「ねえパパ、今の軽自動車、次の車検の見積もりが来たんだけど……まさかの10万円オーバーよ? 軽自動車なのに?」
「えっ、結構いったね。タイヤ交換とバッテリーも込みか。これならいっそ、車検を通さずに別の車に買い替えた方が、長い目で見ると得だったりしないかな?」
軽自動車や中古車に乗っていると、2年に1度の車検のタイミングで必ずこの「修理して乗り続けるか、買い替えるか」という迷いが生じますよね。私たちサルヂエファミリーも、毎回電卓を叩いては頭を抱えています。
今回の記事では、維持費重視で軽自動車や中古車を選んできた私たちが、「車検前後での買い替え判断」をコストとリセールバリュー(再販価値)の両面から徹底検証します。損をしないための目安年数や、車検残しでの高値売却のコツもシェアしますので、見積もり書を片手に読んでみてください。
軽自動車・中古車は「車検のたびに買い替えた方が得」って本当?
「車検代がもったいないから、車検が切れる前に買い替える」という話、よく聞きますよね。直感派のママなどは「新しい車になれば故障の心配も減るし、良いことづくめじゃない?」と言いますが、理屈派としては「買い替えにかかる諸費用」も無視できません。実際のところ、本当に毎回買い替えるのが正解なのでしょうか。
軽自動車の車検費用とリセールバリューの関係
軽自動車の最大のメリットは、普通車に比べて税金や消耗品が安いことですが、車検費用自体はそこまで劇的に安いわけではありません。法定費用(重量税や自賠責保険)は安くても、整備費用や部品代は普通車と変わらないケースも多々あります。
一方で、軽自動車は「リセールバリュー(売却価格)」が落ちにくいという特徴があります。特に人気のハイトワゴン系などは、古くなってもそこそこの値段がつくことが多いです。
しかし、これには落とし穴があります。「車検を通した直後」に価値が急上昇するわけではない、ということです。10万円かけて車検を通しても、その車の査定額が10万円アップすることはまずありません。つまり、「車検を通す=その瞬間に数万円の赤字が確定する投資」という見方もできるのです。
中古車は「次の車検」で価値が大きく落ちる
新車から乗っている場合と違い、中古で購入した車の場合、次の車検時には「年式」がさらに古くなっています。車は一般的に、製造から7年、10年、13年といった節目でガクンと価値が下がります。
例えば、5年落ちの中古軽自動車を買って2年乗ると、次は7年落ち。「まだ走れる」と思って車検を通し、さらに2年乗って9年落ちになると、いざ売ろうとした時に「査定額がつかない(0円)」と言われるリスクが高まります。
中古車ユーザーこそ、「次の車検を通した後、この車にいくらの価値が残るか?」をシビアに予測する必要があります。
「車検代+修理費」と「買い替えコスト」を比較する目安
では、どう計算すればいいのか。我が家で実践しているシンプルな比較式があります。
- Aプラン(乗り続け): 今回の車検見積もり額 + 向こう2年間の予想修理費
- Bプラン(買い替え): 次の車の購入諸費用 − 今の車の現在の査定額
もし「Aプラン」の金額が、「Bプラン」の差額に近い、あるいは超えているなら、迷わず買い替えです。
特に、今回の車検で「タイヤ4本交換」「タイミングベルト交換」などの重整備が重なっているなら、その費用を次の車の購入資金に充てた方が、トータルの出費を抑えられる可能性が高いです。
車検前に買い替えるメリットとは?
