をいったん横に置いて、「我が家は今、売るべき状況か?」を客観的に判断するための診断だ。

【2025年版】10万km目前! 売り時YES/NO診断

(パパ)
いいか? 正直に答えるんだぞ。

  1. 走行距離が9万kmを超えている、または10万kmを既に超えた
  2. もうすぐ車検(3回目、4回目、5回目など)の時期が来る
  3. 今の車がハイブリッド車(HV)で、メーカー保証(5年or10万km)が切れそうだ
  4. 最近、燃費が悪くなった、またはエンジン音がうるさくなった気がする
  5. 次の車検見積もりで「高額な交換部品(10万円以上)」が出そうで怖い
  6. 家族構成が変わり、今の車のサイズ(広さ)に不満がある(例:怪獣がデカくなった)
  7. パパの通勤や子供の送り迎えで、今後さらに走行距離が伸びそうだ
  8. 正直、ちょっと気になる「次の車」が既にある

(ママ)
「えーっと…
1. YES(もうすぐ10万km)
2. YES(車検近い)
3. YES(うちHVだもんね)
4. うーん…YESかな? 最近エアコンの効きも悪い気が…
5. YES(パパのリスト見たら怖くなった)
6. NO(今のサイズでギリギリOK)
7. YES(怪獣2号の習い事が始まる)
8. YES(…実はあの新しいミニバン、ちょっと気になってる)」

(パパ)
…おいおいママ、7つも「YES」がついてるじゃないか。

診断結果の判定

(パパ)
この診断結果の見方はこうだ。

  • YESが0~2個の人:
    まだまだ乗り続ける価値アリ! 車検を通す方向で検討しよう。ただし、車検見積もりで高額な修理(20万円超えなど)を提示されたら、その時点でもう一度「売却」を天秤にかけること。
  • YESが3~5個の人:
    “売り時”の危険水域! 車検を通すのはになる可能性がかなり高い。感情(愛着)と理屈(節約)が戦っている状態だ。
  • YESが6個以上の人:
    今すぐ売却を推奨! 車検を通すメリットは、ほぼ無いと言っていい。高額な維持費を払って価値ゼロに向かう車に乗り続けるより、今の価値を現金化して、次の(もっと快適な)車に乗り換えるのが最も合理的な判断だ。

(ママ)
「うわぁ…私、7個。もう『今すぐ売れ』って言われてるじゃない…」

(パパ)
そういうことだ。
このチェックは、これまで話してきた「経済合理性」、「故障リスク」、「ライフスタイルの変化」を総合的に判断するものだからな。

「迷う」なら、まず「知る」ことから

(パパ)
ただ、ママ。
こう言われても、まだ「うーん」と唸ってるだろ。

(ママ)
「そりゃね。だって、じゃあ、うちの車が今いくらなのよ? パパがシミュレーションで『30万』とか言ってたけど、あれが本当に30万なのか、それともC社に売れば50万なのか、A社(ディーラー)に言わせれば0円なのか。そこがわかんないと、動きようがないわよ」

(パパ)
(ニヤリ)
…100点満点の回答だ、ママ。
その通りなんだ。
我々が今やるべきことは、「車検を通す」か「売る」かを、今の愛車の本当の価値(査定相場)を知らないまま決めてしまうことじゃない。

「もし今売ったら、最高いくらになるのか?」

この「答え」を、まず知ることだ。
その金額が、車検見積もり(例えば25万円)より高ければ、もう迷う理由はない。
たとえ車検見積もりより安くても、さっきのシミュレーション(資産価値の下落)を考えれば、売った方が得かもしれない。

(ママ)
「でも、その『最高いくら』って、どうやって知るのよ。さっき言ってたみたいに、A社、B社、C社…って、1軒ずつ電話して回るの? 無理! 怪獣1号2号抱えてそんなのできない!」

(パパ)
(待ってました)
そこで登場するのが、ネットの「一括査定サービス」なんだ。
今の時代、わざわざ店を回らなくても、スマホやPCで車の情報を1回入力するだけで、さっき言ったA社~D社のような複数の買取業者が、一斉に「うちなら〇〇円で買います!」と競ってくれる。