「じゃあ、具体的にいつ動くのが一番得なの?」という話になりますが、結論から言うと「車検が切れる数ヶ月前」が最も有利に働くケースが多いです。なぜ車検を通す前が良いのか、そのメカニズムを掘り下げてみます。
車検を通す前に査定に出すと買取額が有利な理由
先ほども少し触れましたが、中古車市場の鉄則として「車検の残り期間は、プラス査定にはなるが、車検費用全額分は戻ってこない」という事実があります。
例えば、車検を通すのに10万円かかったとします。その直後に売っても、査定額は車検切れの状態に比べて2〜3万円程度しか上がらないことがほとんどです。つまり、車検を通してから売ると、差し引き7〜8万円の損をすることになります。
買取業者からすれば、自社で安く車検を通せるルートを持っているため、前のオーナーが高い費用をかけて車検を通したかどうかは、そこまで重要ではないのです。だからこそ、ユーザーとしては「車検代を払う前に手放す」のが、最もキャッシュアウト(現金の持ち出し)を防ぐ方法になります。
車検残り期間が長いと売却価格が高くなる仕組み
「じゃあ、車検ギリギリまで乗った方が得?」と思うかもしれませんが、ここが難しいところです。
車検の残りが1ヶ月を切ると、次の買い手がすぐに見つからない場合、業者は在庫として抱えている間に車検切れ(=公道を走れない車)になってしまうリスクを負います。そのため、足元を見られて査定額を叩かれる可能性があります。
逆に、車検がまだ3〜4ヶ月以上残っていれば、業者はその車を「車検付きの中古車」として店頭に並べたり、代車として一時利用したりと、販売戦略の幅が広がります。この「売りやすさ」が、査定額のアップ(あるいは減額なし)に繋がります。
「車検たっぷり」である必要はありませんが、「販売までの猶予期間」が残っていることは、高値売却の重要なカードになります。
「車検費用を払う前」に知っておきたい3つの判断基準
車検前に買い替えるべきか迷ったら、以下の3つをチェックリストにしてみてください。
- 車検見積もりが車両価値を超えていないか?
今の車が市場で20万円でしか売れないのに、車検に15万円かかるとしたら、経済合理性は低いです。 - 今後2年で壊れそうな部品はあるか?
車検はあくまで「現時点で保安基準に適合しているか」のチェックです。エアコンやパワーウィンドウなど、車検項目以外の高額修理リスクがあるなら、手放し時です。 - ライフスタイルが変わる予定はあるか?
子供の成長や送迎の有無など、2年以内に車の使い方が変わりそうなら、高い車検代を払って今の車に縛られるよりも、今が変え時かもしれません。
中古・軽の「買い替えタイミング」は何年目がベスト?
「結局、何年乗って売るのが一番コスパいいの?」
これは我が家の家計会議でも最大のテーマです。新車で買ったのか、中古で買ったのかによっても変わりますが、車には維持費と売却額がクロスする「損益分岐点」のようなタイミングがいくつか存在します。
3年・5年・7年・9年目のそれぞれの特徴と損益分岐点
車検のサイクル(初回3年、以降2年ごと)に合わせて、それぞれのタイミングでの特徴を見てみましょう。
- 3年目(初回車検前):
新車購入の場合、最も高く売れる時期です。特に人気車種なら残価率が高く、持ち出しが少なく次の新車に乗れることも。「常に新しい車に乗りたい」ならココですが、初期費用の負担は頻繁に発生します。 - 5年目(2回目車検前):
メーカーの特別保証(エンジンなどの重要部品)が切れる節目です。ここを過ぎると修理費のリスクが上がります。市場価値もまだ残っているため、バランスの良い乗り換え時期と言われます。 - 7年目(3回目車検前):
多くの車で価値が大きく下落するラインです。買い手がつきにくくなるため、下取り価格も渋くなりがち。ただ、乗り潰す覚悟なら維持費だけで済む期間とも言えます。 - 9年目以降:
税金が上がる13年目に向けてカウントダウンが始まります。査定額はほぼ期待できず、故障したら即廃車、という判断が多くなります。
「2回目の車検」で買い替える人が多い理由