(ママ)
「え、なにそれ。便利じゃない」

(パパ)
ああ。特に今回紹介する『カーセンサー』のような大手サービスは、提携している業者数が業界でもトップクラスに多い。
さっき話した「輸出が得意なC社」や「部品取りが得意なD社」のような、10万km超えの車(過走行車)をむしろ得意としている専門業者が見つかりやすい、というのが最大のミソだ。

(ママ)
「ディーラー(A社)1択で『0円です』って言われるリスクを回避できるわけね」

(パパ)
そういうことだ。
もちろん、こういうサービスを使うと、複数の業者から電話がかかってくることが多い。それは「本気で買いたい」という業者が多い証拠でもあるんだが、ちょっと面倒に感じるかもしれない。

(ママ)
「うわ、電話ラッシュは嫌だなぁ…」

(パパ)
(パパもそれはちょっと苦手だが…)
ただ、考えてみてほしい。
その「ちょっとした手間」をかけるだけで、さっき言った「0円」と「30万円」の差が生まれるとしたら?
時給換算したら、とんでもない節約術だとは思わないか?

それに、大事なのは「査定額に納得できなければ、売る必要は一切ない」ということ。
これは「いくらになるか知るための調査」だ。
まずは「我が家の愛車の、今の最高価値」を知る。
その数字(データ)を持ってから、冷静に「車検を通すか、売るか」を判断する。
これが、理屈っぽく、かつ賢く節約するサルヂエファミリーのやり方じゃないか?

(ママ)
「……確かに。価値も知らないで悩んでるのが、一番もったいない時間かもね。よし、わかった。とりあえず、その『今の価値』ってやつ、調べてみようじゃないの!」

まとめ:10万km超えの車検は「損」の始まり。賢く判断するために「今」動こう

(パパ)
ふぅ…。
いやぁ、今日も我ながら理屈っぽく語り尽くしてしまった。

(ママ)
「お疲れ様。でも、正直助かったわ。私一人じゃ『もったいない』の一点張りで、高い車検代払ってたかもしれないし」

(パパ)
だろ?
まだ乗れる」という感情と、「持ち続けると損をする」という現実は、時として両立しない。
今回の「10万km超えの車検」問題は、まさにその典型だ。

今回の「サルヂエ検証」でわかったことを、最後にまとめておこう。

10万km超えが「売り時のラストチャンス」なたった1つの理由

(パパ)
それは、「高額な維持費(車検・修理費)がかかり始める」のと、「市場価値(査定額)がガクンと落ちる」という、2つの“下り坂”が同時にやってくるタイミングだからだ。

(ママ)
「あのシミュレーションね。車検代で25万払って、さらに資産価値も25万下がる(仮)…みたいな。トータル50万の損ってやつ」

(パパ)
そう。
高額な車検代を払ってその車を維持するということは、「最も価値が下落する期間」を、わざわざお金を払って保有し続けることになりかねない。
これは合理的な節約とは言えないよな。

「じゃあ、どうする?」まずやるべき、たった一つの行動

(パパ)
我々が今、感情論(もったいない)と理屈(損したくない)の迷路から抜け出す方法は、たった一つだ。

「今の愛車の“本当の価値”を知る」

これに尽きる。
車検の見積もりを取って「うわ、30万か…」と悩む前に、まず「今売ったら最高いくらになるのか?」を知るんだ。

(ママ)
「それがさっき言ってた、ネットの一括査定ね」

(パパ)
その通り。
ディーラー1択で「0円」と言われるリスクを避け、輸出業者や過走行車が得意な業者(C社やD社)にも競争してもらう。
10万km超えの車こそ、この「比較」という一手間が、文字通り10万円、20万円の差を生む可能性があるんだ。

結論:行動しないのが一番の「損」

(パパ)
(ママ)
「「我々、サルヂエファミリーとしては…」」

(パパ)
「価値を知らないまま判断(あるいは先延ばし)し、気づいた時には価値がゼロになっている」
これが、家計にとって最大の「損」であると結論づけよう!

(ママ)
「よーし、パパ! とりあえず我が家の愛車がいくらになるのか、さっそく『カーセンサー』で調べてみようじゃないの!」

(パパ)
おう!
その査定額を見てから、次の週末、家族会議で(新しいミニバンのカタログでも見ながら)じっくり作戦会議と行こうじゃないか!

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