特に中古車や軽自動車ユーザーの間で多いのが、「購入してから2回目の車検」のタイミングでの買い替えです。
例えば、3年落ちの中古軽自動車を購入したとします。
- 購入時(3年落ち・車検2年付き)
- 1回目の車検(5年落ち): まだ車も新しく、修理箇所も少ないので通す。
- 2回目の車検(7年落ち): タイヤ、バッテリー、ブレーキパッドなどの消耗品が一気に交換時期を迎える。
この「2回目の車検」の見積もりを見て、「整備代だけで15万円? それなら頭金にして別の車にした方が…」となるパターンが非常に多いのです。これは理に適った判断で、修理費の山を越える前に手放すことで、トータルコストを抑えられる可能性があります。
走行距離と修理リスクの関係性
年数と同じくらい重要なのが「走行距離」です。一般的に「5万km」と「10万km」が大きな壁になります。
- 5万km前後: タイヤ交換や足回りのブッシュ類など、やや高価な消耗品交換が発生し始めます。
- 10万km前後: タイミングベルト(チェーン式でない場合)やウォーターポンプ、オルタネーター(発電機)などの故障リスクが高まります。これらの修理は1回で5万〜10万円コースになることもザラです。
もし、次の車検までの間に「10万km」を超えそうなら、車検費用+高額修理費のダブルパンチを食らう前に手放すのが、リスク管理として賢明です。
車検を通したあとに「やっぱり買い替えたい」場合の注意点
「とりあえず車検は通したけど、直後にエンジンから変な音が…」「家族が増えることになって、急に広い車が必要になった」
そんな予期せぬ事態で、車検直後に買い替えを検討することもあるでしょう。この場合、金銭的にはどうなるのでしょうか。
車検を通した直後は査定額で損をする可能性がある?
残念ながら、前述の通り「車検を通した費用分、査定額が上がるわけではない」というのが現実です。
例えば、車検費用に12万円払った直後に売却しても、車検切れの時と比べて査定額がプラスされるのはせいぜい2〜3万円(プラス査定分のみ)。つまり、単純計算で約10万円の損をしてしまいます。
ママが「せっかく車検通したばかりなのに、もったいない!」と怒るのも無理はありません。基本的には「車検直後の売却は、最もコスパが悪い」と覚えておいてください。
車検直後でも「損しにくい売却タイミング」はある
ただし、例外的にダメージを最小限に抑えられるケースもあります。
それは、「中古車相場全体が高騰している時期」に重なった場合です。例えば、半導体不足で新車の納期が遅れている時期や、3月の決算期・新生活準備シーズンなどで中古車需要が爆発的に高い時期などです。
こうしたタイミングであれば、車検の残り期間が「丸々2年ある」という点が強力なセールスポイントになり、通常よりも強気の査定が出る可能性があります。相場の波に乗れれば、車検代の元までは取れなくても、損を半分くらいに取り戻せるかもしれません。
「通したばかりでも売っていい」ケースと「待った方がいい」ケース
ここでの判断基準は、「次に予想される出費」です。
- 売っていいケース(損切り):
車検は通したものの、その直後にエアコン故障やオートマの不調など、さらに数十万円かかりそうな不具合が見つかった場合。これ以上お金をかけると「泥沼」になるため、車検代は勉強代と割り切って、早急に手放すべきです。 - 待った方がいいケース(乗り潰し):
車自体は調子が良く、単に「飽きた」「別の車が欲しくなった」という理由の場合。この場合は、せっかく払った車検費用(重量税や自賠責など)を使い切るつもりで、次の車検ギリギリまで乗り倒した方が、月割り計算でのコストパフォーマンスは良くなります。
車検残しで高く売る!軽・中古車ユーザーができる具体策
「よし、車検を通さずに売ろう!」と決めたとしても、ただ漫然と業者に持ち込むだけでは損をしてしまうかもしれません。
私たち夫婦も、過去に知識不足で安く手放してしまい、後から相場を知って「あと5万円はいけた…」と悔しい思いをしたことがあります。少しでも高く売るための、実践的なテクニックを紹介します。
査定前にやるべき「3つの準備」
査定士も人間です。「大事に乗られていた車だな」という印象は、最終的な金額提示のひと押しになります。最低限やっておくべきは以下の3点です。
- 内外装の掃除・消臭:
傷を修理する必要はありません(修理費の方が高くつくため)が、洗車と車内の掃除機がけは必須です。特にタバコやペットの臭いは大きな減額対象になるので、消臭スプレーや換気を念入りに。 - 純正部品の確保:
ナビやアルミホイールを社外品に交換している場合、純正品が手元にあるなら準備しておきましょう。「純正に戻せる」ことは大きなプラス要素です。 - 整備記録簿(メンテナンスノート)の準備:
これまでどんな整備をしてきたかの証明書です。特に「定期的にオイル交換をしていた」「リコール対応済み」といった記録は、中古車としての信頼性を高め、プラス査定につながります。
車検残り月数ごとの買取相場の変化
一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)の基準などを参考にすると、車検の残り期間は以下のように評価される傾向があります。
- 残り13ヶ月以上:
明確なプラス査定になります。次のオーナーが1年以上乗れるため、商品価値が高い状態です。 - 残り3ヶ月〜12ヶ月:
若干のプラス査定、もしくは「標準」扱い。少なくともマイナスにはなりません。 - 残り3ヶ月未満:
車検切れ間近とみなされ、プラス評価はほぼつきません。ただし、自走可能であるため、車検切れ(検切れ)車よりは取り回しがしやすく、買取拒否されることは少ないです。
この基準を知っておくと、査定員に「車検がまだ1年残っているから、もう少し頑張れませんか?」と交渉する材料になります。
複数査定サービスを賢く使うコツ
1社だけの査定で決めてしまうのは、相場を知らずに売るようなもので、非常にリスクが高いです。
パパの理屈で言えば「競争原理を働かせる」のが鉄則。複数の業者に見てもらうことで、その車の適正な最高値が見えてきます。
- 一括査定サービス:
一度の申し込みで複数の業者から電話がかかってきます。対応は大変ですが、各社が競合するため価格は吊り上がりやすいです。「この日の午後にまとめて査定に来てください」と指定して、一斉に見てもらう(合同査定)のも手です。 - オークション形式の査定:
電話ラッシュが苦手な人向け。検査員による1回の査定データをもとに、Web上で数千社の業者が入札する仕組みです。手間は少ないですが、一括査定ほどの爆発的な高値にはなりにくい場合もあります。
どちらを使うにせよ、「他社とも比較している」と正直に伝えることが、足元を見られないための最大の防御策です。
まとめ:車検を通すか買い替えるか迷ったら「残り期間」と「修理費」で判断
最後に、今回のポイントを整理しましょう。
軽自動車や中古車ユーザーにとって、車検は「維持費の精算」か「見切りのタイミング」かの分かれ道です。感情論ではなく、以下の3つのチェックポイントで冷静に判断してみてください。
- 車検見積もりが「10万円」を超えているか?
軽自動車でこのラインを超えるなら、買い替えの検討価値アリです。 - 今後2年で「重整備(タイミングベルト交換など)」が控えているか?
車検代+修理費のダブルパンチを避けるなら、その前に手放しましょう。 - 車検の残り期間が「4ヶ月以上」あるか?
余裕を持って売却活動ができ、査定額も有利に進めやすい「売り時」です。
車は家族の生活を支える大切なツールですが、家計を圧迫する金食い虫になってしまっては本末転倒です。「まだ乗れる」と「お得に乗れる」は違います。
次の車検案内が届いたら、まずは今の車の「現在の価値(査定額)」を知ることから始めてみてください。それが、賢いカーライフの第一歩になるはずです。
参考文献・参照ソース
- 一般財団法人日本自動車査定協会(JAAI)「中古自動車査定基準」
- 国土交通省「自動車検査・登録ガイド」
- 主要中古車買取サービス・販売サイト(カーセンサー、グーネット等)の相場情報・解説記事